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終末の太陽  作者: 大窟凱人


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戦地に落ちていた手記

 少子化が進みすぎて、社会は人を大切にするようになった。学校や職場、ほとんどの施設にストレスチェック機能搭載の監視カメラが設置された。


 このカメラは人間の瞳孔の具合や脳波、言動、語気の乱れ、心拍数、挙動をAIがチェックし、これまでのデータとも照らし合わせて無意識に感じているストレス状態を教えてくれる。異常があれば通知が来て、その日早退できることはもちろん、メンタルケアも充実。医者やケアマネージャーと一緒にストレスの原因を探し、食事の内容から給料の使い方、転職先の斡旋や弁護士との契約、遺伝子や性格の相性が最適な結婚相手の紹介まで、存分に話し合い解決へと導く。


 日本は世界一幸福な国になった。


 結婚する人が爆増し、出生率は右肩上がりに回復。人口もいまや4億人に届く勢いだ。



 しかし、日本の土地面積は変わらない。建設予定の水上都市や高層都市も地震の影響でなかなか進まない。月面都市など夢のまた夢だ。日本人は世界中へ大移動した。


 移民となったのだ。


 ところが、ほかの国は日本と違ってストレス管理などしてはくれない。言語の壁もAIがないと難しく、受け入れてもらうのに苦労した。


 差別や偏見が彼らを苦しめる。


 多くの日本人が根を上げた。ストレス耐性や自主的にストレスをコントロールする能力は退化していた。



 帰国を希望する者が続出した。



 だが……AIの判断がそれを拒否した。日本国による、日本人の受け入れ拒否が発生したのだ。


 帰国を許せば今いる日本人のストレスが増え、平和な国が保てない。



 難民と化した日本人は、絶望しながら数百年、世界中を流浪することになる。


 怨嗟にまみれた血脈がわずかながらも受け継がれて、かつて日本人だった民族が生まれた。


 そして戦争が起きた。


 AIやそれを脳死で受け入れている日本人への憎しみは、何世代にもわたって囂々と燃え続け、決して消えることはない。



 この戦いは、いつ終わるのだろうか。


 おそらく、この日記を最後に私は死ぬ。敵の軍勢が押し寄せているのだ。歴史は勝者に都合よく書き換えられる。だから、これ読んでいるあなたへ問いたい。私たちは、どうすればよかったのだろうか?

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