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【三十三階層】転職1

 翠ちゃんは、モンスター鑑定の他にもアイテム鑑定を持っているのかも知れない。


「翠ちゃん、スライムゼリーを知ってるの? それとも」


「いえ、スライムゼリーと読めました。100倍に薄めて使用すると、成長速度が上がるとなってます」


 なっ!?


 俺が目を凝らして見ても『100倍に薄めて使用する』とまでしか見えないぞ。


 この違いはなんだ?

 


「翠ちゃんは、アイテム鑑定のスキルも持っていたの?」


「……」


 翠ちゃんからの返答がない。

 何か考え込んでいる。


「解りません、アイテム鑑定のスキルはないはずです。でもこれだけは見えたんです」



 なんでだろう?


 この後翠ちゃんと、ダンジョンについて色々話し合いながら食事をした。


 そして『次も頑張りますね』と次回の家食の約束をしてから帰っていった。


 翠ちゃんには、コボルトスパイスを5本あげたんだ。


 これで、翠ちゃんが色々試してから、また来てくれることになったんだ。



 翠ちゃんとの会話で気づいたことがある。


 他の一般の探索者たちは、1週間に2、3回しかダンジョンに潜らないらしい。


 それは、アイテムショップの武藤さんにも聞いたことがある。


 だけど、回復手段のないパーティは、そのペースで潜るのが適当なんだそうな。


 たしかに回復ポーションは、バカみたいに高かったし、回復量が同じと仮定するならば、俺の価値を金額にするならば物凄い額になりそうだった。



 なので、低レベルの内は慎重に慎重を重ねて探索するから、レベルの上がり方も相当遅いって話だったな。


 あとは、順調な探索者もレベルが上がり方が鈍くなってきて、一定の階層まで行くと、そこから下層には中々行けないらしい。


 それは俺も実感していた。


 ボクサーウサギと戦っていて、特に感じている。


 ボクサーウサギとの戦闘は、大分楽になったけど、それは戦闘慣れしたことと、フローとフェイが凄く強くて、助かっているのもある。


 俺みたいなのが5人いたと仮定しても、スライムあたりでとどまってるか、殺されていたかも知れない。



 翠ちゃんの話を聞いて、俺の成長は速いと解った。


 だから、焦らずじっくりと進めようと思う。


 ◆

 ◆

 ◆


 それから、数日が経過した。


 少し前まで『焦らずじっくり』なんてことを思っていたのに、また成長の遅さに若干の焦りを感じ始めた。


 理由は、少し前の光太郎と翠ちゃんと週末ダンジョンに潜った後だった。


 いつもの、レベルアップ測定器(別名、握力計)だと、また2人のレベルが上がっているのが判った。


 光太郎は『107㎏』翠ちゃんは『114㎏』となっていたからだ。


 ふたりとも森林コンビに追い付いてしまった。


 たった週に2回の探索だけでだ。


 Gモールとも一対一ならば安定して倒せるし、3体相手でも、対処できるまでになった。



 2人の成長をみて焦っても仕方ないとはわかっているが、どうしても考えてしまう。



 精神的なせいか、調子がいまいちなので、今戦っているボクサーウサギの集団を倒したら帰ろう。



 ボクサーウサギの集団を倒し終わったら、突然目の前に文字が浮かんできた。


『転職可能なレベルに達しました。【軽戦士】に転職できます。転職しますか? 【yes】【no】』


 と……




 こんな文字が視界に映ったままじゃ、まともに戦えないから一直線で魔法陣の部屋に行き、家に戻った。



 そうして、翠ちゃんと光太郎に『探索者に転職ってあるの?』とメールをしてから、インターネットで調べたが、そんな情報は1件もなかった。


 ただし『転職があったら良いのに』とか『一般人は嫌だから、転職キボンヌ』とかの書き込みはいくつもあった。



 光太郎からは『はっ、お前もとうとう夢と現実をごちゃ混ぜにするようになったか』と返信が来るし、翠ちゃんからは『都市伝説を信じてはいけませんよ(;・ω・)』と顔文字付きの返信きた。


 情報がないなら、行動に移そう。

 たぶん、弱くなるなんてことはないはずだよな。

 そして【yes】を選択したら、目に写る文字が消えた。




 次に翠ちゃん、光太郎と駅近ダンジョンに行く日まで3日はダンジョンに潜れる。


 自分の力がどうなったのか試してみよう。


 自衛隊の探索者がなっていると言われてる職業【軽戦士】の力を。



 ◆

 ◆

 ◆



 翌日、ボクサーウサギと戦ったけど、なんの変化もない。


 相手の動きが遅くなったとか、攻撃力が上がったとか、まるで感じられなかった。


 試しに、探索者用の握力レベルで力を計ってみるが、転職前と変わらない『230㎏』だった。


 まさか間違って【no】にしたんじゃなかろうかと不安になってきた。





 その翌日もボクサーウサギをメインに戦った。


 相変わらず、変化のない戦いをしていたが、途中からボクサーウサギの力が弱くなった気がした。


 気のせいかと思ったが、次に出てきたボクサーウサギもパンチ力が下がっていると感じた。


 当日のノルマを倒し終わって、家の居間で握力を計る。


 その数値は『255㎏』となっていた。


「や、やったぁ!!」



「にゃあ」

「ニャア」


 フローとフェイも喜んでいるみたいだ。


 これも【軽戦士】の効果なのだろうか。


 明日は、攻撃魔法を限界まで使って、スキルの使用限界数に変化がないか確かめよう。



 力が上がるだけで、ボクサーウサギとの戦闘が一段と楽になった。


 一度に4体以上相手をすると、たまにダメージを受けるが、体勢を崩すことが少なくなった。


 この調子なら、ノルマを達成するのも何時より速い時間で達成しそうだ。



 しばらく戦っているうちに、また少しボクサーウサギが弱くなった気がした。



 もしかしたら、またレベルが上がったのかも知れない。


 やはりと言うか、探索者用握力計は『265㎏』を表示していた。


 この時、俺はこう思った……

 地下5階層に行く日も、遠くないと。













 ステータス


 ネーム……六角橋 弥

 レベル……10

 ジョブ……軽戦士

 ヒットポイント……434

 ストレングス……62

 デクスタリティ……77

 マジックポイント……114

 スキル……回復魔法3、火魔法3、速力上昇0、索敵0

 パッシブスキル……早熟、アイテム鑑定、消費MP半減、転職

 コレクション……孤児補正、双子補正、四兄弟補正




補足。

転職して、1レベルから再スタートしていますが、能力値は下がりません。

なので、一定のレベルに達するまでは能力値は上昇しにくくなっています。

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