こんなクエストですか?
「よし、みんな集まった・・よな?おい、ユイなんだその格好は?」
ユイはその小さな体には合わないだぼだぼの服に加え、背中からはみ出るくらいの大きなカバンを背負っていた。
「ん?これか?これはだな何となくウィザードらしい格好をしたかっただけだ。背負っているのはもちろん魔法石だが?」
まぁらしさは出ているのだが・・・
「お前昨日魔法石なくても大丈夫みたいなこと言ってたじゃねえかよ!てかお前のロリ体型にはあってねえよ、その服。」
「なくても使えるとは言ってないだろう。というかだれがロリ体型だ!」
(いやいや昨日から思ってたけどどう見てもロリ体型だよ、おまえは。)
口にすると殴られそうなので静かにしておく。
「うーん・・・どのクエストにすっかなー。」
「はいこれ。」
ケイが俺にクエストの紙を渡して・・・
「って、勝手にクエスト受注してんじゃねえよ!」
「それじゃあ出発しましょうか。」
「おいリコットも!お前だけはしっかりしてると思ってたのに!」
「「だけとはなんだ!!」」
クエストの紙には〈スケイン〉というモンスター三体の討伐、報酬は3200ルーンと書かれていた。ちなみに1ルーンはうまい棒が10本買えるかな?くらいだ。推奨レベルは5。大丈夫か?
とりあえず街の外に来たのだが・・・
「なんじゃこりゃぁぁ!」
そこにはスケインだと思しきモンスターが大量発生していた。大蛇のようなモンスターが大量にいる平原の光景は異様極まりないものだった。
「うえぇこんなにいるのぉ!」
盾で攻撃を受けながらケイが弱音を吐く。
「お前が受けたんだろうが!ちょっとユイなんとかしてくr・・」
「ファイアー!」
ユイがそう唱えるとモンスターが一掃されユイのカバンがあっという間に小さくなる。そしてパーティーメンバーのレベルが上がる。ところまでは良かったのだが。
「おいなに寝てんだよ、ユイ。」
「多分魔力使い切って寝ちゃったんですよ。すぐに魔力回復のポーション作りますので。」
ユイは本当にパーティーに入れる必要があったのかと思ってしまったがこいつがいなければ倒せなかっただろう。
「やはり楽勝だったなあ!」
「いやお前弱音吐いてたじゃねえか。」
「吐いてない」
「噓をつくな!」
「ふぁぁぁあ。おはよう!」
「何寝てんだよお前は!てかレベル1であんな威力出せんのか!?」
「だから私は普通とは違うといっただろう。あのカバンは私の発明した道具でな。中の魔法石のパワーを収束して魔法を出せるのだ。ただし使用者の魔力をすべて使ってしまうがな。」
「それはすごい道具ですね!」
リコットは普通に驚いているのだが、
「役立たずじゃねえか!ていうかそれレベル上がっても寝ちまうのかよ・・・」
(不運をカバーできたのはいいがこれじゃろくに冒険できそうにないな・・・)
そう思いながら街へ戻るとまたしても不運が待っていた。