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【四十八階層】ホブゴブリン

「このデカゴブリン、つえぇ」

弥さん、今回も気づきません。


 

 俺は地下7階で、大きなゴブリン2体と戦うことになった。


 先ずは、地力でどこまで通用するか試す。


 1体のゴブリンが、俺に向かってドスドスと歩いてくる。


 サイズがでかいだけあって、威圧感がすごい。


 至近距離まで近づくと、こん棒を高く振り上げてから、俺を狙って思いきり落とした。


 ドゴォォン!!



 音から察するに、恐ろしいまでの威力を感じる。


 あんな攻撃、まともに当たったらひとたまりもないぞ。



 だけど、攻撃に入る前の動きが判りやすい。


 これなら戦える!


 ゴブリンの振り降ろし攻撃に合わせて、胴を薙ぐ。


 いい一撃を与えたのに、ゴブリンは怯む様子もなく、同じ攻撃を仕掛ける。


 もう1度、同じようにゴブリンに横切りで攻撃する。


 しかし今度は浅かった。

 ゴブリンが回避行動をとったからだ。


 俺の攻撃を対処してきた?


 次は振り上げてからの攻撃が速く、避けるのがギリギリになって反撃も力が乗ってない。


 床を叩いた衝撃音が、幾分小さい。

 まさかダメージ重視から速度重視に切り替えた?



 強い……だけど強すぎはしない。

 俺の動きに対処しようとしているが、俺の方が機敏に動ける。


 ゴブリンの攻撃は、今のところ全て見切れるタイミングと速さだ。


 ただ、攻撃が単調すぎるのが気になる。



 ゴブリン相手に順調にダメージを重ねていく。




「ホブゴブ!」


 声を出したゴブリンを見ると、フローとフェイも善戦してるみたいだ。

 ただ、戦い方が少し違ったような……



 だけどよそ見を続ける余裕はない、ゴブリンとの戦いに集中する。


 ゴブリンに追加で2回攻撃を与えたら、ゴブリンの口が開いた。


「ホブゴブ!」


 ゴブリンの攻撃を避けた瞬間、ある嫌な感覚がした。

 そう、トレントの不意打ちをもらった直前の感覚だ。

 とっさに左腕で頭部を守ると、腕に衝撃が走った。


 バランスを崩したので、急いで迎撃体勢をとる。


 デカゴブリンが何をしたか見えなかったが、考えられることは1つ、こん棒を持っていない左腕で殴ってきたのだろう。


 このゴブリンは、戦い方を変えて工夫しているだと!?



 同じ攻撃パターンをするコボルト、ただ、相手の部位を狙って攻撃するだけのスライムやトレントとは違う。


 トレントを上回る攻撃力に柔軟性が加わるのか、この巨大ゴブリン……強敵だ。



 だけど、ゴブリンの攻撃はなんとか……いや、わりと見切れる。

 ゴブリンのこん棒は身を翻して避け、拳は盾で防ぐ。


 防ぐ角度さえ気を付ければ、そのまま反撃できる。


 うまくいけば2回連続で攻撃を与えられる。


 このまま戦えれば勝てる!







「ホブゴブ……」

「ホブゴブ……」


 ゴブリンが意味の解らない言葉を発した?



 ゴブリンの攻撃が弱くなった気がした。


 そのまま反撃をしたら、ゴブリンの足が迫ってきた。


「グッ!?」


 もろに蹴られてしまった。


 完全にバランスを失ったけど、ゴブリンの追撃は来なかった。


 ゴブリンも無茶な姿勢で、攻撃したからなのだろう。


 これからは、もっと慎重に攻撃をしてみよう。


 消極的だけど、今はこれでいい。


 ゴブリンの戦い方も消極的になった。

 手加減した攻撃で俺の攻撃を誘い、そこから相打ち狙いの攻撃を繰り出す。



 もっと戦いたい……

 こいつと戦えば、俺も戦い方が巧くなる気がする。



 そう、強く感じたところでゴブリンは消滅した。



 フローとフェイもゴブリンを倒したようで、その姿はなかった。



 この大きなゴブリンが落とした魔石は、E級魔石が3個。



 フローとフェイが倒したゴブリンの魔石も合わせて、収穫は6個だ。


 今回はドロップアイテムを落とさなかったので、次回の楽しみにしよう。



 どこかの未来施設みたいな通路を進んでいく。



 索敵の効果が残ってるうちに、モンスターの反応があった。


 2体の反応、多分次の分かれ道を右に行ったところだな。



「フロー、フェイ次もまた2体だ」


「んにゃ」

「ニャア」



 丁度良い……魔法の威力と効果を試すと同時に、ゴブリンをじっくり視てやろう。



 曲がり角を進み、先をみるとゴブリン2体を視認できた。


 今回は通路での戦いだ。



「火球LV2」


 火球を喰らったゴブリンがドスドスと移動速度を上げて突っ込んできた。


 もう1体は、ゆっくりとこちらに進んでいる。



 7階層のモンスターは、さすがに強い。

 LV2の魔法攻撃にも耐えられるか。


 予定変更だ。



「フロー、フェイ、少し下がれ!」


「ニャ?」

「んに?」


 フローとフェイも、俺と一緒に下がってくれた。


 2体のゴブリンの距離がある程度離れたところで合図を出す。


「今だ!」


 フローとフェイの引っ掻き攻撃がゴブリンにお見舞いされた。


 ドゴォン!!


 こん棒が降り下ろされる頃には、フローとフェイは離脱していて、俺の渾身の一撃が突き刺さる。


 俺もフローとフェイのようにすぐに離脱しようとしたら、ゴブリンは消滅してしまった。



 どうやら、魔法攻撃でかなりのダメージを与えていたようだ。



 ここからは、予定通りフローとフェイに任せて、大きなゴブリンの動きを観察する。



 しかしまあ、なんて速さをしてんのかね。

 うちの娘たちは……


 大振りのこん棒など、まるで当たる感じがしない。


 それにあの体格差で戦いになるのがビックリだ。


 確かに爪や肉球の一撃が俺の剣より弱いとはいえ、あの体格でゴブリンを10分弱で倒してしまう攻撃力は凄い。



 ゴブリンも攻撃に緩急をつけているが、降り下ろし一辺倒だから単調すぎると言っていい。



「ホブゴブ!」


 ゴブリンの戦い方が劇的に変わった。

 全く掠りもしないフローとフェイに空いている左手も使って攻撃してきた。



 あれっ?


 たしか俺の時も、1度言葉を発した後に戦い方が変化したような……


 ただ、その程度ではフローとフェイに攻撃を当てるなんて無理だろう。


 戦いを見ていて思ったけど、このゴブリンは見た目と違って、そんなに怖くないんじゃないかと思う。


 こいつの攻撃は何回か防いだり受けたりしたけど、まともに喰らったと仮定しても、致命的なダメージじゃなさそうだ。


 威力もトレントより気持ち少ない感じがしたし、戦い方が多彩になっただけみたいだ。


 まあ、あのこん棒の攻撃力は受けてないからどれくらいの威力があるか解らないけどな……。



「ホブゴブ……」



 またゴブリンの戦い方が変わった。


 足で踏み潰しにかかったり、攻撃を一旦やめて相打ち狙いになったりしていた。


 もしかしたら、ゴブリンが声を発する度に攻撃手段が拡がるのかも、知れない。


 フローとフェイにもう少しで届くところまで頑張っているけど、一撃も与えることなくゴブリンは消滅した。



 今回もアイテムは出現しなかったか……



 この次は3体のゴブリンと遭遇したから、一対一で戦った。


 相打ち狙いになってから何回か攻撃をもらったけどわりと安全に倒すことができた。


 やっぱりゴブリンは強敵でも、脅威じゃなかった。


 時間はかかるけど3体のゴブリンも倒すことができた。


 ただ、まだドロップアイテムが出ない。


 合計で8体も倒したのにドロップアイテムなしなんて、まるで駅近ダンジョンみたいだ。



 結局、この後出現した2体のゴブリンがそれぞれアイテムをドロップしてくれた。


 ドロップアイテムを眼を凝らして見ると、こう表記されていた。




『モンスター肉(特上) かなり美味しい』

『食べると若干の経験値が得られる』














 ステータス


 ネーム……フロー

 レベル……25

 ジョブ……ネコ

 ヒットポイント……536

 ストレングス……71

 デクスタリティ……218

 マジックポイント……142

 スキル……魔法防御3

 パッシブスキル……悪食、成長補正2倍、ドロップ確率2倍

 コレクション……孤児補正、五つ子補正、五兄弟補正、ネコ補正



 ネーム……フェイ

 レベル……25

 ジョブ……ネコ

 ヒットポイント……536

 ストレングス……71

 デクスタリティ……218

 マジックポイント……142

 スキル……物理防御3

 パッシブスキル……悪食、成長補正2倍、モンスター遭遇率2倍

 コレクション……孤児補正、五つ子補正、五兄弟補正、ネコ補正





?「今回は、光魔法について検証させてもらう。こちらの期待通りなら、二軍の予備メンバーとしてダンジョンに潜ってもらうから」


光「わかった」

翠「よろしくお願いします」


翠「スケルトン、モンスターランク6、『斬る』『突き』にたいしてダメージ低減があります」


?「くっ、わざわざ頭や縦斬りしたのに無意味だったのか、明日から鈍器を用意しよう」


光「光破LV1!」


?「モンスターランク6のスケルトンが一撃だと……うわさ以上だ」


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