解除で解消
セブン一人でも、勝てるかどうかわからないところに、あのキンダーロボです。造り主であるからこそ、あれの性能を十分に理解しています。
ドラゴンは、元々キンダーキャッスル移動のために造られたのものです。それに、チキンがおまけとして火炎放射器や必殺技吸収の円盤を取りつけただけ。勝つ見込みは薄いです。でも、やらなければ何も始まりません。
「いいよ、じゃあ、ゼブルの思う必殺技を頼むよ」
「よっしゃああああ! ゼブル・ビッグバン!」
ゼブルが剣を引き、力をためてから、ネジ巻きのような回転を加えて、突き出しました。空気が切り裂かれ、炭酸の泡がいくつも弾けたような音が奏でられます。
ドラゴンも、それに合わせ、青い腕を引き、グルングルンと文字通り回転させ、鋭い鈎爪で、目の前にある全てをなぎ払おうとしました。
ゼブルの動作が、そっくりそのまま、いえ、本家本元を超えた技を繰り出しています。
セブンも、これには驚いたようで、一歩退いています。
焦げた大地を、ドラゴンの腕の一振りで起こされた風が切り裂きます。
そのまま、キンダーロボを砕くかに見えました。
その時です。
ピピスとブレティが人差し指を天に向けて、呪文を唱えます。キンダーロボは、薄い紫色の球体で覆われました。
その球体によって、ドラゴンの腕の勢いが殺されます。薄くてもろそうに見えるのですが、案外そうでもないらしいです。
「なんてこったい!」
ゼブルがショックを隠しきれず、嘆いています。が、すぐに気を取り直して、円盤の上で、暴れ回りました。
「わわわわ、そんだけやったらダメだよ!」
とチキンは止めたのですが、時すでに遅し。
ドラゴンへ、十を超える必殺技の情報が叩き込まれました。
「くらえっ!」
ピピスとブレティが、炎の魔法をぶつけてきます。ドラゴンは燃え上がり、そこへセブンが、剣による斬撃を加えます。
斬撃は、嵐のような叫びを発し、ドラゴンの腹部を切り裂きました。
下で悲鳴が聞こえます。が、やはり説明している暇はありませんし、今もまだピピスとブレティによる炎の軍団、セブンからの斬撃が連続して撃たれています。
チキンは腕を上げて、防御しようとしましたが、ゼブルの必殺技のコピーが始まってしまいました。
ドラゴンは、グオオオ、と低く唸ってから、まるで地団太を踏む子供のように、足をジタバタさせ、地震を作りました。
これには、さすがのセブンも驚いたようですが、すぐに浮遊の魔法を使い、ドラゴンの腹部めがけて突進してきます。
まずい、とチキンは思いました。そこで、必殺技キャンセルボタンがあることを思い出し、すぐにそれを押しました。そして、腕でセブンを叩き落とそうとしたのですが――