名前
世界シリーズ本編と番外編を読んでからのほうがいいです。
「お前は、オード一族の管理をしろ。同時に、銀河の管理もな」
「了解」
「はじめまして、オード一族」
「お前は……?」
「ここを管理する物です」
「ここは、なんだ?」
「銀河」
「なるほど、銀の河か」
「そう、単純でしょう?」
「いいや、そうとも思わんな」
「それは、どういう意味ですか?」
「ただ、銀にしたというわけではないということだ」
「銀に、意味があるのですか」
「お前も知らないのか」
「はい、ここを管理しているだけなので」
「上司、というものがあるのか?」
「上司……少し違います」
「どういうものなんだ?」
「オード一族を生み出した、神です」
「……そうか」
「悲痛、ですか?」
「そうとも限らない。俺たちは、神の道具だったわけだ」
「それは世界のためです」
「わかっているよ」
「あなたの名前は?」
「クローブ。お前は?」
「ありません」
「不便だな」
「あなたの話せる機会はこの一度のみです」
「いいよ、一回でいいんだ」
「なぜ?」
「心に残るからな」
「あなたは、もう死んでいるでしょう?」
「そうだな」
「心があるのですね」
「物体じゃないからな、心は」
「そうですね」
「で、お前の名前を考えた」
「そうですか」
「ああ、ギンでいいだろ」
「単純ですね」
「この空間のようにな」
「名前、ありがとうございます」
「いいんだよ」
「白と黒、どちらが好きですか?」
「天国と地獄みたいなやつか」
「まあ、そうですね」
「地獄行きだな、俺は」
「何故?」
「仲間にいえなかったんだよ、最も必要な言葉を」
「……さようなら」
「ああ、じゃあな、ギン」
銀世界にギンはいた。無表情のオードを黒に送ったあとだった。
「クローブに、会えたらいいね、無表情のオード」
ギンは消えた。銀世界、それが彼女の居場所だった。
世界シリーズ番外編、終了です。ありがとうございました。