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穴ぼこで輝こう

 チキンは心を奮い立たせて、穴ボコに、ひょいと顔を入れてみました。すると、ああ、またあの苦しそうな呻きが耳を突きます。

 でも、もうここしかないのです。チキンが調べられるところは、ここくらいしか……。

 防毒マスクをしようか、とも思いましたが、止めました。危険な香りはします。ですが、わざわざ人を殺すような仕掛けを作っておくのは、考えにくい、とチキンは判断したのです。

 穴は、次期キングを狙うゼブルより頭一つ分くらい高いです。

 チキンはえいっ、と入りました。中は薄暗く、ランプを持ち込まなきゃ、と思い、引き返そうとしました。

 しかし、パチパチパパパパパチッと柔らかな光が産声を上げ始めるではありませんか。

 ぼんやりとしていた空間でしたが、すっかり明るくなっています。頭上にぽつり、ぽつり、と発光石が埋め込まれているのです。これは、動くものに反応して光る石です。どう考えても、訪問者を歓迎しています。罠かもしれません。しかし、ここまで来れば、もうどうにでもなれ、です。

 チキンは一歩、一歩進みました。この穴ボコは下へ下へと進んでいます。大分いい加減な造りでしたが、階段のような段差がありました。降りるたびに、土が崩れて、落ちてゆきます。自分は落ちないように、とチキンは慎重に降り続けました。

 しばらくすると、開けた場所に着きました。ここも最初は暗かったのですが、壁や天井に埋め込まれている発光石が、闇を追い払います。

 闇がすっかり消えたここは、適当に作られた段差と同じように、荒削り感のある場所でした。

 壁にはガリガリと巨大猫が引っ掻き回したような痕がありましたし、床も床というには、デコボコしすぎです。落ち着いて歩けたものではありません。

「おや?」

 地面に気を取られているチキンでしたが、視線を上げてみて、気づいたことがあります。中央に、ぽつんと寂しそうに本が横たわっているのです。それは、平らな石の上に乗っていました。

 歩み寄り、拾ってみると、そこにはチキンの求めていたものが記されていました。

 浄化石を使って、不浄な物質全てを消し去る杖の作り方です。今まで、何体もロボットを設計し、開発してきたチキンにとって、そこに書かれている理論の多くは飲み込むことができました。

「ふんふん」

と読み進めていくと、その理論、設計図は途切れていました。未完成です。もしかしたら、これを思いついた人は、ここまでしかわからなかったのかもしれません。

 しかし、チキンはひらめきました。解きかけの問題の解答がわかったのです。まさか、それが答えだなんて、ちっとも思えないのですが、おそらくそれが答えです。

「よし、そうと決まれば、作ろう。石はいっぱいいるけど、でもみんな協力してくれるさ」

hb

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