表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/48

43話 ドーンとこーい

 キューマルの町まで数キロ。

 今日は暗くなってきたのでどこかで休息を取ることにした。

 遠くの方に家らしき建物が見えた。

 もしかしたら宿屋かもしれないし、あそこに泊めてもらえるか聞いてみよう。


「アレーラ…何か体が重いよ…」


「俺も」


「私も」


「何やアンタら情けない。もう少しの辛抱や」


 アレーラの仲間が体の重さを訴えかけてきた。

 確かに今日は結構な距離を歩いたから疲れてるのかもしれない。

 何としても泊めてもらわないと明日に支障が出るかもしれないな。








「すみませーん。誰かいますかー?」


 べーちゃんの声で扉が開く。

 出てきたのは優しそうなおばあさんだ。


「何の用だい?」


「すいません。私達冒険をしている勇者でして、大変失礼なんですが、今晩泊めていただけませんか?」


「お願いします!」


「この通りや!」


「お願いします」


 ポンコツ三人娘が頭を下げた。

 優しそうなおばあさんは笑顔でポンコツ三人娘の肩を叩いていく。


「いいよいいよ。さぁさぁ中にお入り。宿屋じゃないから大した食べ物はないけど」


『ありがとうございます!』


 皆でおばあさんに感謝し、中へと入れてもらう。

 こんな大勢なのにありがたいなー。

 家の中はごく普通の家だった。

 部屋には大きな暖炉があり、すごく暖かい部屋になっていた。

 しかし、おばあさん1人にしては大きな家だ。

 他に誰かいないのか?


「部屋は二階の部屋を使っていいよ。昔は息子や孫がいたけど皆出ていったり、夫は亡くなっていなくなったから部屋が余ってるの」


「ご迷惑おかけします」


「いいのさ。大勢の方が楽しいし」


 なんと心の広いおばあさんなんだ。

 それじゃあ心置き無くくつろいでいこう。

 仲間達はというとべーちゃんは前後に大きく揺れるイスで遊んでいて、ノリコは棚に置いてあった小説を読んでいる。

 アレーラは仲間達を二階の部屋に寝かしにいっているようだ。


 壁には家族の写真が飾っていて6人の人が写っていた。

 部屋自体はすごく綺麗だ。

 ホコリもないし、整理整頓もしっかりされている。

 おばあさんは綺麗好きなんだなー。


「それじゃあ私は料理を作ってくるから座って待っていてね」


「ありがとうございます」


 料理が出来るまで私は二階の部屋にいき、アイテムを整理することにした。

 二階の私の部屋にはシングルベッドが置いてある。

 それ以外には特に目立つような物は置いておらず、落ち着いた部屋となっていた。


 私は背負っていたバッグをベッドに置いて整理をした。

 キューマルの町で必要になってくるアイテムはできるだけ取りやすい位置に入れておこう。

 絶対的に必要になってくる霊避けのお札…これはボッチャーからもらった物だ。

 役に立つ事間違いなし!


 …とその時だった。

 霊避けのお札に触れた瞬間、部屋の雰囲気が一変した。

 さっきまで落ち着いた部屋だったはずなのに、ホコリやクモの巣が張っている汚い部屋に見えたのだ。

 

 私は見なかった事にした。

 きっと疲れで錯覚を見ているんだ。

 そのまま目を瞑り、バッグの中に霊避けのお札を入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ