7話 ポンコツ異世界活劇
何とか朝を迎えることができた。
しかし、朝なのに外は薄暗い。
外との結界で太陽の光はこちらには入って来ないようにされているらしい。
ニワトリの鳴き声の代わりにカラスが鳴きながら群れを作ってゴミを漁っている。
朝一番私はノリコの整備とオイルの補充を行なっている。
この世界では機械用のオイルはなく、料理で使うオイルしかないようだ。
料理用のオイルでも使える様に設計しておいて正解だった。
無駄な機能も時には役立つんだと最近実感しつつある。
ノリコの体は毎朝こうして私が整備している。
ポンコツではあるが、自分が作ったロボットに愛情はある。
「体の部位に傷みはない。今日も正常だな」
「感謝します」
ノリコの整備を終え、マナーモードに設定した私は宿屋の外に出て支度をしようとした。
しかし、出て早々商人達が集団で私達に襲いかかって来た。
「デュラハン様!この鎧をどうぞ!サモナイトの鉱石から作られた鉄鎧でございます!!」
「プランスターの剣!デュラハン様にピッタリの剣だぜ!!持たなきゃ損損!!」
商人達はきっとデュラハンに自分の所の商品を着てもらい、宣伝してもらおうと必死になっているに違いない。
この世界に来て1日しか経っていない私にはどれが良い装備なのか見当もつかない。
例えば右の商人は瓶を手に持っていてその瓶の中には毛がフワフワのぬいぐるみみたいな生き物が入っている。
しかし、時々その毛の隙間から目がチラッと映る。
絶対危険だから無視しよう。
左の商人は剣と盾を持ってゴリ押ししてくる。
絶対にサビない剣と絶対に汚れない盾だと宣伝してくるが推すポイントが違う。
折れない剣と壊れない盾は聞いた事があるが、サビない剣と汚れない盾とか潔癖症のやつしか買わない商品だろう。
こんな風にどれも怪しい物にしか見えない私はその商人達を押しのけながら前に進む。
しかし、その中で鎧の兜を勧めてくる商人がいた。
こんな世界にも和風な装備があるんだと思い、見つめていると商人はいつの間にかノリコに兜を装備させていた。
勝手に装備されたら流石に黙ってはいられなかった。
「おいおい!勝手に装備するのはやめてくれ!」
「フフ…フフフフ…フスフス…」
薄気味悪すぎる商人はその場を逃げ出した。
追いかけようとしたが、頭部のないノリコを放っておく事もできないので追跡はやめておく。
しかし、どこかあの商人には懐かしさを感じたような気が…
「デュラハン様。どうやら装備にお困りのようですね」
話しかけて来たのは商人達の中に突然ワープして来たフールだった。
フールを見るなり周りの商人達がすぐさま逃げ出した。
商人達にとってフールをどんな存在なのだろうか。
「私どもが用意した装備を装着してみてはいかがでしょうか?商人達が用意する装備よりも安全ですよ」
確かにさっきみたいに兜を無理やり装着させてくるやつよりかはフールの方が安心できる。
フールに聞きながら私達に合った装備を見繕ってもらおう。
フールは私の顔を見るといつもの穏やかな笑みを浮かべ、目的地までエスコートするように手を差し出してきた。
「デュラハン様にお似合いの装備をご用意しました」
「ゴスロリじゃねーか」
私達の周りにはゴスロリ衣装がズラリと並べられていた。そこに立つのは謎のレゲエ男。何の悪ふざけですかこれは。
「YO」
ゴスロリ衣装よりも目の前の男が気になります!
ちゃんとした装備とかを期待してたのにこの仕打ちはあんまりだぁ〜…
「続いてはこちらです」
フールが用意した先にはどこか見覚えのある服装が並べられていた。
「最近拾った物なのですが珍しかったのでとっておいたのです」
フールが集めた物は全てスーツだった。
スーツが何着も並べられている光景はもはや洋服の某やスーツの某を連想させる。
身だしなみを整えるのは良い事だけど今はいらない!
それよりもこの異世界にスーツが流れ着いているという事はどこかに私達がいた世界へのルートがあるという事ではないか?
同じルートで私達もこの世界に流れ着いた可能性が出てきた。
とりあえず後で聞いてみるか。
「まぁ冗談はここぐらいにして。次こそが本物です」
やっとちゃんとした装備が見れそうだ。
「YO」
「レゲエじゃねーか」
次に用意されたのはいかにも南米にいるようなチャラい男が立っていて、レゲエっぽい服装を見せびらかしてくる。
その前に誰だお前。
「YO」
「彼の名はカルロス。気にしなくていいので次へ行きましょう」
さっきから気になるわー!
なんでこんな異世界にレゲエが存在しているんだよ!
「YO」
こいつはYOしか喋れないのかYO!
あぁ!語尾が移ったじゃねえかカルロスゥゥゥゥゥ!!
「YO」