表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/48

14話 慣れない裁縫

 宴が収まり、静かな夜になった。

 アイザークの村を冷静に見渡すとやはり沼地であった事が確認できた。

 奥の方ではロンドベルが松明を持って見張りをしてくれている。

 彼はいったいいつ休んでいるんだろうか。


「マキマキ。起きておるのか」


 マリアが話しかけて来た。

 この村ではすでにマキマキの名前が広がってしまい、取り返しがつかなくなっていた。

 マリアは相変わらず冷たい目つきで私を見てくる。

 だが、貴様呼ばわりからマキマキになっただけマシだ。


「ーーーこれからどこへ向かうのだ?」


 そういえば目的は達成していたっけか。

 ノリコの頭は回収したし、マリアもこうしてアイザークの村に連れてくる事ができた。

 次はどこを目指せば良いのか分からないな。


「特に決まっていないな」


「そうか…そうなのか…」


 マリアがいつもと違う反応を見せていた。

 どこか寂しそうな見えるがそんなはずはない。

 悪魔であるマリアが悲しい表情を見せるのはおかしいだろう。


「スカパラズの集落に騎士団が現れると聞いた。そこへ向かえば悪名が広がるかもな…」


 おぉ、デレた。

 ツンツンしていた悪魔がデレるとここまで可愛く見えるのか。

 おそらく本人はさりげなくヒントをあげたと思っているのかもしれないが、外から見たらツンデレしてるようにしか見えない。


 別に行く場所が決まっていなかった私達はとりあえずスカパラズの集落に向かおう。

 悪名を広げるわけではないが、そこに向かえば何か元の世界に戻る出がかりが手に入るかもしれない。

 

「ありがとうマリア。次はそこへ向かうよ」


「別に…」


 エリカっぽく締めてマリアは部屋へと戻っていった。

 ちなみにマリアとはここで別れる。

 それが魔王様からの頼みなのだから。


 ーーーしかし…あまり嬉しくない。

 なんというか、寂しさがある。


 ーーーーーー確か私の部屋に裁縫セットがあったな…






 


 翌朝、毎朝恒例のノリコの整備を終わらした私はリリースに村を出ることを伝えた。


「そうですかー。もう行かれるのですねー」


「また来いよマキマキ!その時は男同士酒でも飲もう!」


 村中の人が全員お出迎えに来てくれた。

 しかし、マリアの姿はそこにはなかった。


「リリースさん。また魔法教わりに来ますね」


「はいはいー。またお待ちしてますー。デュラハン様もまたお話ししましょうねー」


 私達はそのまま村を出て、スカパラズの集落へ向かった。


「ーーー行かれましたな。マリアは結局来なかったですな」


「うふふ。私にはお見通しですよー。彼女はお見送りにきてますー」


「なんですと?」


 そういえば昨日針が指に突き刺さってたせいか指が腫れてるなー…

 慣れない事はするべきじゃないか。


「部屋の窓からこちらを見てます。デュラハン様の人形を持ちながら」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ