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【十一階層】 市役所勤務の探索者

誤字報告いつも、ありがとうございます。

 地下2階に到達して、最初に目に止まったのは、不規則な並びの石だった。


 その石を慎重に触ってみるが、床と一体化していて、動かすことが出来ない。


 どんな作りをしているのかと考えてたら、石が発光し始めた。


 そして、発光した床を見て初めて判った。

 俺とフロー、フェイは魔法陣の中にいるって。


 淡く光っていた魔法陣が一瞬強く光り、そして消えた。


 何だったのだろうかと、考えようとしたが直ぐに判った。

 背後にあったはずの、1階層へ戻る大きな階段が消えていた。


 ダンジョンのことは、ある程度調べたけど、こんなデストラップがあるなんて知らなかった。


 フローとフェイには悪いが、独りじゃなくて本当に良かった。

 3人(匹)なら、何とか帰れるかもしれない。


「にぃ」

「ニャァ」


 不安にかられてる俺を察して、元気付けているみたいだ。

 癒される……よし、行くぞ。


 唯一進める方向に向かうと、どことなく初めの広間に似たような場所だった。


「なんか、最初の場所にそっくりだ。ほら、この上に行く階段なんて本当そっくり……えっ?」


 自分で呟きながら驚く。

 何故なら、見覚えのある階段が目の前にあるのだから。


「とりあえずまぁ、上れば判るか。フロー、フェイ行こう」


「にゃっ!」

「ニャッ!」


 階段を上りきると、可能性として想像していた自分の家の中だった。


 どあぁ 無駄に緊張したぁ。


 もう一度ダンジョンに入り直して、階段のある道を進んでいく。


 すると約1時間で、下層に行く階段のある広間まで到着した。


 だけど、巨大もぐらの集団はいないし、階段も出現したままだった。

 再出現まで時間がかかるか、モンスターはもう現れないかも知れない。


 今日はここまでにしよう。



 銭湯に行く準備をして家から出た。

 やはり、風呂場が消えてダンジョンになったのは、不便に感じる。


 だけど、風呂場を使うのは俺だけだから、被害は最小限ですんだな。


 徒歩15分圏内に銭湯があったのは、ラッキーだと思う。


 明日は、午前中に少しだけダンジョンに潜って、家の手伝いと魔石の換金に行こう。



 ◇

 ◇

 ◇


「いらっしゃい……あぁ君か。魔石でも売りに来たのかい?」


 俺は『武藤探索店』に来ていた。

 オープンしてから日が浅いのか、それとも探索者用のアイテムショップがどこもこうなのかは分からないが、店の面積に比べて品揃えは少ない。


「はい、魔石を売りに来ました。それと、これも」


 俺は魔石とは別にモンスター肉を2つ持ってきていた。


「ほう……どれどれ、モンスター肉の並が2つに、魔石が……ちょっと待て」


 店長さんは、丸い溝の付いたケースを取り出して、そこに、魔石を放り込んだ。


「おっ、ピッタリ100個か、数えてきたな」


 そうか、丸い溝は100ヶ所あって、それにあぶれた魔石は、また別にして数え直せば、すぐに調べられるな。


 店長さんは、魔石に人差し指を当てて、動かしている。

 恐らく鑑定してるんだろうな。


 しかし鑑定のスピードが尋常じゃなく速い。


「はやっ!」


「ん? そうだ便利だろ。 このスキルさえあれば食いっぱぐれしないぞ」


 う~ん、スキルを誉めたんじゃなくて、鑑定速度にビックリしたんだけどな。


「全て間違いなく魔石だった。しめて、6万1000円だな……」


 ん? 店長さんの様子が、少し変だな。


「兄ちゃん、少し前にうちに来てくれたよな。短い間に魔石100個集めるなんて、やるじゃないか」


 あれ? 前は100個くらい直ぐに集まるようになるって言ってたよな。


「ええ、ストックもあったし、俺もちょっと強くなってきた気がするんですよ」


「ほう……そうか、あの時は魔石を全部持ってこなかったのか」

(なるほど、アイテムショップの利用が初心者で、探索者としては経験者だったか。見た感じだと、普段戦ってるモンスターは、ランク2ってとこか)


「じゃ、また来ます」


「おお、ありがとうな。再来週には引っ越しが終わるから、品揃えも幾分ましになるから、今度は何か買ってくれよ」


 なんだ、この店は引っ越しでオープンしたばかりなのか。



 なんとなく、気が合いそうな武藤さんを見て、役所にあるアイテムショップより、ここを利用しようと思った。


 店を出て、帰り道にふと気がついた。

「アイテムを物色するの忘れてた」


 明日は、役所の所員達がダンジョンの簡単な調査をしにやってくる。


 以前見に来た職員は、ダンジョンの有無を見る確認だったらしく、今回が本物の調査って事だ。


 もちろん俺も付き添いで、一緒に降りるけど、今回の所員たちは探索者だから緊張する。



 当たり前だけど、明日はフローとフェイは、置いて行くしかない。



 魔石で手に入れた現金は、普段使っている財布とは別の財布にしまう。



 布団に入り少し経つと、布団が人肌に温まった頃合いを見計らったのか、フェイとフローが布団に潜り込んできた。


 これは癒されると、感じながら眠りについた。



 ◇

 ◇

 ◇



 家の前で待ち合わせをしてると、15分前に3人の大きなバッグを持ってる人がやってきた。


 まさか徒歩で来るとは思わなかった。


「六角橋弥さんですか? 私たちは、○○市役所から派遣されてきました、白山です。こちらは青山と関屋」


「青山です、よろしくお願いします」


「私は、○○市役所、探索課の関屋です。 後ですね、保険として自衛隊から探索部隊の者が1人来ますので、よろしくお願いします」


「は、はい。よろしくお願いします」

 俺は、それぞれから名刺を受け取った。

 みんな丁重な言葉づかいだ。

 さすがに、俺だけ砕けた口調では話せないな。


 関屋さんって人が、ダンジョンに入る前に、着替えを出来るスペースを貸してほしいと言ってきたので『空いてる部屋でどうぞ』と、話していたら、無精髭の30代後半に見える人が、こっちにやってきた。


「待たせたか? 道が思ったより分かりづらかった。 準備は出来ているのか? さあ行こう」


 自衛隊の人は、せっかちな人のようだ。


「…………ま、まさか、高円寺さん?」

「えっ!? 本当ですか? こんな所で会えるなんて……。はっ、初めまして! 私は青山と言います。よろしくお願いします!!」


「ん、ああ、青山君だっけか、堅くならないで普通に調査をお願いするよ。今回は『ウノ』なんだからさ。今回は入口に興味があって来ただけだからさ」


「はい!」

「はいっ」

「……」


 どうやら、高円寺さんって自衛官は有名人らしい。

 でも、所員の関屋さんは知らなかったようで、会話についていけてない。


 それに、知らない単語が出てきたぞ。


「すみません、『ウノ』ってなんですか?」


「えっと、君は? 家主かい?」


 高円寺さんに、頷いて答えた。


「はい、私は家の中にあるダンジョンの管理者登録をしました、六角橋弥です」


「六角橋弥君……なんか言い難いな。君さえ問題なければ弥君でいいかい? ダンジョンの事は中に入ってから、ゆっくり説明しようか。 なに、モンスターはそこにいる青山君と、白山君の2人だけで問題ないだろ」


「は、はいっ!」

「はいっ、頑張ります」


 2人の信者ぶりに、ついていけない俺と関屋さんに共感(シンパシー)が芽生えた。


 これから、フローとフェイ以外とのダンジョンの探索が始まる。














 ステータス


 ネーム……関屋

 レベル……8

 ジョブ……一般人

 ヒットポイント……160

 ストレングス……16

 デクスタリティ……24

 マジックポイント……32

 スキル……攻撃力上昇1

 パッシブスキル……なし

 コレクション……なし

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― 新着の感想 ―
[一言] ありゃ? 地下二階について見つけた階段を上がると地下一階ではなく直で自宅ですか。
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