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戦争による演奏

 老人と大人の戦争、それは実に激しかったそうです。大人たちは不老不死といえども、攻撃を受ければ怪我しますし、時間による死は避けることができても、銃弾や剣による死は拒めなかったのです。しかも、老人たちは予想以上に強かったのでした。

 老人の頭、そして身体がまだ発達しきっていないけれども、力はそこそこある子供たち、彼らの協力は、強力でした。

 いつしか、大人たちは防戦一方で、攻撃することができない状態になりました。けれども、老人たちには攻撃し続ける力がなくなりかけている頃でしたので、戦争はとりあえずやめておこう、ということになりました。

 それからです。大人の王ブラフが、老人たちをまとめて始末する方法を考えたのは。老人といっても、四十歳以上の者です。父親、母親にもなれる歳です。にらみ合っていても、老人の国の人数は減りません。

 ブラフは、王室で溜息を漏らしていました。金の玉座、金のベッド、金の机、もう全てが金でした。

「どうしたものか」

 考えているところ、こんこんと、扉がノックされました。

「入れ」

 許可すると、ひょろひょろの研究者と、眉もヒゲも濃い大臣が現われました。

「こやつに、いい考えがあるそうですぞ!」

 大臣が、嬉しそうにいいます。

 王は頷いて、研究者の発言を許しました。

「浄化石から作った杖で、あやつらをきれいさっぱり消し去るというのはどうでしょう?」

「しかし、どうやって? あれに触れるだけで、我々大人は消えてしまうのだぞ?」

「そこは、子供にやってもらうのです」

「しかし、この国にいる子供は、まだ我が息子セブンだけであるぞ」

「ええ、しかしこれからは生まれてくるでしょう?」

 研究者の案は、こういうものでした。石原を越えた辺りに、キンダーキャッスルを作ります。そして、そこに研究施設とキンダーキャッスルを作り、セブンを王として置くというものです。

「ほほう、それで、次はどうするのだ?」

「ええ、次は、そこに三歳ほどの赤ん坊どもを放り込むのです。もちろん、彼らの世話はセブン殿一人でやるのは無理でしょうから、何人かの子供を不老不死にし、送り込んでおくのです。だいたい、歳は十五歳くらいでいいでしょうかね。そうすれば、子供の国の誕生です。研究所には、浄化杖の設計図を隠しておきます」

「隠す、とな?」

「そうです、そうです。ちょっとした仕掛けを作っておきます。まあ、これくらい見抜けないでいては、きっと発明はできないでしょうから」

「いや、待て待て、そもそも、我々で作ればいいだけの話ではないのか? なにもそのような手の込んだことをせずとも……」

「いえ、それが、その……」

 急に研究者が、しどろもどろになります。


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