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【五十階層】旅行前に地下8階

翠と光太郎の寸劇は、今回で最終回です。


今回出てくる島は、八丈島から少しだけ南の空想の島です。

青ヶ島ではないです。




 四谷さんから、ペット同伴ツアーの宿泊チケットを貰ってしまった。


『ペット同伴』と記載されてなければ、四谷さんか、四谷さんの親族が行ったであろう。

 しかし、孤島でペット同伴の宿なんて需要があるのだろうか?



 最初は遠慮して断ったが、 四谷さんの押しに負けてしまった。


 代わりに、モンスター肉(上)を10㎏ほど、無理やりプレゼントした。


 さすがに四谷さんだと10㎏の肉は重すぎたので、半分だけ持ち帰り、残りは見送りの時に持って帰るそうだ。



 モンスター肉も『上』までなら、中毒性はないと思うから、プレゼントしても大丈夫だろう。



 旅行の日程は、三泊四日だから管理者としての週一の確認義務は実施できるし、万が一旅船が荒波で欠航しても、最悪光太郎になんとかしてもらおう。


 念のため、家の合鍵を四谷さんに渡しておこう。



 ◆

 ◆

 ◆




 旅行の準備もできたことだし、今日は地下8階を見学してみようと思う。


 あのホブゴブリンより強力なモンスターなんて想像しづらいけど、フローとフェイの反射速度と攻撃魔法のLV3で、一戦するだけなら通用するはずだ。




 ◆

 ◆

 ◆



 6体も出現したホブゴブリンに、かなり手こずったけど、スキルを数回使っただけで処理することができた。



 目指すは地下8階層。



 長い階段を降りきると、いつも通りの魔法陣がある。


 目新しいものは何もないので、スキル索敵を使って、速めに歩く。


 だけど通路に入った瞬間、俺は動きを止めた。



 通路の外観は濃い紫一色で、広さはホブゴブリンのいた地下7階と変わらない。


 ただし、この階層の気温が違う。


 体感で他の階層より5度以上気温が低い。


 戦闘には全く影響ない程度の気温だけど、初めての事態に警戒心が高まる。



 上下左右にも注意しながら進んでいくと、敵の反応が出た。


 その直後にもう1体の反応がでる。


 1体目と2体目の距離は2メートルしか離れていない。


 現在の通路は真っ直ぐに延びているが、その先で緩やかに曲がっているように見える。



 カーブに差し掛かったところで、敵の姿が確認できた。


 敵の姿は、骨だった。

 その骨は人の姿を形作り、手にショートソードと小さめの盾を持たせた骸骨『スケルトン』だ。



 スケルトンの後ろに重なるように、もう1体のスケルトンがいて、2体並んでこっちに歩いてくる。


 骸骨の目の部分は赤く光っているから、ダンジョンモンスターで間違いない。


 未知のモンスター2体は避けたい、俺の魔法攻撃で先制しよう。


「火球LV3!」


 火の玉は前にいるスケルトンを直撃して、後続のスケルトンまで届いた。


 1体目のスケルトンは消滅して、2体目のスケルトンだけが残った。



「フロー、フェイ、任せた!」


「ニャッ」

「にゃっ」


 ワンパターンだけど、初見の敵はこのやり方が一番いい気がする。


 フローとフェイの反射速度なら後れをとることはないだろう。


 もし何かあっても、まだまだスキルを使える余力はある。



 フローとフェイはスケルトンに襲いかかる。


 盾を利用して防ごうとするけど、体格差がありすぎて、うまく機能してない。


「カカカッ高速剣」


 スケルトンが喋ったぁ!?


 スケルトンの腕から煌めくような剣撃が、フェイを襲う。


「危ない!」


 完全に当たったと思われた攻撃は、ギリギリで避けたように見えた。


 今の避けたんだよな?



 しかし、このモンスターも攻撃スキルを使うか。



 この後、フローとフェイにタコ殴りにされたと思ったら、スケルトンの反撃が来た。


「カカカッ二連撃」


 ヒラリと避けたフェイに、返しの攻撃がきた。


 今回は当たる!?


「ニャッ(硬壁)」


 フェイは物理防御のスキルで、ダメージを回避した。



 そして、フローとフェイのタコ殴りタイム。


 もちろん、スケルトンも普通に反撃をしてるけど、ホブゴブリンのショートパンチ程度の攻撃でフローとフェイがやられる訳がない。


 スケルトンは程なくして消滅した。




 2体のスケルトンは、合わせて8つの『E級魔石』を落とした。



 想像より楽に倒せたのは、攻撃魔法のおかげなのか、フローとフェイが凄いのか。


 あの高速剣と二連撃以外は、それほど脅威に感じない。


 次は俺独りで……いや3人(匹)で戦ってみよう。



 都合の良いことに、索敵で1体のモンスターの反応を見つけた。



 足早にかけより、スケルトンと戦闘を開始する。


「今度は、3人(匹)でやるぞ」


「にゃ」

「ニャ」


「火球LV1」


 レベルを落として放った攻撃魔法をスケルトンは盾を使って防いだ。


 これくらいなら余裕で反応するのか、やはり階層を降りる度に強くなってる。


 そのまま3人(匹)がかりで畳み掛ける。


「カカカッ高速剣」


 スケルトンは俺の左側から薙いでくるから、勘で防御をする。


 速すぎて見てから動くと、絶対間に合わないからな。



 俺の勘は外れて、スケルトンの攻撃はフェイに向かった。


 コノヤロウ!!


 俺の攻撃もうまく当たるが、どうも感触が悪い。



「カカカッ二連撃」


 来る!


「ぐあっ」


 一撃目を巧く防いだら、瞬時に脚を切られた。


 脚に強烈な痛みが走るが、なぜか脚の機能は失われていない。


 しかもダメージは、全体に広がる感覚を覚えた。


 ダメージにしても、魔法を使うコボルトの闇撃LV1よりも軽い。


 このまま、3人がかりで戦うけど、ホブゴブリンと比べて、気持ち強い程度だ。


 ただ、盾を使った防御が巧く、俺の攻撃の半分は防がれている。


「ニャッ(壁)」

 フェイが腰から下側限定で物理防御スキルを俺にかけてくれた。


 スケルトンが物理防御を理解しているなら……


「カカカッ高速剣」


 ガンッ!


 やった、なんとか防ぐことができた。


「カカカッ二連撃」


 スケルトンの二連撃は、フローに避けられた。


 フローは余力を残して一撃目を避け、返しで襲ってくる二撃目に全力で避けたのだろう。

 2回目の回避行動が。速すぎてよく見えなかった。



 しばらくスケルトンと戦って、ようやく消滅してくれた。



 スケルトンとの戦いは疲れる。


 魔石もホブゴブリンが3個に対して、スケルトンは4個とお得感が全くしない。


 スケルトンが、落とすアイテムが気になるが、ここでスケルトンが4体以上出てこられたら、MPが枯渇してしまう。


 俺たちは、地上に戻ることにした。



「なぁフロー、フェイ。スケルトンは強さのわりに旨味が少ないから、もう暫くホブゴブリンの肉狩りでもするか?」


「にゃあ」

「ナァァ」


 フローとフェイも賛成らしい。



 こうして、俺は地下7階層をメインの狩り場と決めた。














 ステータス


 ネーム……六角橋 弥

 レベル……24

 ジョブ……軽戦士

 ヒットポイント……754

 ストレングス……137

 デクスタリティ……161

 マジックポイント……178

 スキル……回復魔法3、火魔法3、速度上昇3、索敵2

 パッシブスキル……早熟、アイテム鑑定、消費MP半減、転職

 コレクション……孤児補正、双子補正、四兄弟補正



翠「私たち、たいぶ強くなりましたね」


光「ああ、でもわかってるんだろ? 私弥が何もしなければそろそろ追い付くかもしれないけど、あいつは絶対にそんなことはしない」


翠「…………」


光「弥と仲良くしたいなら、強さや計算は抜きにして、心を真っ裸にしてぶつかるんだ。俺のように…………そうすれば仲良くなれる」


翠「ほんとですか?」


光「…………ああ(高確率で悪友認定されるけどな)」


翠「…………(嘘は、言ってなさそうだけど、読めない表情も混じってる)」

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