表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/102

【十階層】第一のスキル、治癒

 探索者登録をしてから2日が経った。


 昨日は、親の残した小さな畑を弄っていたから、短時間しか潜れなかったが、今日は弁当も用意してダンジョンに挑んだ。


 かなり、ダンジョンの奥まで進むことが出来たが、ちょっと失敗をした。


 理由はフローとフェイだ。

 この子達の成長度がすごいんだ。


 目に見えて、動きが速くなっているのが分かる。


『負けていられないな』

 そう意識したのがまずかったのか、不用意に動いたのかもしれない。

 そのせいか、どうしても避けられない攻撃を貰い、ダメージを受けてしまった。


 だけど、失敗をなかったかのように、そのまま強引に押しきって倒した。


「ふう、油断……したんだよな」


 わざと思った事を口に出して反省しようとした。


 ただ、俺にダメージを与えたモグラを倒した時、受けたダメージが少し回復したような気がした。


 さらに頭の中に情報が入る。

『回復魔法『治癒(微)』を覚えました』


 おおっ!? スキルを覚えた?

 それに、何となくだけど使い方が解る。


 丁度いいことに怪我をしてる、早速試してみよう。

「治癒(微)」


 軽傷とは言え、治るまでに1週間はかかると思う怪我の痕が、たった数秒で消えてしまった。


「おおっ、怪我が治った」


「にぃ~」

「ニャァ」


 なんか、フローとフェイが褒めてくれている気がする。


 1日に何回使えるか、解らないが、出口に近い場所でモンスターを探してみよう。



 被弾覚悟で、大モグラと戦っていると、少しずつ戦闘が楽になってきた気がする。




 戦いに慣れてきたつもりでも、怪我に対してビビった戦い方になっていたんだろう。



 結果、回復魔法を使う機会が減ってしまった。

 お陰で、今日1日で、80体近いモンスターを狩ることが出来た。


 明日は半日ほど潜る予定だから、明後日は丸1日使って、魔石とモンスター肉を集めよう。



 ◇

 ◇

 ◇


 今、四谷さんと例の肉を食べている。


 四谷さんに、素材の味を活かしたまま、色んな調味料を使って食べてもらいたかったんだ。


 このモンスター肉は、そのまま食べてもかなり味わいがあるのに、ニンニク醤油や岩塩と胡椒(こしょう)のブレンドを加えると、さらに美味しく食べられる。


 そういえば、モンスター肉の他に、モンスタースパイスもあるってネットで見たけど、気になってくるな。


 今は、モンスター肉が過剰気味になってるから毎日焼いて食べている。


 100グラム1260円(アイテムショップ計算)の肉を毎日食べてるかと思うと、どこのセレブだ? と思うが、たくさんあるんだからしょうがない。


 俺は近所の人に分けてあげようと言ったんだが、意外にも、四谷さんから『待った』がかかった。


『お裾分けは、基本1回にした方がいいです。後は特別に何かあった時ですかね。後は、自衛隊の方が来てから考えた方が良いでしょう』


 と言っていた。


 たぶん、人間関係の変化や、予想外のトラブルを避けるために言ってくれたんだろう。


 四谷さんは面白い人だけど、真面目なところも多い。


「弥さん、この家のダンジョンですが、本当に弱いのですか? 私でも倒す事が出来そうですか?」


 まさか、ダンジョンに潜る気じゃないだろうな。

 思い止まらせるように説得するか。


「四谷さん、実は最初の1匹を倒してレベルアップするまでは、最弱のモンスターでも倒すのはむずかしいよ。 俺も今だから言うけど、初めて戦った時は色々とヤバかった。今は、本当に楽勝なんだけどな。 だからダンジョンに、潜ろうなんて思わないでくれよな」


 四谷さんは残念そうだった。


「噂ですと、モンスター産の肉は健康食品らしいので、私も狩りをしてみようかと思ったんですが。その証拠に、毎日肉を食べてるけど、太らないんです。 むしろ体重が100グラム減りました」


「四谷さん、だからって勝手にダンジョンに入るなよな」


「わかっています」


「四谷さんの契約は、あと1週間くらいでしたっけ?」


「はい、あと10日ですね。寂しくなります」


 本当は、両親の初七日が過ぎたら、四谷さんの仕事は終わる予定だったんだけど『貰った分は働きますので』と強く言われた。


 別に畑のせいで、再就職出来ないわけじゃないんだけどな。



 ◇

 ◇

 ◇


 昨日は軽くダンジョンを探索して終わらせたが、今日は、1日中は潜ってる予定だ。


 時間の感覚をつかむために、数年ぶりに腕時計を装着した。


 マッピングをしながら、あちこち進んでいくと通路の先に大きな扉を見つけた。


 このパターンは階段手前の部屋で、小ボスとの戦いってのがセオリーだよな。


 ここまで来るのに ダメージはほとんど無し。

 フェイとフローもモグラ程度じゃ、遊び半分で倒せる。

 一応フローとフェイにも聞いてみるか。


「フロー、フェイ。 もしかしたらこの先のモンスターは、強いのが出るかも知れない。いけるか?」


「にゃっ」

「ニャッ」


 頼もしいな、フローとフェイに回復のスキルがあれば、少々強いくらいなら問題ないだろう。



 扉を開けると、学校の体育館クラスの大きなスペースで、モンスターは1体もいなかった。


 拍子抜けしていたら、扉が自動で閉まった。


「あっ……」

 出口が閉ざされた。

 もしかして戻ることが出来ない? そう思うと緊張が走った。


 扉が閉じて少し経つと、涌き出るように巨大モグラが大量に出現してきた。


 その数は9体だった。


 ちょっとほっとしたが、もしかしたら個体の強さが違うかもしれない。


 などと考えていたら、巨大モグラはまとめて、俺に向かって突進してきた。


 知能低いなと思いつつ、逃げ道を探す。

 だが道は1つ、飛び越えるしかない。


 タイミングを見て、思いきりジャンプする。


「うわっ、とと」


 予想外に高く上がりすぎて、着地でバランスをくずした。


 だが、巨大モグラも勢い余って壁にぶつかったり、密集したまま後ろに方向転換しようとして、転んでいた。


「……俺の緊張感を返せよな」


 俺は容赦なく、体勢のくずれた巨大モグラを始末していった。


 フローとフェイも数を削ってくれて、無傷で全てのモンスターを倒してしまった。



 すると、モンスター肉と魔石のドロップとほぼ同時に、横幅の広い地下に降りる階段が『ゴゴゴゴ』と地響きと共に出現した。


 階段の出現に息を呑んだが、降りたい衝動にかられる。

 よし、この階段を下りよう。



 何十段降りたか解らない、マンションで例えると4、5階分だろうか、ついに2階層に到達した。














 ステータス


 ネーム……六角橋 弥

 レベル……5

 ジョブ……一般人

 ヒットポイント……134

 ストレングス……27

 デクスタリティ……32

 マジックポイント……54

 スキル……回復魔法1、火魔法0

 パッシブスキル……早熟、アイテム鑑定、消費MP半減、転職

 コレクション……孤児補正、双子補正、四兄弟補正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ