ご褒美イベントきますか?
(やっと夜だよ!)
ユウマはもう不審者と見間違えても仕方のないようなおかしな奴と化していた。まあ夜に二人きりになったからといって何かするわけではないのだが。
「ユイ、俺だけど入っていいか?」
ユウマはノックをするとそう言った。しかし部屋から帰ってきたのは沈黙。ユイの返事はなかった。
「ん?入っていいものだろうか・・・。」
(ロリっこといえども女性の部屋に侵入はちょっとな)
ユウマはそう思いつつドアを開け部屋に入っていく。するとそこには床に倒れ大の字になって寝ているユイの姿があった。
「お前呼び出しといてそりゃあないだろ・・・」
ユウマはそうぼやきながらユイの近くに座った。ユイの部屋はシンプルな和室のようになっていた。こっちの世界に和室なんてあるのだろうか?そう思いながらユイの身体を揺さぶると眠そうにしながらも起きた。
「あぁ、ユウマか・・・。なんで入ってきてるの!?私は許可してないだろう!」
「呼びつけといて理不尽!でさっさとお前の着てるその服を渡してくれないか?」
「ふ、服を渡せだと!?変態め!」
「そういうことじゃねぇよ!?」
忘れていたようで問題しかない解釈をしたユイにユウマが説明をしていく。危うくユウマに前科がつくことになりそうだった。しかも不法侵入にセクハラ、最悪だ。それはもう社会的な死であろう。そうならなかったのは不幸中の幸いか。
「そう言えばそんな約束したな!じゃあよろしく頼むぞ!」
そう言ってその場で服を脱ぎだしたユイ。
「おい!待て!別の場所にしろ!ってここは一室しかないか・・・じゃあ目を瞑ってるからその間になんとかしてくれ!」
ユウマが動揺してそう言う。
「もちろんそのつもりだったのだ!早くそっちを向け!」
そう言ってユイは着替え始める。着る服はほぼ選択肢がないのですぐにおわる。
「終わったぞ。ほれ、これを頼むぞ!」
ユイがそう言いユウマにローブを渡す。
「それよりユウマ、私がお前を呼んだもう一つの意図を思い出した!お前と一度じっくり話してみたかったのだ!」
「!?それってどういう・・・」
「ユウマは転生者だろう?」
ユイがそんなことを言い出しユウマは妙にがっかりする。
「なんでそんなことわかったんだよ?言っていないはずだぞ?」
「そのこっちの世界ではおかしな名前を聞けばわかる!何を隠そうこの私はキリサキユイ、お前と同じ日本人の転生者だからな!」
「なんだと!?」
不意打ちすぎて思わずそんなありきたりな返答をしてしまうユウマ。そして、
「だからロリっこが伝わったのか。こっちの世界の奴にわかるはずないもんなぁ。」
「だからロリじゃない!あと大概の英語は伝わる!」
(ロリって英語?)
ふとユウマこの世界にひどい転生をさせた女神様を思い出した。
「なあ、こっちに来る時女神様にあっただろ?その人転生がひどくなかったか?」
「確かに女神様にはあったが全くひどくはなかったぞ。必要となりそうなものを差し上げますとか、どこに召喚しますかとかいろいろ親切に聞いてくれた。あれをひどいとはいえんだろう!」
「なんか女神様が違うんだけど!?俺は何も渡されずに適当に召喚されたんだけど!」
どの女神様に当たるか。その時点でユウマの運の悪さが影響しだしていたらしい。
「だがな、私がこの世界で困らない才能をくれ!と言ったら本当にそれだけで裸で落とされたぞ?」
「なんだそりゃ!じゃあ俺がもらってたのは装備ってことか。何も言ってないのに・・・」
この二択は果たしてどちらが良いのやら。
「いやそれでよかったのだろう。私はパーティーを組む一週間ほど前に来ていたのだがな、へんな奴にさらわれてしまって大変だった。その時助けてくれた人が私にくれた服がそのローブなんだ!」
ユイはそう力説した。これがユイが一つのローブを大切にしている理由なのだろう。
「さらわれたのかよ!よく助かったな。でも同じ境遇の奴がいるとなんだか安心だな。」
「お前と一緒!?なんか落ち込むんだが・・・」
「そう言われると俺も落ち込むんだけど・・・」
「「はぁ」」
ユウマたちは揃って大きなため息をする。
ユウマは仕事を任されてしまったのだ。やらないわけにはいかない。そう決心したユウマは
「なるべく早めになおしとくからよ!首長くして待っててくれ。」
「ああ!頼んだぞユウマ、私の大切なローブをよろしくな!」
「それであのですね。採寸したいんですけどよろしいかい?」
静かだった部屋に音が響く。ユイが床に思い切り足をついた音だ。またみぞおち殴られた。容赦というものが存在しないのか。ユウマは床を転がり悶える。
「この変っ態!」
「何も言ってねえししてないだろ!殴んな。それに仕方ない!」
「してはいないかもしれんが言ったには言っただろう!まあ仕方ないのか・・・。その、早くしてくれ大人しくしてるから・・・」
そう頬を赤く染めながら言ってくる。案外可愛くて惑わされそうになる。わざと手を滑らせたい!