戦闘
「な、なるほど」
チキンは早速操縦席に乗り、ゼブルにその円盤に乗ってくれるように頼ました。
「お、おう」
ゼブルが、円盤に乗りました。
すると、操縦席と円盤が上へ上へと移動します。そして、ついに、ドラゴンの両目の位置にまで到達しました。
「えーっと、チキンは操縦すりゃいいんだろうが、俺は一体何をすればいいんだ?」
「うん、このドラゴンはね、必殺技を繰り出す時は、その円盤の上にいる人の力が反映されるんだ」
「ほうほう、なら、俺にぴったりの役じゃないか」
といいますが、チキンはかなり不安です。しかし、この際、贅沢はいってられません。
チキンは、ドラゴンを始動させました。
ドラゴンの鼻の穴に、光が宿ります。かなり遠くまで、照らし出されています。チキンが手前の赤いボタンを押すと、ドラゴンの鼻の穴から、チキンの目にかけて、とっても長い筒が伸びてきました。そこに目を当てると、すっかり遠くまで見渡すことができます。
「動かすよ!」
チキンが、レバーを倒します。
ドラゴンは、キンダーキャッスルの、レゴブロックの塀から抜け出し、立ち上がりました。
下から悲鳴が上がります。何が起こっているのか、説明したいのは山々ですが、時間はありません。今は、一刻も早く浄化杖を取り戻さなければなりません。
「ところで、セブンとブラフはどこにいるんだ?」
「ちょっと待ってて」
チキンは、ざっと大地を見渡しましたが、キンダーキングダム周辺は深い森林で覆われているため、よくわかりません。
「今、何時かな?」
「ええっと、十時を越えたとこだな」
「よし、じゃあ、火炎放射だ」
「……は?」
ポカーン、と口を開けたままのゼブルをよそに、チキンは座席下にあるレバーを引きました。ガゴゴゴ、と鉄板を引きずって螺旋階段を上がっている音を、さらに激しくしたような騒音が、下から聞こえてきます。
チキンは、座席横の透けている床から、ドラゴンの口の部屋を見ました。すると、すすけた長い筒が登ってくるのが見えます。筒には、チキンの拳ほどの穴が、ぱらぱらとついています。筒先は、すでにドラゴンの口に向けられています。
チキンが操作を続けると、ドラゴンの口が、ガタラガタラと開かれました。錆びついているようで、滑らかな動作ではありません。
「えーっと……」
ゼブルが、円盤の上で、指をくわえて、立っています。
「ドラゴンの鼻は、僕が使っているけど、両目から顔を出していいよ。手で、開けられるから」