第7話
つぐみ達は目的の西館にある校舎の階段をのぼり、その階に到着した。
「はあはあ……やっと、ついた」
「こ、これでやっと四階なんだよね」
なんとか階段をのぼりきって、ほう、と息をつくつぐみとひばり。
同じ小柄で運動が苦手な彼女たちはここまで上がるのは重労働のようだ。
「…………(へう、きつかったよ~)」
「こ、これだけ長い階段はキツイ、よ」
芹香とみなもは壁に背中を当ててもたれるように息を整えていた。
つぐみやひばりほどではないがこちらの二人も結構な重労働だった。
「斗真がおろしてくれなかった……」
「いや、歩いていてどこかにぶつけたら大変だろ? それでそのままにしていたんだが」
ちなみにあいりは運動大好きな子なのである程度鍛えているのだが。
斗真の過保護で落ち込みまくる光景が結構あったりする。
「と、途中でバケツが……」
「巻き添えくらった……」
頭にたんこぶをくっつけている秀久の隣でめそめそしている和明がいた。
ちなみに息を乱しているようにもみえないあたり、二人も鍛えているようだ。
「光一、大丈夫か?」
「…………」
龍星は息を荒くしている顔色悪い光一に声をかけていた。
光一が黙って片手をあげて大丈夫なことを伝える。
どうやら光一にも階段がキツすぎたようである。
まあ、途中で秀久の流れ弾にあたったりもしたのだから仕方ないのだろうが。
「みんな、大丈夫か?」
「平気そうな人はそうそういないみたいだね」
綾香は息を整えている人達を見つめ、鷹久が苦笑を浮かべていた。
ちなみに綾香・鷹久・龍星は特に息を乱しているようにはみえない。
まあ、龍星は日ごろから身体を鍛えているからだろう。
綾香と鷹久はある筋で鍛えているからかもしれない。
「かっかー?」
「あ、ありがとう。 せりかさん」
「いつも思うけどどこから出してるんだろう」
飲み物をくばるせりかさんから受け取り、水分補給するつぐみとひばり。
まあ、ひばりは疑問を浮かべているようではあるが。
「まあ、せりかさんだからな」
「…………(せりかさんだからってとおっちゃうからね~)」
龍星と芹香は説明しにくい様子で苦笑を浮かべている。
それくらいせりかさんは謎に満ちているのであった。
「で、でもみなさんすごいですよね」
「あ、そうだね。 息を乱してないもん」
みなもが言うと同意するように頷くひばり。
そんな会話してから息を整え終えるつぐみとひばり達。
「じゃあ、中に入ろうか?」
暫く休憩しおえたのを確認にして鷹久が声をかけると全員は頷いた。
すぐそこにある教室へと向かい、プレートを確認する。
そこには二年S組と書かれていた。
「タカ、ここで間違いないか?」
「うん、ここでいいみたいだよ」
綾香の問に鷹久は頷いて扉をあける。
そこには広々とした教室とすでに到着していた生徒達がいた。
「あ! フジくん! 来るならくるって連絡くらいちょうだいよ!」
「いてててて!! ピコハンで叩くなよ!? てか、どこからだした!」
目的の人物を見つけると近寄り、怒りだすつぐみ。
彼の名前は天城富士也といい、つぐみのイトコである。
前髪に白銀のメッシュがかかった黒髪のざんばらヘッドに淡い黒のクールな瞳。
制服でよくはわからないがほどよく引き締まった体格で顔立ちはややクール系、服装に統一感が無く制服姿もほとんどが着崩しスタイルだ。
いかにも不良ぽいイトコで苦労が耐えない為、つぐみはとある人物に相談をよくしている。
「まあまあ、落ち着けよ」
「当夜くん、でも……」
苦笑しつつ、近寄る男子に諫められても納得いかない様子である。
彼の名前は井鷹当夜といい、つぐみや秀久やみなもとは中学1年の頃からの仲だったりする。
ちなみに秀久とも友達で、たまに彼の不憫に巻き添えくらうことが。
ひばりや綾香や鷹久や和明とはつぐみ経由で知り合うことになった。
「収まりは悪いかもしれないけど、大丈夫だって、ほら」
「え?」
当夜に促されてみた時には龍星からのお仕置きを富士也が受けていた。
「あれほど連絡しろっていっただろうがー!!」
「ぎゃああああああああああ?! 久しぶりのリュウセイバスター!」
青筋マークがある感じでは彼も情報もなしの状況に怒っているようだ。
「せりかっか!」
「ふんぬぅ!」
「あ、ネギはだめーーーーー!!」
追い打ちにネギを突き刺され、りゅーさんバスターもくらったようである。
「やれやれ、富士也もかわらねーな」
「そうだね。 でも、こうして会えたのもなにかの縁だよ」
つぐみの家に来た時に出会い、仲良くなった綾香と鷹久とひばりと和明。