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3話 ようこそラストの町へ!

 ポンコツロボットの頭を追いかけて1時間ぐらいが経過した。

 ひたすら進み続け、限界を感じていた私の目の前についに門が現れた。


「ついに……辿り着いたぞ……」


 隣でノリコが大きく震えていた。

 おそらくおめでとうと伝えているつもりなのだろう。

 しかし、問題はここからだ。


 ここがまずどこの町に当たるのかを突き止めなければならない。

 私は日本人で多少の英語しか嗜んでいない人間である。

 外国の国だった場合はジェスチャーで意思疎通を行わなければならない。

 そして隣には首なしのロボットときた。

 不安要素が盛り沢山だが、ここは進むしかない。


「あんた。何しにきた?」


「え?」


「え?じゃねえよ。ここを魔王様の城と知ってて来たのか?」


 突然門番らしき男に話しかけられてしまった。

 しかし、話してる言語は聞き間違いでなければ日本語のようだ。

 とりあえず一安心した私は正直に事情を話そうとしたが、突然門番が驚いた。


「おいおい。隣のやつ頭ねえじゃねえか!!」


 ですよねー。

 そこ突っ込まれたら何も言えないです。

 言い訳を考えようとしたが、どう説明しても信じてもらえそうにもない。

 まだ人型ロボットが日本には広まっていないのだから。

 くそ!人類の技術進歩が憎い!!


「スカル。失礼なことを言うな。図が高いぞ」


 スカルと呼ばれる男の後ろからもう1人の男が出てきた。

 その男は髪が長く銀色、外国人のようなイケメンであった。


「フール様!!なぜこんな所に!!」


 スカルと呼ばれる男はそのイケメンの顔を見るなり、しゃがんでしまった。

 なんだかゲームの世界みたいだなー。


「今日、グラビットの町を滅ぼしたデュラハン様がこの城に訪れる予定なのだ」


 デュラハン?ゲームで聞いたことがある。

 確かファンタジーの世界でよく見る首がない騎士とかのことだったはずだ。


「は!まさかこの方が!?」


「そうだ。グラビットの町を一夜にして滅ぼし、あの勇者ライトを倒したあのデュラハン様だ」


「も、申し訳ございませんでしたデュラハン様!!先ほどまでのご無礼お許しください!!!!」


 さっきまでの態度が嘘のように、スカルが頭を下げ謝ってきた。

 あれ?勘違いされてるのか?どっからどう見てもデュラハンには見えないだろう。

 さっきから首なしのポンコツロボットが震えているだけだぞ。





 ーーーーー首なし?

 ーーーーなるほど。

 ーーーお前のせいかポンコツロボット。

 どうやらこの方々はポンコツロボットをデュラハンと勘違いしているらしい。

 確かに首がないのは完全に一致している。


「えーと…何か誤解を…」


「スカル。今すぐ魔王様にデュラハン様が到着した事を伝えに行け」


「ははっ!」


 そう言うとスカルは一瞬にしてどこかへ消えてしまった。

 まるでワープでもしたかのようだった。

 段々と分かってきた…


 ここは私が知っている日本ではないらしい。

 デュラハン、魔王様と呼ばれる者の存在や一瞬にして違う場所へワープできる事、そしてさっきから耳にする洋風な名前の数々…間違いない…夢であると思うが異世界へ来てしまったようだ。


 夢ならば何も恐れることはない。

 今さら引き返す必要もないな。このポンコツロボットにデュラハンとやらになりきってもらおう。


「私はデュラハン様の部下でございます。すみませんが、デュラハン様は長い旅でお疲れのようなので喋るのもしんどいとの事です」


「そうですか。さすがデュラハン様。私ごときの悪魔では会話もしてくれないのですね。ではご挨拶は短めにしてさっそく用件を伝えます」


 腑に落ちないが私はポンコツロボットの部下という設定にしておこう。

 夢が覚めるのを気長に待ってやる。


「ようこそラストの町へ…魔王様があなたを出迎えるようにとの事です」


そう言うとフールは頭を下げ、穏やかな笑みを浮かべた。

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