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浄化の情

 戦闘用ロボを造るんだ、といって借りようとしても、嘘だとバレて、断られるに決まっています。

 ですので、ゼブルの力を借りるしかありません。次期の王座を狙っているだけあって、彼の力はそこそこあります。

「作業用ロボ、貸してやろう」

 ふいに、低い声がしました。もしや、と思いチキンが設計図から視線を上げると、そこにはセブンがいました。

 巨大な剣を背中に、そして材質不明のブレスレット、腕から顔にかけて掘られている朱色のタトゥー、頭髪はもっと濃い朱色です。髪型は、左半分がドレッドヘア、右半分は短く刈り込まれています。とっても不思議な髪型です。

「え?」

「だから、貸してやろう、といったのだ。お前は、発明するのに、作業用ロボが必要なのだろ? これだけの浄化石を溶かして、何かするには、きっとそこのバカだけでは足りないはずだ」

「バ、バカだと!」

 キィーッ、とゼブルが奇声を発します。

 なぜ、セブンは作業用ロボの使用を許してくれたのでしょう。

 不浄石を使って怪物化させる、という提案はセブンがしたのです。それを結果として邪魔することになる自分の発明に、なぜセブンは協力しようというのでしょうか。

「何か不満か?」

「い、いえ、ぜひ使わせてください」

 ここでやっぱ止めた、といわれたら大変です。疑問は疑問でしたが、チキンはこくこくと頭を縦に振りました。

「では、ここに作業用ロボを運ぶよういっておく」



 完成しました。それは、ひょろ長く、滑らかな杖でした。あれだけあった鉄材と浄化石を溶かし、圧縮した結果、生まれたのがこの杖、浄化杖です。

 チキンの背丈ほどあるこれを使えば、世の中にある不浄を、一瞬にして消し去ることができます。ただし、影響を世界に広げるには、できるだけ高いところから振る方が効率的です。

 チキンとゼブルは、キンダーキャッスルの螺旋階段を一気に駆け上がり、ドラゴンの口に立ちました。ブランコはしまわれ、代わりに守衛二人が眠そうに、見張っています。

 ぽっかり開いたドラゴンの口の中に、ひゅうひゅうと夜風が遠慮せずに入ってきます。

「ここで、その杖を一振りすんのか?」

「うん、そうだよ、そうすれば、僕の思う不浄が消えるのさ」

「おお、そ、それが秘密か!」

 ゼブルが、目を輝かせます。

「うん、そうだよ」

 いよいよ、杖を振る時です。チキンは、後ろへ杖を引き――


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