42話 勇者マキ
キューマルの町を目指す私、ノリコ、べーちゃん、アレーラとその仲間達一行。
そこに突然盗賊が襲って来た。
「金を出せ!ヒャッハー!」
モヒカンに火炎放射器、独特な口調…
これまた奇抜な格好で…
どこかの世紀末に影響でもされたのか。
「お前ら!生きて帰れると思うなよ?」
「どうしますか博士?私が秘孔をついて黙らせますか?」
「お前の秘孔打ちは人を殺しかねないからやめておけ」
ノリコのパワーならリアルにヒデブになるだろう。
「ならべーちゃんが膝にナイフを…」
「そんな危険な真似はよしなさい。それからターバンを頭に巻くな。お前ら世紀末詳しいなおい」
「じゃあウチらがケリをつけたるわ!」
「いや、アレーラ達の出番はないんで待機してください」
無理やり制圧する必要はない。
要は戦わずに勝てばいいのだ。
頭の使い所だな。
「ええと…欲しいのは何なんですか?」
「金と食料…それにそこにいる女共もだ!」
「あー…なるほどぉ…」
典型的なモヒカンか…
金や食料は何とか渡せるがノリコ達を渡すのは残念だかできない相談だ。
なら、渡す気にさせなければいいんだ。
私はモヒカンに近づき、耳元で囁く。
「右にいるのは魔王軍幹部のデュラハン…真ん中にいるのはマリオーネ騎士団の空飛ぶ悪魔…左にいるのは………伝説の勇者アレーラ…聞いたことはあるかな?」
「…ウソだろ?」
「ホント」
最後の紹介だけ嘘はついた。
しかし、ポンコツロボットに関しては本当の事だ。
「あのぉ〜…いくら払えば逃してもらえます?」
「有り金全て」
「え…?」
「有り金全て。又は装備一式」
タダで済むとは思うなよ。
こっちも命懸けで交渉しているんだ。
それ相応の物は払ってもらう。
「あ、はい。すみません。どうぞ」
さっきまで勢いの良かったモヒカンは気の弱い好青年に変わっていた。
有り金をもらい、モヒカンの尻を叩いた。
頭を下げながらモヒカンは撤退していった。
「さすがやマキマキ。やるやないか」
「マキマキ!どうやって騙したの?」
「博士。どこの秘孔を突いたんですか?」
よし、一つずつ整理していこう。
まずアレーラの仲間キャラ薄いわ!
もう少し目立つ努力をしろ!
というかアレーラはもう少し我を失くせ!
キャラ濃いわ!
山田孝之のヒゲ並みに濃いから!
そしてべーちゃん。
騙し前提で話を進めるな。
私は詐欺師ではない。
それだけは覚えておいてくれ。
そしてポンコツロボット。
お前はいい加減世紀末から離れろ!
そのネタ引っ張りすぎだから!
もう飽きてるからそのネタ!
ふぅ〜…スッキリした。
「タオルどうぞ」
「あ…ありがとう」
マルチネスが俺の汗に気づき、タオルを差し伸べてくれた。
キャラが薄いとはいえ、裏方に徹したら負けだマルチネス!
キャラを濃くする努力をしてくれ!