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ダメ人間の僕はクソ神達の賭けるものとなる。  作者: ハピ
第一章 賭ける物になる
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第六話 やれる冒険者?どのタイプの「やれる」?

 神様の考えは本当に理解できない。

 勝手に賭け事を始め、勝手に僕を選んだ。

 そして異世界に送られた、勝手に変な名前と固有スキルを与え、僕の年齢さえいじゃった。

 どう考えても、この神達はあまりにもワガママすぎる。

 もしかして、僕のことを自分たちの創造物の一つだと思って、好き勝手にいじくることができるとでも思っているのか?


 シャーロットを見て、僕と彼女の出会いは神達の計画通りという感じがした。

 シャーロットは僕の考えているような神の駒ではないかもしれないが、僕がハジメ タウンに送られたら彼女と出会うことは必然なことだ。

 彼女との出会いは神の計画のうちだと思う。


 もしこれが必然なら、この必然が壊れたならどんな事態になるのか?


 この必然を繰り返せば、僕はまさにクソ神達の操り人形だろう。

 自分の人生を再びコントロールしたと思っていたら、それは本当に甘い考えだ。

 この状況から抜け出したいなら、このような必然はぶっ壊すべきだ。

 しかし、冒険者ギルドに参加しない選択肢がないのは、収入を得る他の手段がないからだ。

 収入がなければ生きる術がなく、ゴミのように野垂れ死ぬ運命になってしまう。

 このルールはどの世界でも通用すると僕は信じている。


 この必然を壊すために、「常識」を超えるは必要なことだ。

「常識」を超えるために、理不尽な行為をしなければならない。


 僕はシャーロットを見る。


「あの、あなたの視線......」


 シャーロットは再び両手で胸を守り、数歩後ろに退いた。


 そうだ!あれだ!


 もしもっと早かったら、こんな考えはまったく出てこなかった。

 そんなことを試みようとさえしなかった。

 しかし、今の状況は違う。

 シャーロットは僕が異世界から来たことを知っており、彼女の僕に対するイメージは、この世界を救う勇者だ。

 勇者として認識されているなら、少し酷い要求を出すのも合理的なことだろ?

 多くのRPGだってそうでしょ?

 主人公として、他人の家に自由に入り、道具や金を奪う権利があるはずだ。

 しかし、僕が取りたいのは道具や金ではない。

 必然を壊すために、勇者の「酷いことができる」特権を使う。


 僕は、シャーロットの巨乳を揉んだ。


 僕は巨乳を見ると興奮する歳は過ぎているが、この必然を壊すためには予想外の行動は必要なことだ。

 数分前まで、こんな考えはなかったが、今僕はシャーロットによって勇者と認識されているので、勇者の特権で多少なら酷いことだってできる。

 あのクソ神達は僕がこんなことをして、勇者の道を捨て、自分の名声を傷つけることをするとは考えていなかっただろう。


 大丈夫だ!

 勇者として認識されているので、スケベとして扱われたとしてもこの町で生き残り、この町で最初の一歩を踏み出せる。

 最悪の場合、僕はクズとして扱われることになるかもしれない。

 しかし、勇者の称号は僕を間接的に保護し、生き残ることができるだろう。


「称号」は不思議なものだ。

 クズだとしても、称号があれば全く違う。

 詐欺師であっても、ある専門家の称号を与えれば、誰かが彼の言葉を信じるだろう。

 ゴミ人間でも、適切な名号を得れば、上流社会に出入りできる。

 悪人でも、寄付によって善人の称号を手に入れれば、影で悪事を続けられる。

 人間社会はこのようにできている。

 シャーロットの態度が一変したことからも、異世界でも同じことが通用しているのがわかる。


「称号」は価値のない人を価値ある人に変える、最も効果的なラベルだ。


 今の僕は勇者だ。

 自分で言ったことじゃない、他人が認定したことだ。

 それなら、僕は勇者の称号を利用して必然を壊れる。


 そうだ。

 これは絶対に邪念じゃない。

 邪念じゃない......本当に邪念じゃない......本当に邪念じゃない......


「あなたの視線が急に怖いニャー......このようなことはやめてください!」


 誰かが僕の視線を怖いと言った。

 僕は意図的ではないし、睨んだつもりもないが、誰かを怖がらせてしまう。

「反抗的な視線」「殺人犯の視線」「暴力団の視線」といった名前がつけられ、それを理由にいじめられる。

 僕はすごく分かる、これはただ僕がいじめられる理由だ。


 数回の深呼吸をして、心の準備を整える。


「あの……シャーロットさん……変なことかもしれないが、これには理由があるからだ。お願いがありまして、お手伝いをお願いしたいことがある。お願いしてもいい......」


「バーン!」


 僕の背後から突然巨大な音が鳴り響いて僕の言葉を遮った。


「おい!フロントのお姉さん!お前が連れてきたのは一体どんなゴミなんだ!?」


 その怒号とともに、物体がギルドに投げ込まれ、僕の足元に転がって止まった。

 そして、はっきり見える。


 これ……物じゃない、少女……エルフの少女だ!


 エルフの少女は手と足が縛られ、衣服が乱れている。

 銀の髪と尖った長い耳、間違いなくファンタジーの種族「エルフ」だ。


 この剣と魔法の世界に送られた後、エルフの存在は予想内だったが、実際に本物のエルフを見ると、少し興奮する。


 エルフを投げ込んだのは人間だ。

 彼のたくましい筋肉と手に持つ大きな剣から、彼は剣士職業の「ウォリアー」だと分かる。

 戦士の怒号により、元々騒がった冒険者ギルドはすぐに静まり返り、皆が怒りに満ちた戦士を見つめた。


 シャーロットはフロントから出て、戦士の怒りに答えるのではなく、倒れていたエルフに駆け寄った。


「エルフ、大丈夫ですか?」


 エルフの名前はエルフ、この名前は少し任意すぎるのではないだろうか?


 シャーロットはすぐにエルフが口を塞がれていた布を取り出し、そして縄を解いた。

 ここからはシャーロットの表情は見えないが、彼女の声は静かで恐れさせるものがある。


「あたし……もう一度返品されたみたいですね......ハッハ……ハハハハハ……」


 エルフは変な笑い声を発し、腫れ上がった頬から見るだけですごく痛さを感じる笑顔が浮かべた。

 同時に、彼女のサファイア色の瞳に涙を浮かべているのが見えた。


「冒険者ギルドが紹介するのはこんなクズじゃないはずだろ?サービス精神がまるでねぇ!」


 男はそう言いながら横に唾を吐いた。


「あぁ、あれはバカエルフだ!」

「バカけど、人をここまで殴るのはひどすぎる......」

「あの人は新人だろう?」

「今朝早くからここに来てた奴だ!入口で大声でけんかしてた奴だよね!」

「あぁ、思い出したよ!あのツンツン野郎だ!」

「文句があるなら俺様の前に来て言え!クズ共!」


 その男性の怒鳴り声が、そっと話していた声を黙らせた。

 何人かの冒険者が立ち上がって戦うつもりのようだったが、戦士は冒険者カードを取り出し、そのカードのステータスを見て立ち上がった者達はすぐに戻った。


「クズ共!よく見ろ!俺様のレベルは23だ!そして、俺様は銅級冒険者だ!ここに俺様を倒せる奴がいるなら、前に出てこい!!!!」


 他の冒険者の反応やその戦士の態度から、この世界でのレベル23はすごい存在と言えることがわかるが、他の冒険者のレベルが低すぎる可能性も考えられる。

 おそらく、この男もその点に自信を持っているからこそ、これほど傲慢に振る舞えるのだろう。


「俺様はこんな田舎の冒険者ギルドなんで余裕でぶっ壊せる!クズ共!なんか文句あるか!?」


 その嫌味っぽい笑顔はまるでウラノスのようで、僕は彼の顔面に一撃を食らわせてやりたくなる。

 他の冒険者達は、不満や悔しさを感じているが、彼らは何の行動もとっていない。


「あなたが今朝冒険者傭兵として申し込んだ条件は『この地域に詳しく、やれる冒険者』だった、そうですね?」


 シャーロットは立ち上がり、そしてあの男の前に歩み寄り、男から約1メートルの位置で立ち止まりた。

 僕はシャーロットの行動でさらに緊張してきた。

 その距離はあの男が持っている大剣の攻撃範囲の端で、一歩を踏み出せばあの男は簡単にシャーロットを攻撃できるから。

 でも、もっと怖いことはこの状態でまだ笑顔を保っているのシャーロットだ。


「そうだ!フロントのお姉さんの記憶力はいいね!」


 この男は笑顔で応えながら、シャーロットを見つめる。

 その目には隠し切れない欲望が宿っており、同時に依頼内容について、僕はあの男の真の意図をすぐに理解した。


 このような男の言葉遣いは何とも......

「この地域に詳しく、やれる冒険者」という言葉......

 彼が言った「やれる」は「実力ある」のやれるではなく、「抱ける」のやれるのことだ!


「エルフはハジメ タウン冒険者ギルドでこの周辺環境に最も詳しい冒険者ですニャー。戦闘能力は弱いですが、彼女は優れたガイドですニャー。彼女がなぜこのような扱いを受けたのか、ギルドに説明してください。」


 シャーロットの口調は平和すぎる。

 でも、あの男よりシャーロットはもっと怖い。


 全身筋肉の男と比べてシャーロットはすごく小柄だ。

 男の身長はおおよそ180センチくらい、シャーロットの身長は猫耳を含めておそらく160センチ未満だ。

 男の筋肉量はとても多くし、おそらくワンパンチでシャーロットをふっ飛ばすことができる。

 僕はすぐに武器として使えるものを探し始める。

 あの男を倒すことはできないかもしれないが、何か起きた場合、シャーロットが逃げる時間を稼ぐのに役立つ。


 ヒローになりたいじゃない。

 ただ、目の前の状況は十分分かっている。


 あの男は僕をいじめされる上司し、エルフは僕の役だ。

 元の世界で僕は傷ついていても、誰も僕のために立ち上がって話をしてくれることはなかった。

 シャーロットのような勇気がない。

 他の冒険者と同じように黙って、次に不運な目に遭うのが自分になることを恐れた。

 これが現実だ。

 でも、僕は何かをする必要がある。

 何もしないなら、僕は他の冒険者と同じだ。


 誰かが自分を救ってくれるヒローを望むなら、僕は他の人と同じく黙ってることなんてできない。

 特に今だ!


 しかし、本当に手を動かすべき時には恐怖が抑えられず、気づいた時には手がミニモーターが取り付けられたかのように震えていた。

 恐れている理由は理解ってる。

 何かに反抗するのは初めてのことで、初めてのことはいつも恐れがある。

 それでも、僕はこんなに震えるとは予想してなかった。

 まるでクズのように。


 僕は恐れを抑えようと深呼吸し続けたが、手は僕に従わない。


「何だって?ガイドの能力なんてどうでもいい!こんな田舎の任務は簡単に片付けられるはずだ!やれることこそが重要なんだ!や!れ!る!分かる!?や!れ!る!!!!」


 この男はそう言いながら、下品な腰つきをしていた。

 その強調と下品な動きから、バカで言っている意味が何かは理解できる。


「ホテルに連れて行ってあげるつもりだったのに、こんなに激しく抵抗するとは!俺のちOぽさえ蹴り飛ばされたくらいだ!もし機能を失ったら、冒険者ギルドが賠償してくれるんだろうな!?そして!ホテルの人が騒ぎ立てやがった!時間を無駄にしてるんだぞ!代わりの女を連れてこい!!!!!」

「あなたは冒険者ギルドについて誤解しているのかもしれないニャー。ここは冒険者ギルド、風俗屋ではありません。そのようなサービスを提供するつもりはありません……あぁ、わかりました。あなたは最近各地の冒険者ギルドで冒険者傭兵に傷害事件をおこした逃亡者、ジャック・ラップですね?」

「それがどうした!?この田舎の冒険者ギルドが俺様を止められるの?たとえ衛兵が来たとしても、俺様を止めるはできない!」

「あなたがカードの名前を変えるために『偽装』スキルを使用していたのは、私の見落としでしたニャー。後で、私は自分の懲戒を申し出ますニャー」

「懲戒のことはどうでもいい!代わりの女を出せ!出せないなら、ここを壊してやる!そして他のギルドに行く!!」

「ここには代わりのできる人はいないし、他のギルドにも行けません。ここで逮捕されることになるからニャー」

「俺様を逮捕する?ふざけんな!俺様を?ハハハハハ!!!!」


 シャーロットの言葉を聞いてまるで冗談のように、ジャック・ラップは笑い続けた。


「代わりはいない?じゃあ、指名しよう!お前だ!見た目も体型も俺様の好みだ!俺様とホテルに行くか、ここでやろうか!?」

「申し訳ありませんが、冒険者ギルドはそのようなサービスを提供していません。メンバー達は我々の貴重な資産ですが、あなたのようなクズは除外されますニャー。自分でおとなしく手を縛るか、それとも......」


「カン!」


 ビールグラスがジャック・ラップの頭を打った。

 中身がビールだったため、彼の頭はビールまみれになった。


 僕はこんなに投げられるとは思っていなかったs。


 ジャック・ラップとシャーロットは僕を見て驚いた表情を浮かべた。

 彼らだけでなく、他の冒険者も一斉に僕に視線を向けた。


 突然これだけの人に注目されると、僕の鼓動が速くなってる。

 身体は凝り固まってビールグラスを投げた動作のままで、もう逃げることはできない。


 やれた……

 僕……本当にやれた……

 ハハ…...やれたな!

 で、どうしたらいいの?

 僕はジャック・ラップに殺される?

 違う!

 今、僕が考えるべきはどのようにして死なないかではなく、どのようにして逃げるかであるべきだ!

 そうだ、フロントの後ろには通路があるはずだ!

 そこに向かって、急いで路地に逃げ込もう!

 彼はそんな大きな剣を持っているから、小道を通るのは不便だろう!

 決めた!

 逃げる!!!!


 計画は決めたが、一番重要なことを見落とした――

 僕の体が僕の思考に追いついていないことだ。


 緊張と恐怖から、僕の体は全然動かない。

 頭は今すぐ行動しなければいけないことは理解しているが、体は全く言うを聞かず、僕はこわばった笑顔を強引に浮かべる。


「ご、ごめん!手が滑ったんだ……」

次の更新日は11/04(土)です。

どうぞよろしくお願いいたします。

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