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【隠し階層2】ダンジョン対策庁②

10話毎に1回閑話を差し入れてます。

【十九階層】の話を、修正しました。

 日本で発足された部署『ダンジョン対策庁』では、新たな法案の骨組み作りや、判明した事実を再検証して、その報告がなされていた。


 そして、この日は定例会議。


「それでは、科学技術庁からの検証結果を読み上げます。まずはモンスター肉から。我が国の誇る自衛官探索者のトップチームが5段階目のモンスター肉を入手致しました」


「おお……」

「おお」

「なんだと!?」

「早く続きを」


 1段目のモンスター肉を鑑定すると『並』と読めるそうですが、2段階目は『上』3段階目は『特上』となります。


 ここまでの話は、この部屋の殆どの参加者たちが知っていることなので、勿体ぶって報告している者に、苛立ちを覚える様子があちこちで窺える。


「君、早く本題を言いなさい!」


「は、はいっ。ご、5段階目のモンスター肉の、鑑定結果は『最上』でして『格別な美味しさ』との表記もありました」


 どよめく中、1人の男が質問する。


「君、4段階目のモンスター肉はどのような表記だったのか?」


「はい、『極上』の『たまらない美味しさ』と表記されていたそうです。検査結果では3段階目までのモンスター肉は無毒で人体に害はないとの事ですが、逆に血液検査の結果では、全て良い方に数値が変わっていました」


「4段階目以降のモンスター肉は、何故結果がでないのか?」


 今の日本の科学力なら、回答が出るだろうと信じての発言だった。


「これから話すことは、メモですら記録を残せませんがよろしいでしょうか?」


 報告者は、異論がないことを確認した後、話しはじめた。


「実は4段階のモンスター肉を食べた事で、死亡した人間がいました。死因は不明ですが、報告によると死亡した例は全て『探索者』でないことが判明しています。おそらく5段階目のモンスター肉も同様に、探索者しか食べられない仕様になっているものかと……」




「ということは、探索者は食べても問題がないということか」


「はい、今のところ『探索者』で害のある報告は受けていません」


 その報告の後は、モンスター肉の保存期間の説明書があった。


 モンスター肉の状態保存の仕組みは解明出来ていないが、開封するまでの保存期間は、5年以上としか判っていない。


 そして、開封後の腐るまでの時間は牛ロースの約4倍だったと報告された。


 そして『栄養価』を何度調べても、通常の肉より数値が少し良いだけの測定結果だったと言う。


 ただ、火をかなり通しても有害物質は検出されなかった。


 この事から、モンスター肉は『自己責任』で食べる事が許可されて、市場に出回る事になる。



 ダンジョンからドロップされるアイテムは、科学的検査では全て不明であり、実際に試した結果が報告に上がった。


 ……

 …………



「では、最後の報告ですが、スキルに現時点で判明した事を報告します。スキルの持てる数は0~4個まで、ただしそれは職業が『一般人』の場合で『農耕士』が1個~5個、他の職業は、2個から6個と検証結果が出ています。いままで確認できた職業は『一般人』『農耕士』『軽戦士』『戦士』『重戦士』『治癒士』の6種です。スキルについては前回に説明した分も合わせて~~~~~~~~となっています」



 スキルの名前と効果を聞いていた1人が質問を投げかける。



「先程、言っていた『全鑑定』なんだが、『アイテム鑑定』と『モンスター鑑定』の合わさっただけなのだろ? いくら世界でたった2人しか見つかっていないスキルだからって、そんなに希少扱いするほどなのか?」


「それより、そんなスキルは本当に存在するのか? ステータス看破のスキルを使っても表示されないのだろ?」

「モンスター鑑定とアイテム鑑定の2つを持っているだけじゃないのか?」


 鑑定系のスキルはパッシブスキルで、正式名は不明のままだった。


 ただ、アイテムの名前と情報が分かる者と、モンスターの名前、ランク、簡単な特徴が分かる二種類の探索者が多数いるため、このような名前が付いたのだ。




 スキルについて解説していた者が、誰かに目配せをする。


 そして、確認が取れたらしく、口を開く。


「簡単に説明しますと、全鑑定の正体は、アイテム鑑定とモンスター鑑定の上位互換プラス、ダンジョンにある文字の解読です」


『何だと!』

『何!?』

『何故、そんな大事なことを今更』

 と、騒がしくなったが、1人の咳払いで静けさを取り戻した。


「上位互換自体は、鑑定内容に一行追加された程度で『便利』程度なのですが、ダンジョンの文字を読めるということで注目を浴びました。ただダンジョンの文字は各ダンジョンの1階の入り口上部にしか見つかっていません」

 

 それを聞いた何人かは『希少だが、さほど重要じゃない』と認識した。


 

「たしか『(ウノ)』『(ドス)』『(トレス)』『(クアトロ)』だったか……強さを順番に表しているらしいが、モンスターと一戦すればダンジョンの強さなど解ってしまうのだろ? 大きな価値があるとは思えん」


「今のところはそうですが……」



 しばらく、意見の出し合いや情報共有がなされ、次回の会合の話になった。


「次回は、ダンジョンのモンスターが通常兵器にどれだけ耐えられるか実験結果の報告の予定でしたが……探索者で学者である『ガルシア・アレハンドロ氏』の都合で、その方の講義が次回の会合になります」



「ほう、世界にたった2人しか見つかってない『全鑑定』の持ち主か」



 今日ここに集まった者は皆、次回の会合のため、予定を空けようと考えていた。








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