表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うさちゃん  作者: 宮根にょこ
1/2

バイバイ

「それ舞由(まゆ)のうさぎさん・・・・・・返してっ!」


舞由はあの子の前に跪いて、お気に入りのうさちゃんを返してもらえるよう頼んだ。

あたりは黄昏の色一色に染まっていて、舞由という少女ははやくおうちに帰って温かいシチューを飲みたかったのだ。

でも、ここでうさちゃんを諦めてしまっては、夜ぐっすりと眠れない。

少女はまだそのくらいの齢。


「やーだ。もう近付かないでっ!さぁ、いきましょアキちゃん」


あの子は舞由の大親友だったアキちゃんを盗んだ。

アキちゃんは物心ついたころからの友達で、ちょっとわがままだったけどいい友達だった。

それなのにあの子をとった。おまけに大事にしていたうさぎのぬいぐるみまで・・・・・・。


「ちょっとぉ、返してあげようよーぅ」


アキちゃんはやっぱり友達思いだ。

舞由のことをちゃんと考えてくれてる。

でも、あの子はガンコで・・・・・・誰よりもわがままだから――。


「こうしてあげるっ!」


夕暮れの公園の砂の温泉の中に、薄い桃色のうさぎの縫い包みが浸っている。

泣いても仕方がないと少女は立ち上がった。

帰るあの2人の子供の背中をおもいっきり押してやりたかった。

でも、うさぎの縫い包みの瞳をのぞくと「大丈夫」と言っているようだった。

そんなことを考えながら独りでどろんこあそびをする。

大粒の涙をぬぐったため、幼い顔は砂で汚れていた。


「あぁ・・・うっ・・・うぅぅ・・・」


うさぎさんは無残な姿となっていた。

首からきれいに捥ぎれてしまっていた。

家に帰れば温かい夕食と、手術をしてくれるお医者様だっているはず。

だけど、今は最高に悲しみのどん底へと落ちている真っ最中。

開き直る気もさらさらない。少女はさっきまでうまっていた穴にもういちどうさぎをうめた。


「ごめんね・・・・・・バイバイ・・・・・・」


紫とピンクでできた幻想的な天井の下、少女はうさぎに別れを告げて公園を後にした。

うさぎを生き埋めにしたことはママには内緒にした。

ママに気づかれぬ間、いそいで洗面所に駆け込んでどろまみれの手と顔を洗った。



一応、ホラー小説にするつもりです。

たぶん、それほど恐くないかもです。

なるべくエログロは避けようと思ってます。

すぐグロテスクなのを入れたくなっちゃうんですが・・・自重します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ