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開かれた真実

 そこへ、すかさず大臣が話に入ってきました。

「残念ながらこやつには、それ以上はわからない、とのことです」

「なんと、お前はキルダン大陸一優秀な研究者ではないのか?」

「この浄化杖とやらは、我々大人の脳では作れない、という構成になっているようなのです。いえ、正確にいいますと、不老不死だの汚れた心だのを持っていると、完成させることは無理でして……。やはりきれいな杖ですから、きれいな心を持つ者でないと作れません。大人の事情に染まっていると、駄目なのです。ですから、何も事情を知らない子供にしか作れないのです」

「ううむ、だからわざわざ子供の国を創ってやらねばならん、ということか。しかし、子供ごときに、浄化杖を作れるのか?」

「そこは心配いりませんぞ」

 大臣が、またも話に割って入ります。

「完成していない設計図とはいえ、それをキンダーキャッスルの横に建てる研究所に隠しておくのですからな。それを見れば、まあ後は問題ない、と思えますな」

「ふうむ、確かに。御主にわからぬところは、きっときれいな心でしかわからぬところであろう。とすると、その、なんだ、ちょっとした仕掛けで隠している設計図を見つけるほどの知能があれば、簡単、ということか」

「そうです、そうです」

 大臣が、もみ手をしながら、大きく頷きます。

「よし、ならば、キンダーキャッスルを造るとするか。しかし、石原を超えたところで造るのか?」

「いえいえ、あの地は、資源に恵まれておりませんので、移動式の城を造って、あそこで組み立てるのがいいでしょう」

 大臣が、提案します。彼がいうには、動ける城を造り、その中に城壁の材料を詰めて、移動させればいい、ということです。

「ふうむ、職人たちを、遠方に置いておくと、もしアダンティーキャッスルが壊れた時、困るからな」

 大臣の提案は、なかなかいいところを突いています。というのも、アダンティーキングダムも、今はまだ人手不足でしたから。特殊な職に就いている者は、特にそうです。ですから、なるべくアダンティーキングダムから、人を出したくありません。



 やがて声は途切れ、チキンの心は冷えていきました。

 セブンの話が真実だとすれば……いいえ、真実なのでしょう。チキンが前々から思っていた疑問が、セブンの話で一つにまとまるのですから。

 キンダーキングダムの国民が消えないのは、大人の国から子供が送られてくるためでしょう。いえ、正確には国民がすっかりいなくなった時、子供が送られるからなのでしょう。

 チキンポットにしても、頷けるところが多くあります。使い込まれた感のある研究所、あれは本当に多くの子供の研究者によって使われていたのです。その研究所が、なんの目的で造られたのかも知らずに。


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