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【五十一階層】南の島

今回も弥くんはドジです。

 八丈島から少しだけ南下した、とある小島……


 そのさらに南下した島は、秘境と言われてる観光名所だ。


 ただそこは、船の欠航率が高く、安定した日程での旅をしたいなら、ヘリコプターを使うしかない。



 この小島は、南北にある島と比較すれば、なんの際立ったもののない、観光スポットもない島。


 ただ、海岸線の形状が影響して波が安定しやすく、船の欠航率は2割程度で、天候のせいで秘境に行けなかった者が、立ち寄るだけの島だった。


 その島は、人口300人を少し超える程度で、3軒の民宿があり、どこも栄えてるとは言えなかった。


 その内、1軒がペットが泊まれる宿をうりに宣伝したが、効果はあまりなかった。




 そこへ、ペットを2匹連れて1人の男がやってきた。




 ◆

 ◆

 ◆



「ふいぃ……やっとついたぁ。フロー、フェイお疲れさま」


「ふにゃぁぁぁ」

「ンニャァァァ」


 フローとフェイは、キョロキョロと辺りを見たあと、思いきり伸びをした。


 特に動くでもなく、俺の左右に位置取ってお尻を向ける。


 2泊3日といっても、夜に東京の港を出発して朝にたどり着いたから、実質4日だよな。


 帰りは朝に出発するから、まる二日間この島でゆっくりすることになる。



 フローとフェイも初の船は窮屈だったろう。

 せっかくだから外で思いきり遊んでもらおう。


 なんて思ったが、フローとフェイはダンジョンの低層階なら、遊びのようなものだけどな。



 民宿は最近改装したのか、綺麗な外観で、小さな旅館と言っても良いくらいだ。




 やってきた民宿には、ちょうど3組の宿泊客がいて、平日なのにわりと利用者がいるんだなぁ、と思った。



 宿に荷物を預けて、外に出る。


 昼御飯は、庭でバーベキューをするって聞いたから、それまでは外で自由に動き回ろう。



 家猫だと思っていたフローとフェイも、外遊びが楽しいらしく、走り回ったり跳ねたりして遊んでいた。



 それにしても、なんて速さだ。

 遊んでいても速すぎる。


 ん? たまに急に失速するけど、どうしたんだろう。


 目を凝らすと、飛んでいる小さな虫を叩き落としていた。



 なるほど……虫に対して攻撃行動をとっていたから失速したのか。


 だけど、失速したとはいえ他の野良猫より、速いよな?


 テレビやネットの情報とは、ちょっと違いがあるような……



 観光情報だと、この島の外周は約14㎞、歩ける道でちょうど10㎞の遊歩道があるらしい。


 ちょっと散歩のついでに、運動でもしていこうと思う。


 この距離を走るのは、学生時代以来だけど、探索者になったから、そうきつくはないはずだ。


 フローとフェイも長距離は苦手だろうが、どこまで走れるのか知りたい。



 俺は旅行カバンの代わりに、マジックバッグを2つを持ってきている。


 まあ、俺の持っているマジックバッグは2つとも、中サイズで容量5倍と10倍だから、大きさ、物量ともに限界がある。


 だから、ダンジョンがあるわけでもないし、武器や防具は持ってきてない。


 が…………モンスター肉はたくさん詰め込んでいる。




 フロー、フェイとモンスター肉をおやつにして食べてから、外周のハイキングコースを海を眺めながら、走る。




 そこそこ走ったんだけど、疲れがこない。

 フローとフェイもダッシュ&お座りを繰り返してるが、疲れた様子を見せない。


 瞬発力では猫相手だと遥かに及ばないが、持久力では人間がトップクラスのはずだ。


 もう少しだけ頑張ってはしるか……




 あれ? なんか見たような景色にであった。


 まあ、この島だからにたような景色があるのかも知れないな。


「フロー、フェイまだ大丈夫か?」


「ふにゃん?」

「ニャニャ?」


 なんか、逆に俺が心配された気がする。

『弥こそ大丈夫?』

『弥遅くないか?』


 と言われてる気がした。


「ようし、軽戦士の実力を見せてやろう、加速」




 それでもフローとフェイの瞬発力には敵わなかった。


 だが、フローとフェイも脅威の瞬発力は持続できなくて、俺が追い付くまでは休んでいる。


 そして追い付くと、また猛ダッシュをする。



 夢中で走っていたら、元の場所に戻っていた。



 時計を見ると30分近く経過していた。


 う~ん、10㎞でおよそ30分か……


 常識で考えればかなり速いけど、探索者だから大したことないな……


 かなり強いモンスターと戦えていたから、もっと超人みたいになってると思ってたけどな。




 昼は、宿泊客を交えたバーベキュー。


 60前後の夫婦、犬を2匹連れた50代の男性、家族4人でいるグループは親は40代後半だろうか、年齢の判別がむずかしい。

 ただ、子の方は大きく20歳くらいに見える。



 新鮮な海の幸を堪能し、世間話をしている。


 2人を除けばみんな社交的で、会話がもりあがっていた。


 その会話のなかで、本島の八丈島で自衛隊が来ていると話がでていた。


 なんの用事で来ているのだろうか。


「そういえば、七曲さんの犬はおとなしいですね」


「いや、いい子なんだけど普段はもっとやんちゃなんだけどなぁ? 昼になってから急におとなしくなったんだよ。人見知りでもしちゃったかな」



 そういえば2匹の犬は妙におとなしい。


 フローとフェイや俺を見ると、目をそらす。

 そして若者2人を見ても目をそらす。


 もしかしたら、若い人間が苦手なのかもな。



 その若い男女以外とはそこそこ世間話をして、昼は解散になった。




 そして、このあと俺の運命が大きく動き出す。






 ◆

 ◆

 ◆



 同日、PM2:50


 八丈島の2つの地点では、戒厳令が敷かれていた。


 ある地点から半径200メートルの狭い範囲でだが、その範囲内に島民はいない。


 ごく少数の自衛隊の人間がいるだけだ。


 八丈島に大小2つのダンジョンの入口があり、


 物理的には繋がっていないが、別の意味ではつながっている。


 これは、同じ地区の同じ難易度のダンジョンなら他の場所でも同様となる。



 今回動員された自衛隊の中には、探索者が10名動員されていて、大きな入口には7名、小さな入口には3名配置されている。


 ダンジョン先進国では、住民の避難が容易に可能で、かつ弱いモンスターのダンジョンでならば、スタンピードをわざと起こさせて入口で叩いた方が、効率が良いと確認されていた。



 そして……



「無線、繋がらなくなりました! スタンピード発生しましたっ!!」



 今、八丈島の4分の1が『ウノ』のダンジョンの影響下に入った。




「モンスター、出現します!」




 青い瞳に変化したダンジョンモンスターが地上にやってきた。














 ステータス


 ネーム……六角橋 弥

 レベル……24

 ジョブ……軽戦士

 ヒットポイント……754

 ストレングス……137

 デクスタリティ……161

 マジックポイント……178

 スキル……回復魔法3、火魔法3、速度上昇3、索敵2

 パッシブスキル……早熟、アイテム鑑定、消費MP半減、転職

 コレクション……孤児補正、双子補正、四兄弟補正



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