27話 愛のままに我がママに
「はーい!それじゃあ朝のラジオ体操第三〜!」
べーちゃんによる恐怖のラジオ体操が始まった。
水道橋博士考案のこの体操、ロボットのためのラジオ体操である。
「まずは関節を反対側に曲げてサビの確認運動〜」
ノリコがべーちゃんと一緒に関節を反対側に曲げている。
人間にも優しくしてくれないかな。
「次に互いの体を引っ張りあって己の限界を知る運動〜」
死ぬ。
ロボットとは違い、人間は限界を超えると死んでしまう。
ノリコよ、頼むから殺さないようにお願いします。
「次にライトを点灯し、暗闇を照らす運動〜」
その装備は私には搭載されていない。
ノリコには搭載したけど目からビームみたいで少し怖い。
ベーちゃんに至っては眩しすぎて見えないくらいの輝きだ。
「次に遠くにいる標的と比較にいる標的に対してすぐにピントを変える運動〜」
これなら私にも出来る。
2人からはピントを変える音が聞こえてくるが、そこまでは真似できない。
「最後に日頃の感謝を込めて感謝を述べる運動〜」
「博士いつもありがとうございます」
これだけ毎日続けてくれたら私生きていける。
この体操を考えた水道橋博士に感謝しよう。
「ねえねえマキマキ!次はどこに行くの〜?」
「とりあえずひたすら北だ。町に着いたら情報収集して元の世界に戻れる方法を聞き出す。それでいこうと思っているが」
「果てしないね。千春みたい」
どこでそんな言葉を覚えた。
目的地がない訳ではない。
水道橋博士からキューマルの町を勧められたのでそこに向かっている。
「前方に他の冒険者パーティーを発見。合流しますか?」
他の冒険者パーティーか。
彼らがひょっとしたら情報を持っているかもしれない。
合流して聞いてみよう。
「あの〜すみません」
「なんや…?」
振り返ったのは赤髪の美女だった。
ノリコやべーちゃんとは異なる美女…どちらかと言えば綺麗な人だ。
関西弁なのは気になるが、私もかつて大阪に住んでいた事がある。
関西弁の翻訳なら出来るはずだ。
この人も異世界から来た可能性がある以上話し合いが必要だ。
「調子はどないでっか?」
「何やそのエセ関西弁。ウチはエセ関西弁が大嫌いやねん。邪魔するんやったら帰って」
「え…」
「ちゃうやろ!そこははいよー…って言ってツッコむ所やろ!」
違う。
私が知っている関西人ではない。
コテコテの関西人だこの人。
マジな関西人だ。
絡むといけないタイプの人種だ。
「あんなー…関西人舐めたらあかんで?いてこますで?アンタら?」
「リーダー…それまでにしとかないと…」
「相手の勇者さんがぼうぜんとしてますし…」
「アンタら!ここで舐められたらあかんねん!ウチらは打倒魔王を掲げて旅しとるんや!!歯ぁ食いしばっていかんと!気合い入れていくでー!」
今のうちに逃げよう。
このままだと無駄な時間を過ごしてしまう。
「博士。負けてられません。私達も気合いを入れましょう」
頼むポンコツロボット…黙っていてくれ…
「マキマキー!負けてられないよー!よしよーし!気合い入れるぞー!」
ポンコツロボットパート2!!
逃げるんだよォーーー!
逃げても勝てば全て良しってどっかのラスボスも言ってたから!!
でも結局は考えるのやめて宇宙飛ばされて、一巡した世界で同じタイプの最強能力者が海に沈んで考えるのやめてたなー…