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不運極まる冒険譚!  作者: aito
第2章 とりあえず一週間が過ぎたので・・・
6/20

幹部の城に出陣しますか


「昨日は結局見つかんなかったなー」

昨日は無駄に広い街、アルファの中をくまなく探したのだが見つけることはできなかった。

「あの!皆さんすごい情報を手に入れました!街の近くに魔王の幹部の城があるらしいんです!」

そう言ってきたのは昨日どこかに行っていたリコットだった。

「やけにテンションが高いなぁリコット。昨日はなにしてたんだい?」

「その城が次の街、ベータに行く途中にあってこの街に人が多くなってしまったらしいんですよ!」

「ねぇ!スルーしないで!」

さらっとケイをスルーしていくリコット。

「それでこの街はこんなにでっかくなってるんだな。」

「なぁ、幹部というのは倒せばもちろん賞金がかかっているのだろう!これは貯金を増やすチャンスだ!ユウト、いくぞ!」

「いや待てよ。どうやって倒すんだよ?」

「もちろん【魔砲】だ。あれなら不意打ちで城を全てぶっとばせると思うぞ。」

「いや一発では無理だろうね。おそらくだけど城には結界があると思う。それを光の魔法で消し去ってからでなくては城には効かないだろう。まあ余裕を持って三回分くらいの魔法石が要るだろうな。」

なるほど。ていうかあのカバン名前あったんだ。カバンぽさなくなってるけど。

「それなら私が少し魔法石を負担しますよ。私もそれなりに持っていますし。」

「うん、それは助かる。ありがとうリコット」

これで出かけてうまくいくのですかね?俺が?そんなはずないですよね。それにしてもリコットがおかしくないかな?そんなことを思いながら俺たちは一時解散をした。


(なんとか協力してもらえたしこのままうまく倒せればお父さんも許してくれる!)

そう思いながらリコットは預けてある魔法石を取りにギルドの受付へ。

「こんにちは!今はフォグロの討伐クエストが多いですよ。」

「今日はクエストではなく預けてあった魔法石を受け取りに来ました。それと・・・」

リコットは覚悟を決めた。

「ヒーラーにも扱える武器ってありますか?」

せめて城に着くまでの間は自分も戦闘の役に立とうと。この一週間、四人で様々なクエストをやってきたが、リコットは自分があまり役に立てていないことを気にしていた。最近の戦闘の流れはケイが盾となり注意を惹きつけ、ユウマがダメージを少しずつ与えて弱らせ、ユイが【魔砲】でとどめを刺す。リコットはそのあとに寝てしまったユイを起こし、回復するくらい。あまり役に立っている感じがしない。そこで自分も攻撃手段を持とうとしたのだ。

「ヒーラーでしたら弓矢か短剣、双剣あたりがオススメですよ。」

「ありがとうございました。」

(弓矢は良くない記憶があるから双剣にしよっと)

武器を揃え、なんでもいいから倒せないかといったん街の外へ。

・・・・・

いつのまにかリコットが試していた平原からは大きいカエルのようなモンスター、フォグロがいなくなっていた。


運が悪いはずの俺にもたまにはいいことがあるのだろうか。いまはフォグロが大量発生しているはずなのに、街を出たところにある平原には一匹も存在していなかった。

「運良くモンスターがいないっぽいからなるべく早めに行こうぜ。って、なんでリコットはそんなに疲れてんの?」

「気にしないでください。大丈夫ですので。」

「ホントか?まぁ無理はするな。いざとなったら私がおぶってやるぞ!」

笑顔でそう言うユイ。

「おまえじゃ無理だろ、ロリっ子。」

「だからロリじゃないってば!」

(ここでなだめてこないとは重症かもしれないな)

そう思いながら進んでいくといかにもな雰囲気を漂わせる城があった。

「着いたのか。じゃあケイは周辺の警戒、ユイは結界破りの準備と次の魔法石を用意、リコットは魔力回復のポーションを用意してくれ。」

三人が応じて返事を返した。そして・・・

「終わりましたよ。」

「リコット早っ!?じゃあおまえも警戒していてくれ。」

「はい!」

(やけに気合い入ってんな)

「よし!ユウマ、もう撃てるぞ!」

「よし!じゃあ作戦開始!」

「ライトニング ブレイク!!」

ユイの魔砲から一直線に光がほとばしる。すると結界が可視化され、数秒たって崩壊を始めた。

「よし!リコット、ポーション飲ませてやってくれ。」

そう言いながら俺は魔砲に次の魔法石を入れていく。

「おいユウマ!城からモンスターが溢れ出てきたぞ!あれはさすがに私一人では・・・」

「すみませんユウマさん。ポーションはお願いします。」

「リコット?おまえ何言って・・・」

急に意味がわからないことを言い出したリコットの方を見ると剣を両手に持ち、モンスターの中に突っ込んでいくリコットの姿があった。

「うりゃぁぁぁ!!」

「ちょっとリコット!?それだと私の盾の意味が・・・」

「おはよう〜」

「おいユイ!早くしろ!そうしないとユイが!」

「な!?わからないけどわかった!撃てばいいのだな!」

そう言ってユイは城を潰しにかかった。

「リコット!引け!」

「アルティメテオ!!」

いままでに聞いたことのない呪文を唱えると城と同等かそれ以上の大きさを誇る炎を纏った岩石が突如として現れた。

「でかくね!?」

もちろん城は潰れ幹部は姿を見せることなく倒された。ところまではまあよかった。その魔法によって起きた音で辺りのモンスターがどんどん押し寄せてきた。

俺は寝ぼけたユイを背負い、ケイに疲れ切ったリコットを任せて全力で逃げる。

「どうすんだよぉぉ!」


街の近くまでどうにか逃げた俺たちは後始末を他の冒険者に任せ報酬を受け取りにギルドへ。もう毎回毎回いわれる「本当に倒したんですか!?」という言葉にも慣れてきた。今回は確かに物凄いことだからにわかに信じられないのも納得がいくが。

ステータスメダルを見せ、なんとか報酬を得た俺たちはいつものように夕食をとっていた。

「いやー、一時はどうなることかと思ったがうまくいってよかったな!」

「ああ!これで相当な貯金がたまったはずだ!ありがとうなリコット。リコットがこんな美味しい話を持って来てくれたおかげだ!」

ユイが喜んでいると唐突にリコットが、

「あの!皆さんにお話があります!」

と言い出した。

「「「ん?」」」

「昨日領主の息子を探していたじゃないですか?あれって私なんです!」

ケイがリコットの腕をぎゅっと握ると、

「見つけたー!!金だー!!」

と言い出した。こいつは金以外に興味はないのだろうかと不思議に思う。

「ちょっ、ちょっと待ってください!もし私が冒険者を続けられるようなら一緒にいていただけますか?」

「当たり前だろ。」

「もちろんだ!」

「わ、わたしも。」

「ケイ、なんかおまえだけ意思が弱くないか?」

「そ、そんなことはない。」

「ま、心配されてるんだろうから明日の朝行ってみようぜ!」

「はい!」

微笑んだリコットは元気に返事をした。

(やばい、こいつの性別を忘れそうになった!)


(いまのところ順調だ)

リコットはそう思いながら宿の自室へ行く。

今日は全員で出かける前に邪魔そうなモンスターを殲滅しておくことができたし、城でも活躍できたと思う。ステータスメダルを見ることでそれが実感できる。そんなことを思っていると不意にドアがノックされ声がかかった。

「なぁリコット、ちょっと入ってもいいかな?話したいことがあるんだよ。」

「は、はい。いいですよ。」

あの声はケイだろう。そう思って返事をし、扉を開ける。

「おじゃましまーす・・・」

「えーっと、なんの御用ですか?」

「あのだな、今日の戦闘でのことなんだが。」

「はい?」

「あまり無理しなくてもいいと思うんだ。今日はお前が色々頑張ってくれただろう。活躍したい気持ちはわからなくないよ。だけどさ、みんなができることをしあってさ、苦手なことをカバーしあえればいいんじゃないかな。リコットは確かに強かったよ。でもさ今日の戦闘で少し回復が間に合ってなかったんだ。だからさできることをしていこ?(正直帰りが辛かっただけなんだけど)」

「はい!ありがとうございます。」

「たぶんこれからもわたしが一番リコットの力を借りると思うからそのときはよろしくね!じゃ、おやすみ。」

そういってケイは部屋を出て行った。そんなに無理をしているように見えたのだろうか?もちろん無理していたのだけれど。ただ、今まで見たことのないケイの一面を見た気がした。またリコットの中で冒険者をずっとしていたいという気持ちが大きく膨らんだ。

(明日は絶対に説得してやる!)

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