第12話 自己紹介です!
和明が座ると美しい金色の癖っ毛を腰まで伸ばした蒼い瞳の少女が立ち上がった。
彼女の瞳は晴れ上がった空のような青さを連想させる。
「あたしは夏目綾香☆ よろしくな♪ 好物であり好きなものはプリンで☆
嫌いなものはしつこいやつ☆ 身長は170cmで体重は内緒な☆
スリーサイズは『それは言わなくて良いかと』ちょ、ここで出るなよ。 セレーナ」
にこにこ笑顔で自己紹介しようとしてスリーサイズを言おうとした瞬間に影から一角獣が出てきた。
そしてそのまま綾香の台詞にかぶせるように会話する。
生真面目なセレーナだからこその注意なのかもしれない。
スリーサイズを聞けないことに落ち込む男子生徒たちがいたのはいうまでもない。
『主綾香の使い魔のセレーナです。 ああ、ちなみに主は彼氏など募集はしていないそうです』
綾香の抗議を聞かなかったことにして挨拶するセレーナ。
なんというか、彼女の扱いに慣れているように思えるのはなぜだろうか。
それほど長く過ごしてきたのかもしれないが。
「まあ、恋愛とかめんどくさいしな♪」
『そもそも、主に寄り添える人物はそうはいないかと』
セレーナの発言を否定する気もない綾香はいたずら小僧のようにけらけらと笑って着席する。
細身の身体でがっしりとした体つきをもつ男子生徒が立ち上がる。
らかい髪質の癖のある黒髪に、優しげな黒瞳という穏和そうな風貌の少年に思える。
彼は周囲を見回すと口を開いた。
「えっと、吉田鷹久です。 趣味は特にないですが、特技は家事全般で、特に料理にはそれなりに自信があります。
それと、僕の使い魔の鷹丸です」
『グリフォンの鷹丸です、みなさまどうか主共々よろしくお願いします』
鷹久はそう言いながら自己紹介を無難して、使い魔の紹介をする。
影から出てきたのはグリフォンで名前は鷹丸と名乗り、礼儀ただしくお辞儀する。
そして彼が着席すると鷹丸は彼の肩に止まる。
次に立ち上がったのが我が不憫といわれる少年だ。
「上狼秀久だ。 趣味はサイクリングとかそんなもので部は剣道部と柔道部の掛け持ちさせられてる。 んで、俺の使い魔はレイとしゅうやんっていうんだ」
『レイだ。 まあ、本名はオーバーレイニクスだがな』
「わう!」
秀久は自己紹介しつつ、レイとしゅうやんのことを紹介する。
影からでてきた赤い狼はぶっきらぼうというような感じの口調でしゃべっている。
しゅうやんは飛び出てくるとポーズをとっている。
狼の耳と狼の尾がなんとも愛らしく思える女子生徒がでているのはいうまでもないだろう。
次に立ち上がったのは秀久とつながりの深い女子生徒である。
いや、もはや恋人同士なのだが、理性を抑えるのが秀久にとっては困難になっているといってもいいかもしれない。
「しゅじゅ! じゃなくて涼宮みなもれしゅ! あうう、かんじゃったようっ。
あ、えとえと! その、趣味は絵を書くことと家事全般です。
使い魔は豹のカーくんと癒しの獣のみなちゃんです」
『みなもの使い魔のカーくんです、まあよろしく?』
「み?みぃ!」
みなもは焦りながらかみつつ自己紹介し、使い魔とぷちも紹介する。
豹はあくびしつつ自己紹介をして、みなちゃんも猫耳と尻尾を動かしながら挨拶をする。
かなり緊張しているのがわかるほどカチコチである。
男子生徒の熱い眼差しがみなもに注がれている。
それも無理もないだろう、ルビーのような赤い瞳に銅色のお尻まで隠れるほどの長い髪に大きなバスト。
そんな彼女を見て心奪われるようにトキメクものはかなり多い。
後は単調な自己紹介で話が進んだ。
次に席から立ち上がったのは黄色い瞳、無造作な黒髪、襟足は長く鋭い目つきに凛々しい顔立ちのイケメンで秀久と違って細身ではないが、大男なイメージもない男子生徒だ。
「秋獅子流牙だ。 ただ弱いものには興味はないが、強い意思があるのなら認めてやろう
まあ、あればの話だがな」
『私は流牙の使い魔のゼロハートです。 まあ、ゼロと呼ばれておりますがね』
流牙は敵に回すような発言をしつつ、自己紹介をする。
それに続いて誇り高く賢い幻想種の獅子で、毛並みは金色、鬣は赤いのが出てきた。
彼の名前はゼロハートで流牙と響からはゼロと呼ばれている。
そして彼が着席するとローズピンクのポニーテールが揺れて立ち上がる女子生徒。
「はいはーい☆ ボクは九条院響だよ~! 特技は料理かな♪ あ、あと方向音痴なところもあるね!
ちなみに、今年でボクも20歳だったりして☆ まあ、方向音痴で留年しちったんだけどね~」
『使い魔のアジュルです~。 よろしくおねがいします~』
「くじゅ~! くじゅじゅ?」
響はにこにこと笑いながら自己紹介をしていくと使い魔とぷちも自己紹介していく。
そしてお辞儀をしているくじゅーと翼獅子のアジュル。