第20話 クレープでも食べに行こう!
「なあなあ、クレープを食べにいかひん?」
と、深紅はにこにこ笑顔でつぐみたちに笑いかける。
「それいいな~♪ レイナも行くよな?」
「うん、今回はうっかりしなかったしね!」
綾香が深紅の隣にいるレイナに話しかけると彼女は笑顔で頷いた。
「と、突然れしゅね」
「みなも、とりあえず落ち着け」
みなもはいきなりの話題に思わずかみかみになってしまっていた。
そんな彼女の背中をさする秀久は苦笑を浮かべている。
でも、甘いものが大好きな秀久のことだから内心はウキウキだろう。
「いくのはいいけど、なにか意味があるの?」
「だよね、なんか限定なものでもあるのか?」
ひばりと和明が深紅の提案に苦笑を浮かべつつもなぜ、という疑問をもって問いかける。
「まあ、わっちは興味ないんやけど、みなもは興味あるんとちゃう?」
「え、それって……ああ~!!」
にやにや笑いのままみなもに近寄るとチラシを見せる深紅。
それに大きな声をあげるみなも。
彼女にしては珍しい大きな声だといえよう。
「……(どれどれ? ふむふむ、先着500名様に羊&狼さん等や動物系ストラップをクレープを買った人だけにプレゼントと)」
「へ~……これはすごいな」
後ろから覗き込むと芹香はチラシの内容を読み上げる。
秀久はそれを聞いて隣にいるみなもを見つめる。
彼女は目はきらきらと輝いているのがわかる、よほどほしいのだろう。
羊と狼の組み合わせはなかなか人気らしく、到着そうそう売り切れということもあるそうだ。
「お、これはなかなかお目にかかれない組み合わせだな」
「…………(りゅうくんもそう思う? よかったね、みなもちゃん)」
「はい! 羊さんと狼のフェルトのストラップなんてめったいにないチャンスれす!」
龍星も芹香の肩に手を置いて見ながら言うと芹香は笑みを見せてみなもに言うと彼女は笑顔で頷いた。
「ふ~ん、そんなに人気なんだな☆」
「綾香はゴールデンレトリバーのストラップがいいかもね」
深紅からチラシを受け取りまじまじと眺める綾香に鷹久は笑みを見せていた。
「なら、吉田くんは鷹かな?」
「ああ、そういうイメージはあるかも」
あいりと斗真は綾香と鷹久を見てうんうんと納得いったというような顔をしている。
「秋斗くんなら猫かな? 猫好きだよね」
「え? あ、うん」
つぐみが隣にいる秋斗に声をかけると驚いたように顔をあげて頷いた。
「好きな動物は猫だからな、秋斗は」
「でも、彼に似ているのはやはり狼……になる、やろうな」
「それは確かにそうかもな」
当夜は野良猫に好き放題に舐められて幸せそうにしていた光景を思い出してつぶやく。
深紅が秋斗を観察していうと光一もそこには納得していた。
まあ、狼は秀久もなのだが。 彼はどちからというと不憫狼の方である。
秋斗は凛々しくそして誇らしい狼だろう。
「いままでのノリでいくなら、ひばりはイメージでいうなら小鳥かな」
「え? なんで?」
和明はぽつりとつぶやいたのを聞いて首かしげるひばり。
彼女としては本当に不思議でならないのだろうが、それが彼のハートを打ち抜いていることに気づいていないだろう。
「鳥みたいに可愛いということだろ☆」
「ちょ、綾香! 割り込んだら駄目だろ!」
綾香はそんなひばりに抱きつくと鷹久がチョップしてたしなめる。
だが、そんな行動は独り身のものたちにとってはとてつもないダメージになっていることに気づくべきだろう。
「あら、なにやら楽しそうね」
「なにかいいことでもあったの?」
ここで生徒会長の霜月と補佐の夜瀬澪次が歩いてきた。
さきほどから書類整理をしてやっと終わったのだろうか。
長い黒髪をなびかせて赤い瞳を向ける霜月はどことなく人と距離をとっているように思える。
だが、澪次と深紅とレイナだけは別格のようでよく会話していたりするようだ。
「これからクレープ食べに行くんやけど、会長もいかひん?」
「そうだよ! 終わったんでしょ?」
深紅とレイナはそう笑顔で近寄ると言った。
今の二人にはなにを言っても無駄だろうなと彼女はわかっている。
とっつきにくい扱いにくいだろうに、それでも深紅とレイナはそばにいる。
そんな二人がとてつもなく守りたいとともに傷つけるものには報復を考えてしまうのだ。
一度、そうつぶやいたら真剣に怒られてしまった。
なにがいけないのか彼女にはかなり悩んで澪次に相談したが彼もわからないらしい。
「ふう、仕方ないわね。 いいわ、いきましょう。 いいわね、澪次」
「うん、たまには息抜きも必要だろうしね」
霜月が溜息まじりにそう言うと彼は笑みを見せてそう答える。
彼の憂い顔で女性陣にかなりの人気をもつのはいうまでもない。
そのため、深紅もレイナと霜月と秀久もみなもも心配だったりするのは彼らだけの秘密。




