第8話
「おはようさん」
「やほ! みんな、おはよ~♪」
「おはよう」
水色の長い髪の少女が歩いてきて言い、黒髪のロングヘアーの少女はなぜか垂れている状態で彼女の頭の上にいた。
その隣で黒髪のショートで前髪で片目をかくしている男子。
いったいどういう原理でああなっているのだろうか。
謎がつきない気分でいる当夜達だった。
「レイナと澪次と、誰だ?」
「レイナちゃん、澪次くん、お久しぶりです!」
首をかしげる秀久と嬉しそうに笑うみなも。
秀久とみなもとレイナとあともうひとりは幼なじみであったのだ。
「ヒデ、知り合いか?」
「ん? ああ。 俺達の幼馴染で夜瀬澪次と夜瀬レイナだ」
当夜が問いかけると彼は頷いて説明する。
澪次とレイナは頭をさげる。
「えっと、僕は覚えてないけど……君は覚えているんだよね」
「覚えてって、忘れちまったのか?!」
困ったような顔をする澪次に驚きを顕にする秀久。
「兄さんとわたしは、ちょっとしたできごとで引っ越したでしょ?
その時のできごとでちょっと」
「そのことで澪次は記憶障害みたいなもんになっとるんよ。 あ、わっちの名前は神埼深紅や」
慌ててレイナがフォローするように会話に割り込み、説明する人物も増えてから自己紹介する。
「そんな……ことが」
「そっか、それなら無理もねーか。 でも、また思い出を一緒に作れば関係ねー!
だろ、みなも」
みなもは悲しそうに瞳を潤ませ、秀久はうつむいたがすぐに顔をあげて澪次の肩をつかんで笑みを見せてからみなもに声をかけた。
みなもはそれを聞いて笑顔で頷いた。
「ありがとう、はじめて会ったはずなのにどうしてか安心する理由がわからずに迷ってたけど。
そういうことだったんだね。 また、仲良くしてくれるかな?」
「当たり前だろ! 俺と澪次は友達なんだからな!」
澪次が言うと秀久はニッと笑いながら答えた。
その様子を見つめる視線がひとつあった。
深紅はひとりだけいる黒髪のロングヘアーの女子に近寄る。
「あら、どうしたの? そばにいてあげたらいいのに」
「そんなんわっちの役目ちゃうやろ。 わっちと澪次はお互いに切磋琢磨していくライバル関係なんやから!」
首をかしげる黒髪の長い髪の女子は赤い瞳を細めながら言うと呆れたようすで告げる深紅。
それを聞いて苦笑する彼女は嬉しそうな顔をしている澪次をただ眺めるだけだった。
最初にあった時よりも彼に変化をあたえることができたのは間違いなく深紅達のおかげだと思っている女子生徒。
そんな彼女の携帯に連絡がはいり、溜息をつきながら彼女は踵をかえしてさっていく。
「生徒会長のお仕事なん?」
「ええ、そうよ。 聞かないと理解できないひとたちで困ってしまうわ」
深紅の問に彼女は振り向かないでそう言うと再び歩き出す。
そして視線をレイナ達がいる方へと深紅は向ける。
「俺は井鷹当夜だ。 秀久とは友達でな。 これからよろしくな、澪次」
「あ、うん。 夜瀬澪次です、よろしく」
当夜はそう言って握手をもとめる澪次は握手を返す。