第26話 保健室での噂ごと
「いつもいつもありがとうね、雨宮さん」
「いえ、私が勝手にやってるだけですから」
黒髪のロングヘアーの女性の保険医が物品らしきものを片付けをしながら謝罪する。
つぐみは笑顔でそう答えながら手伝いをこなしていく。
「そう言ってくれるのは助かるけど、無理しないようにね?」
「それ、秋斗とくんとお兄ちゃんや芹お姉ちゃんにも言われました」
保険医の教師の言葉に苦笑しながら言われたことを思い出していた。
言われているのならなおさら無理しないように心がけてほしいものだと教師である佐原は思ったであろう。
真面目でいつもまっすぐに几帳面だけど、どこか危うさが感じられるのはつぐみだけではない。
ひばりのこともみなものこともそうである。
どこか、欠けてしまっているのかとそう思えてしまうくらいの危うさ。
「それはそうと、最近非登録の能力者が動いているから気をつけてね?」
「ああ、最近ニュースになってますよね」
佐原が話をかえるようにそう言うとつぐみは箱を置いて振り向きながら言った。
「そうよ、いくら榊くんと工藤くんが一緒でもいつも、というわけにはいかないでしょ?」
「そ、そうですね。 用事があったりなんだりで」
肩に手を置いてこりをほぐす佐原教諭を見ながら苦笑を浮かべるつぐみ。
「まあ、あの二人の場合雨宮さんのことでならそんなの苦でもなんでもなさそうなのがありえるのよね~」
「あはは、二人とも良く朝の自主連しているみたいですからね」
ファインダーにまとめた書類もかたす佐原教諭につぐみは今日の出来事を思い出して笑う。
「そういえば、夏目さんと吉田くんも結構朝の訓練しているみたいね。 怪我しないといいけど」
「ひばりちゃんから聞いたけど、そんなに無茶な訓練はしてないそうですよ?
逆に自分が無茶な訓練しているって怒られているみたいで」
ふと、思い出した彼女につぐみは苦笑をまぜながら話す。
まあ、あの二人の友達であるからには連れ出されたのだろうこともわかるし。
なにげ今佐原の目の前にいる彼女も参加していることも。
え、なぜ一介の保険医がそこまで把握しているかって?
それは生徒の体調管理を注意を向けるのが彼女の仕事だからだ。
「でも、一番無茶しそうな人っていうのは納得できるわね」
「せ、先生まで」
佐原教諭に言われてしょんぼりするつぐみ。
小柄な彼女たちにはそれ相応の体力しかないというのも心配の種である。
「…………(つぐちゃーん♪ 帰ろう?)」
「あ、うん! すぐに終わらせるね」
「もう、これくらいでいいわ。 それとくれぐれも集団で下校しなさいね?」
待っていたのか芹香に声をかけられて頷くと佐原教諭が言うとつぐみの背中を押す。
二人は笑顔で頷くと頭を下げて歩いていく。
ちょうど、つぐみの手荷物も持っていたようでそのまま歩いていくのだった。




