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44話 マルッとお見通しだ!

 私は何も見ていない。

 そうだ、きっと疲れているんだ私は。

 今日は寝よう。

 横になってゆっくり疲れを取るんだ。


「そうそう…ゆっくり疲れを取りなさい」


「はい。そうしま…」


 俺は今、誰と話をしているんだろう。

 部屋の中、しかも鍵を閉めた密室のこの部屋で俺は誰かと話している。

 ノリコ達は下にいるはずだ。


「どちら様で…?」


 その問いに誰も答えてはくれない。

 当然だ。

 誰もいなくて当然なのだ。

 決して怖くて鍵を開けるんじゃない。

 下の様子を見に行くだけだ。

 少し早歩きで下へと向かった。


「おーいマキマキー!ご馳走が一杯だよ!」


「これはなんと高級そうなオイルでしょうか」


「お前ら!飯を食う準備はええか!」


『もちろんです!』


 何やら盛り上がっているようだ。

 上の薄気味悪さとは大違いだ。

 それにしても豪華そうな食事のラインナップだ。

 あのおばあさんが作ったにしては数が多すぎる。

 相当気合入れて作ったんだろう。


「たんとお食べ」


 おばあさんの笑顔に感謝し、そのまま飯を食べる。

 これは私が好きな味だ。

 懐かしい…この世界でもこんな美味しい物に出会えるなんて…


 他の仲間達もどうやら同じ感想のようで、とろけそうな顔をしている。

 しかし、べーちゃんは食事をしたところで何の意味もないはずなのになんでとろけそうな顔をしてるんだ。

 そしてノリコは顔中にオイルをかけるな。

 勘違いされるから。


「良いお仲間さん達だこと!」


 私はその笑顔がどこか怖く感じてしまった。

 しかし、変に考え込むのはよそう。

 優しくしてくれているおばあさんに失礼だ。

 今を生きるのが1番だ。

 その後も私は食事を楽しんだのだった…










 食事が終わり、仲間達に異変が現れた。

 アレーラの仲間達が突如体調を崩し、部屋にこもってしまったのだ。

 さらにノリコまで調子がおかしくなっていた。


「おいノリコ。大丈夫か?」


「うるせぇよテメェ。黙ってろ」


 なぜかヤンキー口調になってしまったのだ。

 こうなってしまった原因は現在のところ不明。

 まだ異変が現れていないべーちゃんやアレーラにも何か症状が出始めるかもしれない。

 これは非常事態だ。


「もしかしたら…キューマルのオバケの仕業かもしれないねぇ」


 おばあさんの一言に私は嫌な予感を感じた。

 二階の部屋にいた時に感じたあの恐怖体験。

 もしやあれも…


「キューマルの町のオバケはこの辺りにやって来て観光客や勇者にイタズラを仕掛けるんだ。それで怖がらせて町から遠ざけようとしてんのさ」


「ど、ど、どうすればいいんですか…?」


 べーちゃんが恐る恐るおばあさんに尋ねた。

 べーちゃんは確かオバケが怖かったんだったな。


「キューマルの町へ行ってオバケ退治をするしかないねぇ」


「お、お、オバケ退治やて…?ま、ま、任しとき!ウチにおまかせやぁ…!」


 もう1人の方もオバケが苦手なようだ。

 とりあえずアレーラの仲間はおばあさんに任せてキューマルの町に向かった方が良さそうだ。


 ノリコも口調がおかしくなっただけだから一緒に連れて行こう。

 外はだいぶ暗くなっているが、仕方ないな。

 いざ…オバケ退治へ…


「生きて帰ってくるんだよ」


 は…はい…

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