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終末の太陽  作者: 大窟凱人


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3/5

マッサージチェア

 友人からマッサージチェアを譲ってもらった。


「高いんじゃないの? いくら?」


「それなりに。でもタダでいい。両親のために買ったんだけど、結局使わないままだったから。売るよりお前にあげた方が手間もかからないしさ」


 友人と違って独身貴族である俺は、日々癒しを求めている。これは願ったり叶ったり。


 業者に頼んでマンションに運んでもらい、さっそく使ってみると、極楽だった。もちろんマッサージ店に行って人にやってもらった方がいいのだが、リーズナブルで時間もとらない。仕事終わりやちょっとした時間にさっとできるのが良い。


 気づけば寝落ちしていることもしばしば。


 気持ちいいのだから仕方ない。心なしか疲れも取れて日々に張りが戻ってきた。


 そんなマッサージチェアと暮らし始めて一週間後の夜だった。


 いつものように座り、スイッチを押す。動き出すマッサージチェア。無数の電動ハンドが俺の身体をほぐし回り、時に圧迫し、解放する。老廃物が流れ、血が巡るのがわかる。


 たまらん……。


 昇天しかけていると、プスリと頭に何か刺さった。


 その途端、体中の力が抜け、動かない。マッサージチェアも止まった。


「うえっ?」


 俺はパニックになり、わずかに動く眼球を動きまわした。何が起こった?


 しばらくして、なんだか、全身が麻痺してる感じがしてきた。マッサージチェアに寄りかかってる感覚が鈍く、薄くなり、皮膚の下が厚くなってるみたいだ。


 ウィーン。


 その時、マッサージチェアが動き出す。ところが挙動がおかしい。電動ハンドが椅子の表面を突き破って飛び出してきたのだ。


 まるで蜘蛛の足のようにそれは伸び、俺の眼前に鋭利な刃をぎらつかせた。


「おい、うそだろ。やめろ」


 その刃は俺の身体に一斉に振り下ろされた。ザク、ザク、ザクと、野菜でも切るみたいに俺を細切れにしていく。しかも、上からだけじゃない、背中の電動ハンドも刃になり、俺を切り刻む。


 そして、咀嚼するんだ。


 痛みはないがわかる。俺は今、マッサージチェアに喰われている。


 血が飛び散り、軽快に食事を進める人食いチェアになされるがままにされている途中、部屋のドアが開いた。


 現れたのは、マッサージチェアを譲ってくれた友人だった。


「悪いな。合鍵勝手に作らせてもらったよ」


 彼は俺を見下ろしてそう言った。


 そして、跪いてから続ける。


「閣下、今回の贄はいかがなものでしたか? お口に合うといいのですが」

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