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【二十七階層】対ボクサーウサギ連係訓練

しばらくタイトルはこのままで……

 今度の週末も光太郎、翠ちゃんとダンジョンに行くことになった。


 光太郎はともかく、翠ちゃんのモンスター鑑定は、家のダンジョン探索に欲しいと思う。


 聞いた話だと『モンスター名』『モンスターランク』『基本行動』が判るからだ。


 モンスターとの戦いで一番恐いのは、知らないことだと俺は思う。


 俺も週末までに、がっちり稼いでおくか。

 なにせ、探索者用のアイテムは値段が飛び抜けて高いからな。



 地下1階と2階は、ほとんど駆け足で進み、出てくるモンスターは攻撃2回で始末できる。


 地下3階のスライムも容易に倒せるけど、走ってダンジョンを進むほどバカじゃない。


 普通に歩いて進んでいく。


 2時間もかからないで、地下4階に到達した。

 ここからは慎重に歩いて、ボクサーウサギを探す。


 ボクサーウサギは、フローとフェイの苦手とするモンスター。

 空振りする度に攻撃速度が増すから、いずれは被弾してしまう。


 俺は、盾を使って攻撃速度をリセットさせているから、一対一なら安定して倒すことができる。


 だけど、俺もフローとフェイも倒すまでに、少なくても1回はボクサーウサギにダメージを受けてしまう。


 したがって、この階層で長時間潜っているのは難しいのだ。


 何か対策を考えよう。


 2体のボクサーウサギと遭遇したとき、ある戦法を思い付いた。


 2体のボクサーウサギはフローとフェイに任せる。


 タイミングを見計らって、フローと戦っているボクサーウサギの攻撃を盾で受けとめる。


 次はフェイと戦っている奴だ。


 防御に専念さえすれば、ボクサーウサギのパンチは怖くない。


 たまに、盾ごと防いでも軽いダメージをもらうけど、微々たるものだ。


 俺が盾役になることで、2体以下のモンスターなら、安定して切り抜ける事が出来た。


 そう理解したなら、これからの課題は、どうやって盾役を立ち回るか。


 ボクサーウサギが2体のときは問題ない。


 3体出現したときに、練習しよう。


 しかし、次に遭遇したボクサーウサギは4体だった。


「火弾LV1……だっ!! よし減ったぞ。フロー! フェイ!」

 魔法プラス剣の一撃で一番手前のボクサーウサギは消滅した。


「にゃにゃ!」

「ニャニャ!」


 フローとフェイは、俺から少しだけ距離を離して戦い始めた。


 俺が相手にしているボクサーウサギと戦いながら、フローとフェイにも気をまわす。


 ドン!


「ぐおっ」


 重たいパンチが俺を襲う。


 ダメだ。先ずこいつに集中しないと……






 結果、俺は3回もダメージのある重たいパンチを貰い、フローとフェイも1回ずつ殴られた。


 結局この日は、うまく立ち回る事は出来なかった。



 ◆

 ◆

 ◆


 連係訓練を始めて2日くらいすると、なんとか3体相手に盾役をこなす事が出来るようになった。


 その辺りで、少しだけボクサーウサギとの戦いが楽になってきた気がする。


 フローとフェイは15回までは、ボクサーウサギの攻撃を余裕で避けられる。


 10回目あたりから、盾を使い防御してあげれば、しばらく間が空くので、そこだけ俺が相手をしてるボクサーウサギに集中できる。


 ようやく3体までなら、安定して狩れる。


 たまに出現する4体の集団は、攻撃魔法を使って減らす。


 今まではレベル1の攻撃魔法1発でモンスターを消滅させてきたが、このボクサーウサギは生き残る、しかしフローとフェイの攻撃1回で、倒せるまでには弱らせるから、まだまだ使える魔法だ。


 明日は、ダンジョンに潜らない予定だから、この狩りの続きは土日を挟んで来週になる。


 最後に出口近くでモンスターと戦い、スキルの限界数を計った。


 結果は回復スキル2回と攻撃魔法9回が限界だった。


 2日前は回復スキルを5回使って、攻撃魔法が7回しか使えなかったから、恐らく回復スキルの方が燃費がいいのだろう。


 フェイの防御スキルは、5回までしか使ってくれなかったから、燃費の悪いスキルと考えられる。


 しかし、フローはスキルを使わない、いや使えないのだろうか。


 そこら辺を聞いてみたけど『にゃぁ、にゃぁ』鳴くだけで、意思の疎通がとれなかった。



 スキルを使いきったら急いで、出口の魔法陣に向かう。


 そして、一瞬で地下1階に到達して、家に戻る。


 後は家庭菜園の作物を見て、1日が終わる。


 毎日、モンスター肉ばっかり食べてるけど、身体は平気なんだろうか。


 野菜と米も食べてはいるが、比率がよくない。


 明日は、魔石を売るついでに、違う食材でも買ってみようか。





 ◆

 ◆

 ◆



 F級魔石とE級魔石を売りに武藤探索店に出かけた。


「いらっしゃい」


 俺だと判った武藤さんは『奥に来るかい?』とジェスチャーをしていたので『武器を見てます』と真似をしてジェスチャーしてみる。


 俺のジェスチャーは伝わったようで、普通に店番や仕事をしている。


 武器を見て不思議に思ったことは、鑑定をするため目を凝らしてもなんの表示もされないのだ。


 僕のアイテム鑑定は、ダンジョンでドロップしたアイテムとマジックバッグにしか通用しないみたいだ。



 客足がなくなり、俺1人になったところで、武藤さんのところに行き、魔石の買取りを依頼する。


「今回は、これとこれをお願いします」


 小袋にしまった、F級魔石とE級魔石を取り出す。


「おお弥くん、狩り場を下層に移動したんだね……もう100個集めたのかさすがだねぇ」


 と言ったあと、少しだけ考え事をしていたように感じた。


「弥くん、提案があるんだけど聞いてくれるかい?」


 なんだろう。


「F級魔石の買取り価格は500円って一般的には広まっているんだけど、実は400円なんだ」


 はっ?


「えっ、どういう事ですか? だって今まで……」


「買取り価格の設定に決まりがあってね、探索者カードに記録してある収入が1000万円未満の探索者は特例で、500円で買い取ることになってるのさ」


 うわぁ、初耳だ。

 なんでそんな話が、今まで出てこなかったんだろう。


「駆け出しの探索者が1000万も稼ぐのは難しいからね。やる気を削がないためにある程度強くなるまで上乗せで買い取ってるんだよ。もちろん国から差額は貰ってるから店は問題ない」


「なるほど……でもどうして今、私にこんな話を?」


「弥くんの懐事情に問題がなければ、E級魔石の買取りは一旦保留にして、F級魔石だけの買取りをお薦めするよ。あと法的規制」


「あっ、そうか……武藤さんありがとうございます。そうします!」


 僕のはもうすぐ1000万円を稼ぐだろうから、安くなるF級魔石から先に売った方が良いにきまっている。


 ここの常連になって良かった。



 ここで、F級魔石1000個を買い取ってもらい、50万円が探索者専用口座に振り込まれた。





 帰りにスーパーに立ち寄って、食材や日用品を買って帰る。


 しかし、相変わらず物価が高い。


 中国がなくなった影響は消えるどころか、重くのし掛かりっぱなしだ。


 ただ、去年あたりから魚の物価が下がり始めた。

 特に青魚の価格低下が著しい。


 サバの缶詰がとても安かったので、大量に買って帰ることにした。


 塩分が多く入ってなければ、フローとフェイにも分けてあげられるんだが。


 フローとフェイの分は、旬が来るまで待ってもらうか。



 フローとフェイとまったりと遊びながら、俺の休日は終わった。














 ステータス


 ネーム……六角橋 弥

 レベル……17

 ジョブ……一般人

 ヒットポイント……374

 ストレングス……51

 デクスタリティ……68

 マジックポイント……102

 スキル……回復魔法3、火魔法2

 パッシブスキル……早熟、アイテム鑑定、消費MP半減、転職

 コレクション……孤児補正、双子補正、四兄弟補正

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― 新着の感想 ―
[良い点] これ近いうちに探索者の怒りが爆発して、なんか事件起こるぞ 探索者って命を対価に金を得てるじゃん?それを温室でぬくぬく育ってきたようなお坊ちゃん達に搾取される訳でしょ これってあくまで所得税…
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