17話 空飛ぶ黒い影
逃げている最中に何人かの騎士と遭遇したが、ノリコのゴム弾により弾圧。
私が全てのゴム弾を回収しながら歩みを進めていた。
中には降伏をする騎士もいたが、ノリコに情があるはずもなく、弾圧。
しっかりとゴム弾は回収していった。
脱獄した私達はこっそり城の裏口から抜け出していた。
今日にも脱獄したのがバレるはずだから早くこの国から出なければならない。
「前方に敵を発見しました」
ノリコの発言で身を隠した。
確かに前方には騎士達がいた。
ここは身を隠し、通り過ぎるのを待つ。
「またベートルが悪魔軍を壊滅させたらしいぞ」
「おっかねえな〜。最近入ったばかりなのにもうすぐ自分の軍を持ちそうな勢いだぜ」
「空を飛ぶってのは卑怯だよな〜」
「マルコ様もそろそろベートルに目をつけるはずだ。それまでの辛抱だ」
ベートル…どこかで聞いた覚えがある。
かなり前…現世にいた時にだ。
空を飛ぶってのはどういう意味だ?
「お、おい!あれベートルじゃねえーか!」
騎士が見上げた方角を見るとそこには空を飛ぶ黒い影があった。
確かに空を飛んでいる。
羽の生えた人間のシルエットに見えるが…一体…
「見ろよ…また悪魔の首持ってきてやがる……マジでおっかねえぜ…」
完全に姿までは見えなかったが悪魔の首を持って帰ってきたらしい。
聞いただけで鳥肌が立った。
そんなやつが騎士団の中にいるだなんて聞いてないぞ。
「博士。こちらへ来てください」
ノリコが呼んだ方へ近付いた私はさらに鳥肌が立つ光景を目の当たりにした。
血生臭いにおいが充満しているその場所には大量の悪魔の生首が置かれていた。
どの生首も悪そうな顔をしているが、苦しそうな表情や今にも攻撃しそうな顔で死んでいる。
死ぬ間際に相当苦しんだ悪魔といつの間にか死んでいた悪魔がいるようだ。
まさか…これは全てベートルという騎士がやったのか…?
だとしたら悪魔より悪魔だぞ…
こんな所にはいられない。
逃げなればこの生首みたいになってしまう。
ここが異世界である事を再確認した。
ここは死と隣り合わせの世界なんだ。
「博士。何かが近付いてきています。警戒してください」
周りを見渡すが、騎士団の連中は近くにいない。
しかし、ノリコのレーダーに間違いはないはずだ。
とすればどこに敵がいるのだろうか。
「脱獄者みーっけ」
声がした方を振り返ったその時、私の体は宙に浮いていた。
何が起こったのか分からないまま、私はそのまま気を失ってしまった。
最後に見たのは私の横に綺麗な女の子の顔が見えていた…