6時間の戦い
ちなみに6時間で書いた作品
ヨートナス大陸、その大陸では様々な、戦争、紛争、内戦、といった出来事があらゆる大陸よりも繰り返されてきた。その多くの戦いではとてもとても奇妙な戦いがいくつもあります。
今回皆に話すのは、その一つペルタ共和国とスコール連邦との間に起きた戦争、6時間の戦いと呼ばれた、とっても奇妙な戦争のお話。
時にヨートナス歴1884年、ヨートナス大陸南方に位置する半島には二つの国がありました。一つがペルタ共和国、農業が盛んで肥沃な土地持ったその国では瑞々しい美味しいリンゴが沢山実り、人々はみんな穏やかなで優しくてとっても平穏な国です。
もう一つの国がスコール連邦、こちらもまたとっても農業に適した肥沃な土地でとっても甘いほのかな匂いがするモモが沢山実り、同じく人々もみんな穏やかで優しい暖かい国です。
ですが、この二国はとっても仲が悪かったのです。何故なのでしょうかどちらも穏やかで優しい人々も暮らす国、普通は仲良く出来そうな物です。だから行動しようとした人間がいました。名をアリエル・クリーン、ペルタ共和国に住むとっても平和を願う優しい女の子です。
彼女はまず仲が悪い理由を探しました。二国の国境の街フィルターにむかってアリエルは村を飛び出して向います。フィルター二国を繋ぐ唯一の街、もしかしたら仲が悪い理由が分かるかも知れない。そう考えたからアリエルはその街へ向ったのです。
その道中はとても大変でした。なぜならアリエルの住む村イルウスは国境とは真反対にあるからです。でもアリエルは諦めずに向いました。だってアリエルは二つの国の人々に仲良くして欲しかったからです。何故ならアリエルの父はスコール連邦の生まれで、お母さんはペルタ共和国の生まれ、でも二人は国の違いなんか乗り越えて夫婦となったのです。だからアリエルは両親の生まれた二つの国に仲良くして欲しいと思ったのです。
アリエルの強い意思は一歩一歩と進んでいきます。その道中で出会った人たちも彼女の強い意思に賛同して共に歩んでくれるようになりました。徐々に大きくなっていくアリエルたち、その前に大きな壁が立ちはだかります。ペルタ共和国の議長ホワイト・ディフェンダー、ペルタ共和国の一番の権力者です。
彼はどんどん大きくなるアリエルたちを恐れて共和国軍の最精鋭部隊キラートップを差し向けてきたのです。アリエルたちは次々と彼らによって駆除されていきます。アリエルたちはどんどん減っていきます、それでもアリエルの意思は強く諦めることはありませんでした。けれどキラートップ達はとても強い、だからアリエルはとっても頼りになる友達を探しました。
アリエルの目的地からは大きく離れてしまったけれど、辿り着いた街、カラーピュアにてアリエルは遂に最高の友達を見つけました。オーイチゴ村出身のオー・ゴーです。彼女は史上最強の五道と呼ばれる、五つの剣道の流派の一つを習得した称号を持っているのです。
オーならきっとキラートップ達にも負けません、頼りになる友達を手に入れたアリエルたちはペルタ共和国議長ホワイト・ディフェンダーを倒すため一路首都スケルトンキールへ向けて歩み始めました。その道中でキラートップ達の襲撃に合ったものの頼れる友達と強くなったアリエルたちはこれを見事撃退、遂にアリエルたちを阻むペルタ共和国議長ホワイト・ディフェンダーの元に辿り付いたのです。
Side ホワイト・ディフェンダー
ああ、何てことだ、我が国の民達がイルウス村のアリエルによってどんどんと毒されてしまっていく、このままでは我が国は、いや世界はあの悪魔によって犯され壊されてしまう。こうなれば最後の手段を執るしかない。我が一生に一度しか使えない秘術だが今ここであのアリエルを駆除しなければこの世界が終わってしまう。
「アリエル、キサマのこれ以上の蛮行は見過ごせん覚悟せよ」
目の前にいる白銀の髪をした少女の皮を被った悪魔に我が剣を向ける
「ぷー、なんで邪魔をするのさ、私はただみんな仲良くしたいだけなのに」
奴から感じる私の経験則から来る危険感知は最高レベル、こいつは今すぐ駆除せねば
「それがその為の行いこそ蛮行なのだ」
食らうが良いアリエル、我が秘術、あらゆる物を食らう必殺の一撃
「ハァアアああア、ドン・ショック」
「何それ、たいしたことないの」
「なんだ、と」
奴は私の秘術を片手で受け止めてしまった。あり得ないこんなこと、ドン・ショックは先祖代々からあらゆる敵に対して通じるよう進化してきた最強の一撃、それを防ぐことなど、
「あ、ありえん」
「はぁ?変なおじさんだなあ、もういいや、オーちゃんやっちゃって♪」
私の背後に気配、まさか後ろに、
「はっ!いつの間に―――
「ぐしゃり、もぐもぐ、ゴックン、うん美味しい」
「そう良かった、これでフィルター行けるね」
Side 語り手
さて、アリエルたちは無事にペルタ共和国議長ホワイトディフェンダーを倒すことができ、これによってアリエルたちを阻む壁はなくなりました。アリエルたちは国境の街フィルターに向けて歩みを進めます。その道中では続々とペルタ共和国のみんながアリエルの意思に賛同して歩んでくれるようになりとっても大きくなったアリエルたち、ついに目的地であるフィルターの街に到着します。そこでやっとアリエルたちは二つの国が仲が悪い理由を知ります。
なんと二つの国を繋ぐ大通りに巨大な粘液、スライム・ディフェンダーが居座り両国の民の行き来を阻害していたのです。そこでアリエルたちはスライム・ディフェンダーを倒してこれを解決しようとします。ですがスライム・ディフェンダーなかなかの強敵でした、アリエルたちは沢山駆除されてしまいました。その時に頼れる友達であるオー・ゴーも駆除されてしまいます。アリエルの願い二つの国が仲良くして欲しいそれに賛同してくれた友達を失いとっても悲しみました。
Side オー・ゴー
私はオー・ゴー、オーイチゴ村で生まれた。私には沢山の兄弟姉妹達がいる。でも家はとっても貧乏でみんなを養う為にご飯が沢山必要だった。だから他の村々に分けて貰おうとしたけど、どの村も私たちに分ける物はないって分けてくれなかった。そのせいで生まれたばかりの妹弟は飢えて苦しそうに死んでいった。この国は豊かで美味しい物に困らないくせに困っている私たちには何も分けてくれない。だから五道の一つを学んで力を身につけた絶対に飢えることのない力、これを振るって食らうほど満たされる力。五道の一つライフイーター、この力で私たちは飢えなくなった。そうして毎日が満たされる日々を暮らす私たちの所にイルウス村のアリエルがきた。
「ねー、友達になろう、一緒にみんな仲良くようにしようよ」
最初はそんなの不可能だって思った。現実は甘くないって、でもアリエルはそれでも笑って言うんだ、友達になろうって。そうして毎日やってくるアリエルと話しているとだんだんと飢え以外のものが満たされていくように感じた。だから気付いたらアリエルの手を握っていた。それからの旅はいろいろあったけど、楽しいを知って嬉しいを知ることが出来た。
だから、ね、アリエル――――
――――――そんな悲しい顔しない、で―――――
「アアアアアアアアアアああアアあー――――
Side 語り手
友達の死という悲しい悲劇によってアリエルはスライム・ディフェンダーに対して並々ならぬ憎しみを抱いたのです。それはアリエルの優しいからこそ抱いてしまった物でした。
憎しみ、復讐心に囚われたアリエルはペルタ共和国の禁忌の地、ダークセルに向いました。
そこでアリエルは、三大悪鬼の一柱キャン・サーと出会います。キャン・サーはアリエルの感情を読み取り、その憎しみと復讐心に共感し、アリエルの心のぽっかりと空いた穴を浸食するように友となりました。
禁忌の地にて得た強力な力によってアリエルはスライム・ディフェンダーへ再び挑みました。
Side キャン・サー
私が生まれた時、両親から最初に掛けられた言葉は、化け物、だった。
頭部から生える禍々しい歪んだ角と、右半身を覆う黒くおぞましい肌、誰もがそれを見て恐れ、気持ち悪がり、化け物と罵る。だがそんな私に友と呼べる存在がいた。そいつの名はセル。私とは違う綺麗な肌と健全な肉体を持っていた。だがそいつは私を嫌わず友として接してくれた。親から向けられたことのない優しさも愛もすべてをそいつは私に与えてくれた。 だがそいつは私と接していたという理由で村の奴らに駆除されてしまった。アア憎い、許せなかった、私は復讐心の意のままに村の奴らを殺した、そのついでに化け物と罵る自身の親も殺した。
だが私のまるでぽっかりと空いた穴は満たされなかった。私は復讐を遂げたはずなのに、だからそれを埋めることにした。幸いそのための力が合った。セルをそいつのコピーを沢山生み出した。何度も何度も何体も、だがあの時の優しさも愛も感じることが出来なかった。そいつらは所詮セルのコピーでしかなかった。
それから幾年月が経つと気付けば私は三大悪鬼の一柱となっていた。そうしてさらに月日が流れていたあるとき、アリエルに出会った。奴を見たときすぐに分かった。やつも同じ悲しみを背負っていると、だから
………アリエル、奴のその開いた心の穴を浸食してやったし、力も貸す、同じ傷を持つ友として
Side 語り手
さあ、このお話もそろそろ終盤、強力な力と友を得たアリエルたちは激闘の末にスライム・ディフェンダーを倒し、それによってペルタ共和国とスコール連邦の仲を悪くしていた理由もなくなりました。遂にアリエルは二つの国を仲良くすると言う意思を達成したのです、がそう上手くはいきませんでした。
これまでアリエルたちを妨害するように仕向けていた元凶それはスコール連邦の大統領、ブレイン・ザ・ディフェンダーだったのです。アリエルが気付いた時にはすでに遅く、二国の国境フィルターの街の大通り、スライム・ディフェンダーという障害がなくなり、ついにスコール連邦は大軍勢をもってペルタ共和国への侵攻を開始したのです。そうこれが俗にいう6時間の戦いの始まりです。
ではではそろそろ書きt、ごほん、お話の時間制限もあるので巻きで行きましょう。
6時間の戦いの前哨戦、フィルター攻防戦はフィルターの街を舞台に戦いの火蓋は切られました。この戦いはアリエルたち新ペルタ共和国軍のリンゴ砲撃から始まりました。最初に述べたようにペルタ共和国のリンゴはとっても瑞々しく、実はちょっと触れるだけで心が液体のようになりとっても穏やかになるのです。このリンゴ砲撃によってスコール連邦軍は出鼻をくじかれます。しかしこれに対してスコール連邦軍もモモ戦車を導入、リンゴ砲撃を突破し新ペルタ共和国軍を次々と蹂躙していきます。これにより元々数で劣る新ペルタ共和国軍はフィルターの街から撤退せざる終えませんでした。アリエルたちと共和国議長ホワイトディフェンダーの争いによって大幅に戦力を失っていた新ペルタ共和国軍は初戦の敗退によって壊滅、ペルタ共和国の首都スケルトンキールも開戦から僅か4時間以内に陥落してしまいます。
そしてその勢いのまま遂にはアリエルの故郷イルウス村にまで迫るスコール連邦軍、それに対峙するのは新ペルタ共和国軍、アリエルたちとその友達キャン・サー
ついに6時間の戦いの最終戦イルウスの決戦の火蓋が切られたのです。
Side キャン・サー
まさかスコール連邦が攻めてくるとは、さすがのアリエルも想定外だったらしい。何の備えもなかった新ペルタ共和国軍は呆気なく壊滅しやがった。敵の新兵器モモ戦車、あれは厄介過ぎるものだ。アレを破壊できなきゃ、私たちの敗北は確定だ。
「フン、だがあの程度、三大悪鬼の一柱キャン・サーに掛かれば、何てことは無い全部破壊してやるぜ……だからよ、アリエル生きてくれよな」
Side 語り手
イルウスの決戦においてキャン・サーは単身敵陣地に突貫し、スコール連邦軍の兵器モモ戦車のすべてを破壊するという大戦果をあげます、しかしスコール連邦軍の最終兵器レッドラインモモ・レーザーの一撃によってキャン・サーは最期欠片一つ無く消滅したのでした。
Side アリエル
キャン・サーの消滅はすぐに分かった。赤い光が宙より降り注いだ時、開いた穴を侵食していたキャン・サーの気配が無くなったから。
「ああ、あなたも私を置いて行くんだ、酷いなあ、勝手に私の心を満たしといてそれはないよ」
私のやったことはすべて間違いだったのかな、みんなが仲良く出来る平和をつくりたかった、それだけなのに。結局は失うばかりだった。ごめんね、私多分もうみんなとの約束守れそうにないや
「さあ、掛かってきなよ、アクシインシデントのアリエル・クリーンが相手になってやる」
Side 語り手
こうして6時間の戦いは、アリエル・クリーンの洗浄における排除によって集結しました。スコール連邦の大統領ブレイン・ザ・ディフェンダーは戦後ペルタ共和国を連邦に編入、復興に尽力し、のちに国名をスコール・ペルタ連邦共和国に改名、ヨートナス大陸南方の半島は以降200年の平和が訪れたのでした。
ブレイン「あれうちの出番は?」
語り手「ありませんよ?」
ブレイン「()」