【九十三階層】メタルアント攻略①
ゆるゆる投稿です。
前話の【九十一階層】【九十二階層】のラストに弥のステータスを、加筆いたしました。
ここで出現する地下五階層のモンスターは、ラージトレント。
駅前ダンジョンの十六階層と同じモンスターだ。
あの時は翠ちゃん、光太郎、ひかるが力不足の状態でも楽勝だったモンスターだ。
さらに、みんなの強さは、あの頃と違う。
モンスターには、武器の経験値になってもらおう。
トレントは葉の量でHPを計れるから、フロー、フェイにも削り役として参加してもらっている。
力強い枝の攻撃にも力負けしなくなった、翠ちゃんと光太郎。
ドロップアイテムが、かさ張る物じゃなければ、長居してもいいほどの雑魚っぷりのモンスターだ。
ここでも、ボス部屋のモンスターと遭遇する事が出来なかったが、俺にはある変化が実感できていた。
それは剣技スキル、高速剣を使えるようになったことだ。
握力計に全く変化が起きないから焦っていたが、上級戦士としてのスキルはあるようだった。
このダンジョンでは武器ごとに倒したモンスターを計算しているから、スキルは自宅に戻ってから考えることにする。
このダンジョンにも六階層目に宿泊部屋があって、一組が使用中だった。
「ひかるちゃん、空いてる部屋に入って、バーベキューの準備を始めよう」
ダンジョンには、最新のバーベキューコンロは何故か使えない。
ただし、俺のバーベキューコンロは高級品ではあるが、最新技術とまでいかないのか持ち込み可能なのは自宅ダンジョンで、実験済だ。
でも、ここでは魔石を燃料としたバーベキューコンロを買って使用している。
「久しぶりの3泊を超える探索だ。なので野菜はたんと持ってきた。みんな分かっているよな?」
「弥さん、何回も聞きましたよ」
「そうだぜ弥。野菜にコボルトスパイス」
「肉は2枚目から、バーベキューソルトと焼肉のタレですね。兄さん」
食感を良くするコボルトスパイスなんだが、モンスター肉の食感を豊かに出来るのは『上肉』までだ。
『特上肉』は元々食感も素晴らしいので、振り掛けても、違いが判らない。
むしろ、力負けするけどタレを使った方が味の変化が楽しめる。
美味さは、変わらない気がするけどな。
「念の為、F級魔石を200個持ってきたけど……」
「要らなかったな……」
「ガルガンスライムが沢山落としてくれましたから」
「1体倒すだけで32個ですもんね」
「よし焼くか」
「にゃぁ~」
「ニィニィ」
俺と光太郎が焼いている間に、ひかると翠ちゃんが野菜を切り分けコボルトスパイスを振りかける。
ドレッシングは玉ねぎ系とマヨネーズがある。
「キャベツやレタスも1個あたり500円で安定してきましたね」
「玉ねぎ、人参、じゃがいもなんかは、まだまだ激高野菜だぞ」
「そう言えば、ロシアがじゃがいも、オーストラリアが玉ねぎ、人参の輸出を強化しているので、来年にはもう少しだけ安くなりそうですね」
「日本の生産量が上がっても、自給自足には程遠いからな……おっと焼けたぞ」
野菜の代わりにミルクを飲んでいたフローとフェイは、光太郎に突進していった。
「フロー様、フェイ様、美味しく仕上がりました」
「にゃっ」
「ニャッ」
光太郎はダンジョンだと、フロー、フェイに敬語を使う事がある。
俺も影響されそうで怖い。
「はぁぁぁぁぁぁぁ、美味しです」
「はむっはむ、はむはむ……ふう」
「弥と俺は落ち着くまで、我慢な」
「オケー、光太。はい焼けたぜ」
一度に4枚までしか焼けないバーベキューコンロ、もう一つ買うか。
いや、流石にかさ張るよな。
武器に寝袋、食材食器、回復アイテム、ドロップアイテムまで用意するものは多い。
まあ、今後お金が潤ったら考えるか。
俺の分も焼き終わり、みんなのおかわり分を焼きながら食べる。
美味すぎる……
このモンスター肉のいい所は、いくらでも食べられ、中毒性が少ない事だ。
ただし、全く無いわけじゃない。
下のランクのモンスター肉を食べても、感動を覚えなくなったのだ。
豚肉や牛肉は巧く調理すれば、美味いのにな。
「うんめぇぇぇぇぇ」
ヤギかよ光太郎。
「この旨さは語彙力なくなるぜ、弥」
「お陰で、並と上が要らなくなってしまいました」
「これって、肉と言う名前の『完全栄養食品』ですよね。肌荒れが皆無になりました」
「ただでさえ可愛いひかるちゃんが、完全無欠にぃ♡」
「はいはい……」
翠ちゃんがこっちをチラチラ見ていたけど、食事に戻った。
いまの動きは何だったのだろう。
沢山食べたので、明日の打ち合わせをしてから寝袋に入り休む。
1日目の考察をしてみる。
探索者になってからは6人以下のパーティ限定で、全員に経験値がはいるけど、武器は違うと理解できた。
光太郎とひかるが、事細かに武器の威力が上がったと報告してくれるからだ。
報告があったのは、2体目、3体目、5体目を倒した時。
言い換えるなら、1、2、4体目を倒した時に武器のレベルが上がったという事になる。
それは二階層で斬撃武器で戦った時も同様だった。
三階層のホブゴブリンは武器1つにつき、約4体倒し、その4体目に威力が上がった報告が来た。
四階層のガルガンスライムでも4体づつ倒したけど、報告はなし。
先ほどまで狩りをしていたラージトレントで、6体目を倒した時にパワーアップの話を聞いた。
合計討伐数なら『1』『2』『4』『8』『18』って事だ。
5回目のレベルアップが『16』なら、法則性見つけたって喜ぶところなんだけどなぁ。
モンスターの強さで、経験値に違いがあるかもしれないし、完璧な検証は無理だな。
でも明日くらいまでは、カウントしておくか。
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第二ダンジョン六階層のモンスターは、ゴブリンソルジャーだった。
「ゴブリンソルジャー、モンスターランク8。防御スキルと攻撃スキルがある。と、なってます」
それなら、駅前ダンジョンの十五階層のゴブリンソルジャーと同じだ。
全員が力負けしない、人数も負けない、高速剣だけ気をつければいい相手だ。
「アイテムをドロップしました。E級魔石が5体で20個、魔皮が2枚です」
翠ちゃんの報告に応える。
「ひかる単価で、一試合10万円か。少ない時は5千円……なんか低く感じないか?」
「兄さん、わたしを単位にしないで。あと兄さんは1日100試合以上するので、そこを考えてください。」
「ひかるちゃんの言う通り! あと魔皮の買取は一枚10万円前後だから、じゃんじゃん狩ろうぜ」
光太郎の希望通り、90体近くのゴブリンソルジャーを狩りまくった。
地下七階層に降り立った。
まだ、モンスターとは遭遇してないが、ここは翠ちゃんの実家が管理するダンジョン、情報を得るのは簡単だ。
ただ、教えてもった情報は『ゾンビ』でドロップアイテムが上級のマジックポーションと言うことだけだ。
ゾンビとは駅前ダンジョンの18階層で戦ったことがあ。
ただ前回と違うのは……
「モンスター3体です」
「ゾンビです、モンスターランク9。刺突攻撃に耐性があり、光魔法に弱い。噛みつき攻撃は速度上昇スキルを無効化する毒がある」
今回は魔法スキルを使わないで戦う。
モンスターランク9の相手に何処まで対応できるかやってみる。
「ひかるは一人で、フロー、フェイは翠ちゃんと光太のサポート!」
「にゃにゃっ」
「ニャニャン」
「フェイちゃん、よろしくです」
「フローさんお願いします」
フロー、フェイ相手に敬語を使う翠ちゃんと光太郎。
俺もダンジョン限定で使うかな。
手空きの俺はひかるの戦いを見学する。
ゾンビは力強く、刺突攻撃に耐性があって、バフ無効の毒を使ってくる。
弱者が捕まったら最後だなって感覚はある。
だが今はどうだろう……俺より上回るパワーと体術、そこから超高価なウルライト製の打撃武器。
見ていてゾンビが可哀想になってきた。
そう、ゾンビは強いけど、不利を覆すスキルや戦い方を持っていない。
なので、力負けしたら後は一方的に殺られるだけだ。
ひかるがゾンビを倒したとほぼ同時に、フロー、光太郎コンビもゾンビを倒す。
残ったフェイ、翠ちゃんも3分後に消滅させ、ドロップアイテムまで落とした。
中級マジックポーションを2個拾った。
完全に自分用だから、売り値って覚えてないなぁ。
「弥、ここのモンスターマジでおいしい! 欠点は見た目くらいだけど、実際は臭くもないし汚くもない。 たった3体倒して魔石が21個だぜ。見た感じ翠ちゃんもスキルを使えば単体で対処できそうだ」
そうだな、光太郎の言う通りで疲労さえなければ、こちらが後れを取ることはないだろう。
「よおし! じゃんじゃんゾンビを狩りまくろう!」
「はい!」
「はいっ」
「にゃん」
「ニャン」
「おー」
光太郎のテンションに釣られたみんなのお陰で、大量のゾンビを狩ってボス部屋にたどり着いた。
ステータス
ネーム……六角橋 弥
レベル……28
ジョブ……上級戦士
ヒットポイント……1264
ストレングス……232
デクスタリティ……272
マジックポイント……304
スキル……回復魔法4、火魔法4、速度上昇4、索敵3、剣技1、攻撃力上昇0
パッシブスキル……早熟、アイテム鑑定、消費MP半減、転職
コレクション……孤児補正、双子補正、四兄弟補正、第一迷宮制覇補正
弥さん、レベルが上がってるのに成長してませんが、作者のミスではありません。
アナログの機械は持ち込んでも使える……線引は曖昧です。