第6話
靴箱前でとんだひと騒動がありはしたが、全員で靴を履き替える。
「む~、届かない!」
「あいりのは俺がとってやるよ」
飛び跳ねるあいりを見て斗真がそう告げると、上履きをとるとうやうやしく膝をついてあいりに上履きを履かせる。
ここまでやるかというほどの、彼のロリコンぷりに誰もが視線をそらしたくなるほどだ。
「……よっ! ほっ!」
「ていや! とりゃ!」
意地でも靴箱から上履きをとろうと飛び跳ねているつぐみとひばり。
その姿に癒される生徒多数いたことはいうまでもない。
「……(はい、つぐちゃん! ひばりちゃん!)」
「あ、ありがとう! 芹ちゃん」
「ありがとう、芹香さん」
すっと、上履きをとってあげる芹香は笑顔で二人に渡す。
それを受け取り、笑顔でお礼を言うつぐみとひばり。
隅でひばりの代わりに上履きをとろうとしたところだったが遅かった為に落ち込んでいる和明がいた。
「和明、どんまい!」
「そうだよ、次があるって!」
そう言って彼を励ます龍星と鷹久。
まあ、見ていられなかったというのもあるだろうけど。
「和明って、ほんと難儀だよな」
「だよな、素直になればいいのによ~」
「秀久みたいにか?」
光一のつぶやきに秀久も呆れたようすで和明をみて言う。
そこでちゃちゃいれる綾香はどこか楽しげだ。
「いやいや、俺までにならなくてもいいだろ?!」
「だよな~♪ 不憫までうつるしな☆」
「ちょ、綾香! そんな失礼なこと言わない!」
慌てる秀久に綾香はけらけらと笑うと鷹久が注意する。
「なんだよ~、ほんとのことだろ~?」
「まあ、秀久のはもはや筋金入りの不幸だもんな」
綾香は不思議そうに首をかしげ、龍星は苦笑しながら高校一年の時のことを思い出していた。
「そ、それはヒーくんの能力による代償みたいなものだと思います」
「きっとそうだよ、秀久くんのはそういう代償を得て発動するものだし」
「力をつかった瞬間にかなりの不幸が起きたもんね(汗」
みなもが秀久の制服の袖を掴み、真後ろから顔を出して言う。
ひばりもその時のことを覚えているのか言った。
つぐみはその時のことを思い出して苦笑を浮かべているが。
「そういえば、よくみなもの親衛隊に追われてたよな。 秀久」
「みなもは人気者だからな、そばにいる俺達にもその妬ましい視線がくるくらいだし」
綾香はふと、思い出して言うと光一が苦笑しながら靴を履き替える。
そんな会話しながら全員で上履きに履き替えると、階段へと向かうのであった。
ちなみにつぐみ達がめざすのは3階にある二年のクラスである。
とはいっても結構な広さなので迷子になる生徒も続出したりする。
まあ、探索して冒険する生徒もいないわけではないのでなにも言われてないが。
選択する科目を選んでいる場合はその授業の時は別々の教室へとうつる使用だ。
もっとも勉強したいものを選べるようになるのは高校生になってからだが。
なお、選ばないといけないなんてことはないので生徒は自由である。
もちろん、部活も生徒の自主性を尊重しているが、能力検査の場合は別だ。
全員、必ずと言っていいほど検査するようになっている。