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The wonderful reality  作者: 狐藪
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折原先生が無双するようです‐続

召喚されてから既に一週間近く経った。

折原先生の鑑定によって全員のステータスは把握した。


ステータス画面に表示されていた奴隷の腕輪は帝国の者達が良からぬ事を考えている事を象徴していて、俺達三人共この国を早く抜け出すほうが良いと結論する。


こういう時、拓海が居れば楽なのに。


拓海は頭がすげー良く回る。

俺なんか想像も出来ないような考えが思い付くんだ。


元々虐められていた原因も頭の良さを嫉妬した生徒と教師が原因だし。


あれから直ぐに帝国の兵士が俺達の部屋にやって来て、鑑定を行ったが、俺達にはステータスを確認させなかったし、職業しか教えてくれなかった....まぁそこは当然だろうけど。



「それにしても、こっち来てから毎日勉強と戦闘訓練って学校より大変だよな」


「そうだよねー。それに今だって部屋に閉じ込められてるし....ほんっっと最悪!」


ベットに寝転がって足をバタバタしながら、理香も不満そうだ。

まぁ理香は別の意味でも不満だろう。


「つーか!この腕輪取ったら毒が打ち込まれて死ぬってなんなの!?マジ最悪なんだけど!!」


腕輪を指差しながら不満を言った。

実際、他にも俺達同様に帝国に不信感を持った生徒もいたようで、部屋にいるときに腕輪を外そうとした生徒がいた。


当然部屋に居れば見ることなんて出来ないのだが折原先生は此処に来てから毎日のように透視のスキルを使って他の部屋の生徒達の様子を観察してたそうだ。だから外そうとした生徒が突然苦しんで死んだ事と、その後、生徒を回収した兵士と腕輪を外した場所に小さい針を刺したような後が着いていたことも確認済み。


最初は当然死んだ事に戸惑ったし怖かった、今も自分が死ぬかもしれない事を考えれば怖くて体が無意識に震える。


理香も時々怖いのか、夜中に泣いてる事もある。

俺達には泣いてることを知られないように振る舞ってるがずっと付き合ってきた俺は勿論、折原先生も気付いている。


「理香あんまり大声だすなよ。今は部屋の前に人が居ないから良いがバレたらそれこそ死ぬぞ」


やれやれと言った様子で折原先生は理香を注意しながら、椅子にもたれ掛かり辺りを見回す。それに対して「はーい」と心の籠っていない返事をした理香は不満そうに相変わらず足をバタバタしている。


今、先生は透視スキルを発動している。

もう一つだけ常時発動しているスキルもあるのだが、先生は既にスキルの使い方を完璧にマスターしてると言っても良いくらいに成長していた。


俺と理香もなるべくスキルを使うようにしているが、殆ど戦闘向きのスキルの為使う機会が殆ど無い。戦闘訓練中でも、兵士からスキルの事は聞いていないので建前上使えない事になってる。


ホントに不憫で仕方ない。


「それにしても、拓海今何処に居るんだろう?帝国には居ないんだよね?」


「多分今は居ないと思う。もしかしたら帝国に来てるかも知れないけど、現状俺らは外に出れないから情報も殆ど掴めないしな」


俺は深く椅子に座り直して理香と同じようにため息を吐いた。

ここに閉じ込められてから外部の情報が殆ど得られていない。


帝国の勉強は殆どが魔族の事だし、それ以外は戦闘に関係することがメインだからだ。


折原先生曰く、これはある種の洗脳をしようとしているそうだ。

ここにずっと閉じ込めて、奴隷状態になっていない人達を洗脳して奴隷の腕輪を着けた者達と同じような状態にする。


その為に閉じ込めているのだ。

現に、奴隷の腕輪が発動していない生徒達も段々と性格が変わっている様な気がする。


とはいえ、俺達もそう言う意味では危険な状況であるのは変わりないのだが.....折原先生が洗脳している可能性を伝えてくれたので、何とか耐えられている。


早くこんなところ逃げて、拓海と会いたい。

拓海と会って元の世界に帰りたい。

そう考えていると不思議そうに首を傾げた折原先生は、当たり前の様な口調で言った。


「拓海の場所ならもう検討はついてるぞ?」


「へ?どう言うこと?」


「ちょっと!折原先生何か知ってるの!?」


さも当然といった様子の折原先生に呆けた声を出した俺と理香が詰め寄ると自身のある表情で腕を組んだ。


「俺を誰だと思ってるんだ?」


誰ってそりゃ....。


「「ロリコンの変態」」


理香と声を合わせて当たり前の事を告げるが、折原先生はがっくりと項垂れた。

何か間違った事を言ったかな?

折原先生はロリコン。


これは誰もが認める事実だろ!


「いや、いやいや。そこは違うだろっと、そんな事はどうでも良いが、結論から言えば拓海は魔王国に居る事くらい分かるだろ?」


「えっと....魔王国って魔族?が住んでる所だよね?」


「うん。理香の言うとおり魔族が住んでる国で、周辺には大量の魔物って言う獰猛な生物が居る″未開の地″にある国だよ」


未開の地ってなんだよ!って帝国の人達にツッコミを入れたくなる様な変な名前だが、どうやらその名前の通り人間は誰も近付けない程危険な生物が居る....らしい。


不確定なのは、その情報の出所が帝国の兵士だから。

ホントにそこまで危険な所か分からないけど....今現在魔王国が無事にある事からホントに未開の地には人が入れないのだろう。



つーか。


「なんで、折原先生は拓海が魔王国に居るって分かるんだよ?もしかして、スキルで魔王国を覗いてたとか?」


透視のスキルで魔王国まで透視したって事か?それなら理解できるけど、違うみたいだ。折原先生は残念そうに首を横に振っていた。


「いや、俺のスキルはそこまで凄くないぞ」


「なら何で分かるんですか?ここにいる兵士が話してたとか?」


理香がむーっと唸りながら折原先生にグイッと詰め寄ると困ったように頷く。


「ま、まぁそれもある。それに二人が言っていた召喚された状況から魔王召喚によってこの世界に飛ばされたと想像できるだろ?」


魔王召喚。

そう言えば兵士の人がそんな事を言っていた。


もし、この世界に飛ばされていたなら間違いなくそうかもしれない。


だけど....。


「だけど、それだけじゃ魔王召喚によって呼び出された事なんて分からないだろ?もしかしたら違う世界に飛ばされた可能性だって....」


「ち、ちょっとー!変な事言わないでよ。拓海が違うところに飛ばされたとか嫌なこと言わないでよ」


「いや....ごめん。でもあくまでも今現状拓海に会えていない状況からその可能性もあるだろ?」


震えた声で理香が俺に対して怒るが、俺も違う世界にいる可能性は否定したい。それだけ、ずっと一緒に居た親友の事が心配なんだ。


それはこの二人も同じ気持ちだろう。


「いや、違う世界って可能性もないぞ?」


「どうしてそう言えるんですか?」


深刻そうな俺と理香を見て尚も表情を全く変えない折原先生を訝しげに見る。


なにか知ってるのか?



「いや、どうしてって言われても....あぁそうか!二人は見てないもんな」


ぽんっと手を叩いて納得した様子の折原先生に益々疑問が広がる。


見てない?なんの事だ?


「見てないって?勿体振ってないで早くおしえてよー!」


「そうだよ!先生、早く教えてくれ」


「いやー。だって....」




「拓海から手紙貰ったし」



「「は!?」」




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