【五階層】再びダンジョンへ
もう一度、ダンジョンに潜ることにした。
もちろん、モンスター肉の美味しさに負けたからだ。
あれは、危険を冒してでも、食べたいと思わせるほどの衝撃的な美味しさだった。
フローとフェイに『モンスター肉』を探しに行くと話したら、ついてくる気満々だった。
装備も、少しだけ改良した。
LEDライトは、消したまま身体に巻き付け、壊れたスコップは改良して左腕をガード出来るようにした。
新しいスコップを持ち、大鋏をベルトに挿せるようにした。
なんか、改めて装備をしたら気分が高揚してきた。
ダンジョン探索も、形から入ると良いのかも知れない。
ちょっとポーズを決めて、フローとフェイに聞いてみる。
「どうだ、かっこ良くなったか?」
「……」
「……」
スタスタスタ。
トトトトトト。
……久しぶりに無視された。
よし! 気を取り直して、モンスター肉を探そう。
最初の広間で、いきなり2体の巨大モグラと遭遇した。
まずは、フローとフェイが強くなったか確認だ。
「フロー、フェイ、やってみるか?」
「にゃっ」
「ニャッ」
やる気充分らしい。
軽い弧を描いて、巨大モグラに向かって行く。
フローとフェイの動きが速い。
相手は首を傾けて動きを追うだけだった。
強烈な猫パンチを浴びせて、相手を転がす。
直ぐに第二撃を与える。
両手で抱きつくように捕まえて噛みつく。
これは逃げられないな、と思ったら、両足で噛みつき両足蹴りをしている。
普通の猫ならば、痛い程度で済むのだろうが、猫パンチ1つで、巨大モグラを転がせる威力があるんだ。
数秒間で10回以上の蹴りを与えつつ、牙は巨大モグラの弱い箇所に噛み直されていた。
ほどなくして、巨大モグラは光の粒子になり消えていった。
そして、パチンコ玉サイズの魔石を落とす。
期待したドロップアイテムって言うか、モンスター肉は出なかった。
リュックとは別に巾着袋も持って来たから、その袋に魔石を入れる。
フローとフェイを、撫でて褒める。
以前から褒めると喜ぶ猫だったが、それが如実に表れた気がする。
次は俺も戦ってみたい。
5分くらい歩くと、都合よく1匹の巨大モグラと遭遇した。
「フロー、フェイ、ここは俺がやる」
「にゃ」
「ニャ」
俺はゆっくりと歩いて、相手の出方を窺う。
赤い瞳のモンスターは、少し待ってから突進してきた。
どうやら、突進は基本の攻撃方法なのかも知れない。
やっぱり、巨大モグラの動きがよく解る。
だが、威力があると考えて、スコップを斜めに構えて攻撃を逸らす。
そのまま動きをよく見る……巨大モグラはその場で向きを変えて攻撃をしなおすつもりだ。
だが、向きを変えている間は無防備かな……ならば、待たずにスコップを突き刺す。
昨日とは違い、スコップは巨大モグラに深く刺さる。
だが、相手は怯むことなく噛みついてきた。
しかし、その動きもよく見えたから、即席で作った手甲で受けることができた。
ギャリギャリ!
俺の腕の肉を噛みちぎったモグラの牙は、手甲で防ぐ。
そのまま左腕で振り払うと、相手は後ろ向きに倒れて腹を見せたから、スコップで突き刺す。
巨大モグラは、光の粒子になって消えていった。
消えたと同時に魔石を落としたが、モンスター肉のドロップは今回もなかった。
モンスター肉のドロップ率はかなり低いのかもな。
まあ多かったら、もう少し市場に出回っているだろう。
でも、僅かだけど肉を食べると、経験値が手に入るって事を世間に知られていれば、市場に出ていないんじゃないのかとも思うけどな。
次に遭遇したのは、3匹の巨大モグラ。
このダンジョンの1階はそれしか出ないようだ。
「フロー、フェイ、1匹ずつやるぞ」
「にゃ!」
「ニャ!」
フローとフェイの戦いに気をとられたせいか、倒すのに時間がかかったけど、無傷で倒す事が出来た。
フローとフェイは一足早く、 巨大モグラを倒して……おっ、ドロップアイテムの『モンスター肉』を、それぞれ持ってきてくれた。
やった! モンスター肉2セット、推定2㎏をゲットした。
「フロー、フェイ、やったな」
「にゃあ」
「ニャア」
ダンジョンの広さを把握するために歩くと、2匹の巨大モグラと遭遇する。
今度の俺は防御重視で、フローとフェイには連携攻撃をするように指示をだした。
俺の方は時間がかかったけど、スコップの突き刺し攻撃3回で倒せた。
フローとフェイの方は……相手が可哀想に感じるほどだった。
余裕があるせいか、猫パンチでキャッチボールしてるかのイメージがしっくり来た。
これを『なぶり殺し』と言うのかもしれない。
男女男でなぶるだけど、これは猫土竜猫だけどな。
その後、8匹ほど倒して、モンスター肉も2回ドロップしたところで、自宅に戻る。
ただ帰り道の事を頭から抜け落ちていた。
帰り道にも、3回ほど巨大モグラと遭遇して8匹倒すはめになった。
代わりに、大鋏で巨大モグラを倒す練習もしたし、モンスター肉も1つ追加でドロップしたので良しとしよう。
階段手前の広間にたどり着いた時、ピクニック気分から覚めた。
広間には、5匹の巨大モグラがいたからだ。
驚きはしたが、想定外ではなかった。
今は忘れていたけど、ダンジョンに入る時までは考えていたからだ。
「フロー! フェイ! 俺が引き付けるから、隙をみて削ってくれ!」
「にゃん!」
「ニャッ!」
スコップの柄を短く持って、声を大きく上げて、ゆっくりと進む。
うまく相手の意識を、俺に向けることができた。
巨大モグラ3匹が俺に向かってくる。
気を引き締めているせいか、さっきより動きがよく見える。
巨大モグラの連続突進攻撃に、2匹目まではスコップをうまく使い、冷静に避けられたが、3匹目でバランスを崩した。
不味い……と思ったが、フローとフェイが相手をしてくれている。
よし、3匹なら時間を稼げる。
スコップと手甲を使えば、3匹の攻撃は充分対処出来る。
回避を繰り返していると、 だんだんと相手の攻撃パターンが分かるようになってきた。
これなら、避けながら攻撃出来るかも、と思った時、フローとフェイが救援に来てくれた。
早くないか?
そして、1対1ならば巨大モグラに後れをとることはない。
数回スコップで叩きのめした後、突き刺して止めを刺した。
今回、フローとフェイの動きがさらに速くなった気がするけど、レベルアップとかしてるのだろうか?
俺は強くなった気がしないんだけどな。
ただ、突進の威力が大した事ないように感じはしたけど、気のせいだろうか。
「にゃあ~」
「ニィ~~」
フローとフェイが魔石とモンスター肉を運んできてくれた。
これで今日手に入れた、モンスター肉は6個にもなり魔石は27個も手にいれた。
昨日で、魔石が4つ手に入ったから合計31個になる。
だけど、この魔石の使い道が解らない。
部屋に戻って一段落したら調べてみるか。
こうして、ダンジョン探索2日目が、終わった。
ステータス
ネーム……六角橋 弥
レベル……2
ジョブ……一般人
ヒットポイント……74
ストレングス……21
デクスタリティ……23
マジックポイント……45
スキル……回復魔法0、火魔法0
パッシヴスキル……早熟、アイテム鑑定、消費MP半減、転職
コレクション……孤児補正、双子補正、四兄弟補正