強力な協力
その協力は、とても強力でした。
キンダーキャッスルから、ほとんどの人が続々と石原へと向かいます。材料に必要な浄化石を、チキンポットに運び込むためです。
たった二時間足らずで、ぼんやりした光を放つ三千以上の浄化石が運び出されました。当然のことですが、石原は冷たい暗闇で埋められていることでしょう。
さて、ここまでくれば、後は製造に取りかかるだけですが、力仕事も必要になってきます。
「いやいや、そこんところは俺に任せろって」
ゼブルです。彼は、ドンと胸を叩きました。頼もしく見えます。
「ところで、チキンよ、こいつはどんな発明なんだ? ラタを救うといっても、どういう救い方なんだ?」
「それは秘密さ」
「そんなこといわずに、俺だけには教えろよ」
ゼブルが、しつこく迫ってきます。
「いうと、効力が薄れてラタが救えないかも」
というと、ぐぬう、とゼブルが顔をしかめます。
「そ、そうか。なら、仕方ないな」
純粋な彼を騙すのは気が引けます。でも、チキンは嘘を吐く方が懸命だと思っていました。なぜなら、この発明品に対して、アダンティーキングダムが邪魔をしてくるかもしれないからです。その時、この発明品の構造や仕組みを少しでも知られれば、悪いことがあっても、良いことはありません。
それに、ゼブルは大変なお調子者で、口がとっても軽いのです。それこそ、チキンポットに現れた穴ボコのように、ずうっと口を開いているような状態です。
悪気はないのでしょうけど、そんな彼に事実をいうということは、子供の国民全員に知れ渡る、と同じだといっても過言ではないのです。そして、ゼブルはいわれたことは、なんでもかんでも本当だと思うので、チキンはそれを利用することにしたのでした。
「ああ、ラタのためにゃあ、俺はこのマシンが何なのかなんて絶対聞かないぜ」
と、とっても知りたそうな顔をしながら、ゼブルが鉄材を運んでいます。
夜になっていましたが、浄化石がこれだけあれば、暗さもなんのその。夜たちは、すたこらさっさと逃げています。
ぼんやりとした明るさの中、チキンは設計図を開き、自分のひらめきが本当なのか、少し疑問に思いました。
まさか、あれとあれとが。
いえ、でも、きっとこれが真実なのです。
「おい、運び終えたぜ」
チキンは、ゼブルがヒイヒイいって運び終えた鉄材を満足げに見ました。
さて、ここからが本番です。これを作り上げるには、とっても強力なエネルギーが必要なのです。
鉄材をねじ曲げたり、はめ込んだり、それらは普通なら作業用ロボにさせるのですが、ロボを使うにはセブンの許可が必要です。でも、セブンは許可してくれないでしょう。