第五話 異世界のすけべになった!
「こ、この固有スキル……変更する方法はある?」
僕は背筋が凍るのを感じる。
もしこれが神達の悪戯だとしたら、この仕打ちはあまりにも酷い!
「仕方ありません。それは生まれ付きの特性なので、当然変えることはできませんニャー」
はい!死刑確定!
シャーロットの笑顔には明白な軽蔑がある。
「固有スキルの情報を隠す方法はあるはずだよね?」
「冒険者カードの情報を隠すスキルは存在しますが、それはお勧めしません……なぜなら、ヘロスケベさんみたいな冒険者を監視しても大切なことですニャー。」
「僕は何もしないから、僕を犯罪者として扱わないで!」
「今はまだ何もしていないかもしれませんが、冒険者の性格は衝動的ですニャー。ヘロスケベさんがそのような特性を持っているので、他の人より悪いことをする可能性はもっと高いですニャー。これはただ善意での注意ですので、気にしないでくださいニャー」
「個性的な衝動と性的な衝動は違う!」
「そして、ヘロスケベさんは犯罪者ではないとは言っていますが、事実は誰も知りませんですニャー」
「ない!全然ない!何もしてない!」
僕は思わず叫んでしまった。
その瞬間、僕は背後から多くの視線が僕をじっと見つめているのを感じた。
「もしヘロスケベさんが自分がスケベであることが皆に知られても良いなら、私も気にしませんニャー」
「クソ……!」
本当に不運だ!
何もしてないのに、犯罪者として見られなければならないなんて......
まだ童貞だ!僕は!
元の世界でも、たまにこのような疑念をかけられたことを思い出してしまった。
明らかにしていないことを僕に押し付け、それから知らない人たちでさえも僕に対して差別的な態度をとって、嘲笑したりし始めたことがあった。
僕は生まれつき運が悪いのかもしれない。
だから人にいつも誤解される。
元の世界もそうだったし、異世界でもこの運命からは逃れられないみたいだ。
でも良い面で言うと、シャーロットの視線は軽蔑に満ちているものの、元の世界の人々よりはかなり優しい。
「ただし、スケベでダメ人間なら、ヘロスケベさんは臆病な性格の人ですニャー。ダメ人間なので女の子に本気で手を出す勇気もないですニャー。だから、ヘロスケベさんが取り返しのつかない罪を犯すことを特に心配する必要はないですニャー」
「……口が思ったより悪いね……これが本性?」
「私は単に正直なだけで、しかもここは冒険者ギルドですから、ヘロスケベさんみたいな変態を対処する経験はかなりありますニャー」
確かに、ここに入ってから今まで、一部の冒険者達はシャーロットをじろじろ見ていた。
シャーロットは美人だ。
これは間違いないことで、可愛い猫耳と尻尾は多くの男性を惹きつける。
客観的に見たら、彼女は狼の群れに入れった羊だ。
口は悪いなら良いだ。
「多くの冒険者は頭が使えません。最初は礼儀正しいですが、数回のクエストを完了した後、私と親しいと思い込んで、不適切な行動をとり始めることがありますニャー。だから私はスケベに対処する経験がかなりありますニャー」
「スケベに対処する経験があることを強調するは必要ない!僕は何もしない!」
「何もしませんか?本当ですか?」
「何もしていないのに、僕を変態として扱うなんて......」
「カードにはそのように書いてありましたニャー」
「今のがあなたの本性だな?最初はあんなに礼儀正しかったのに今はすごくが口悪い!」
「ヘロスケベさんがここに初めて来たので、私はプロで対処しなければなりません。でも、スケベに対しては優しく接する理由がありませんニャー」
僕はついため息をついた。
スケベに対する厳しい態度は理解できるが、少なくとも僕が何かした後にそのような扱いにするべきだ!
「新人冒険者向けの基本説明はまだ終了していません。ヘロスケベさんには早くここから出ていって欲しいと思っていますが、私は仕事をしっかり終えなければなりませんニャー」
「うっかり本音を漏らしたな!」
「それでは、冒険者カードの裏を見てください。ここには現在持っているのスキルが書かれていますニャー」
こいつ聞こえてないふりしやがった!
ん?裏!?ヤバイ!
冒険者カードを裏返す瞬間、僕はすぐに手を出し、スキル欄を隠した。
しかし、この行動がシャーロットさんの手に触れてしまい、彼女のもともと硬直していた笑顔がさらに硬直した。
「あの……シャーロットさん……これは絶対にあなたが考えているようなことではなくて……」
「じゃあ、今のは何の意味なんですか?ヘロスケベさんの手が私の手をつかんでいるのは私が考えていること以外に何の意味があるのですか?」
「とにかく、冒険者カードをこのまま渡してください。新人冒険者向けの基本説明はここで終わりだ。裏は僕のスキルだね?分かりました。だから冒険者カードを渡して、僕は出てく。あなたも休憩できる。これでハッピーエンド!」
シャーロットに僕のスキルは見られたくない。
おそらく、シャーロットに僕のスキルを見せると、事態が取り返しのつかない方向に進む可能性がある。
ステータスは普通で、さらにレベル1の鉄級冒険者がS、A、Bのハイレベルのスキルを持っているのはどのように考えても変だ。
先ほどの会話から推測できることはスキルを簡単に習得することはできない。
この点から考えると、SランクとAランクのスキルは非常に希少であるべきで、したがってSランクとAランクスキル持ちの新人冒険者は理論的に存在しないはずだ。
僕は今、理論的に存在しないはずの存在。
だからシャーロットが僕のスキルを見た後の反応は予測できないので、彼女に見せない方が良い。
「もし手を離してくれたら、それを渡しますニャー」
「このまま冒険者カードを放してくれれば、僕はすぐにカードを取って出って行く!約束する!」
「もし手を離さないなら、私は叫びますよ!冒険者達は多分怒りますニャー、ヘロスケベさんのちんOは粉砕されるかもしれませんよ!だから、手を放してもらえますか?」
なぜこいつは敬語で怖い言葉を話すの!?
「な、ならば僕の目を見て下は見ないで!」
「なぜそんなキモイなことをしなければならないの?ヘロスケベさんが手を離すだけで済むのに、なぜ私はヘロスケベさんの目を見つめなければならないの?」
こいつは面倒くさい!
一番相手にできないタイプだ!
いじめられていたときの経験から、僕は人の直感にすごく敏感だ。
相手がどのタイプの人かは、少し話したり見たりするだけで分かる。
シャーロットは僕にとって最も扱いにくいタイプで、言い寄る者も多く、美人であり、あらゆる面で完璧に見える。
彼女はこの冒険者ギルドでトップに立っている。
底辺の人として、トップの人に対処できないのは当然のことだ。
「じゃあシャーロットさんは僕の目を見なくてもいい!どこを見ても構いない!そして、手を離す瞬間、僕はすぐに冒険者カードを取る!いいね?」
「なぜこのような行動をとりながらそのような要求をするのですか?私がどこを見ようとヘロスケベさんには関係ありませんニャー。ヘロスケベさんは私に指図する資格はありませんよね?」
「これは個人情報の保護に基づくものだ!だから、下を見ない限りはどこを見てもかまわない!」
「安心してください。たとえヘロスケベさんがO起の状態にあっても、私はヘロスケベさんのあそこには興味がありません。」
「あそこじゃないよ!!!僕の冒険者カードのことだ!どうして!どうして!!どうしてどんな話でも最後には変な話題になるの!?」
なぜ突然あそこの話になったの?
なぜ僕が彼女の手に触れたらO起だと思うの?
まだ童貞だけど、女性に触れただけでO起する歳は過ぎた!
中学生じゃない!
「私が3まで数える間に、手を離さないなら叫びますニャー1......」
もし手を離さなかったら、シャーロットが叫んて本当に変態として扱われる!
そして、僕の冒険者カードの固有スキルまで考えれば、僕は本当に犯罪者になる!
社会的に死ぬ!
そして借金生活になればハジメ タウンから出られない。
借金を返すためにギルドで働かなければならない。
そうなれば、またここに足を踏み入れざるを得ない!
最悪の状況だ!!!
今僕は「社会的死」と「異常なスキルを見られる」の間で心が揺られる……
いや、選択肢はない!
ONLY ONEだ!
深呼吸して、賭けることに決めた。
「3。」
僕はすぐに手を離した。
「僕が聞き漏らしたの?それとも本当に2を数えなかったの?今僕は2を聞いてない!」
「私の世界で2は存在しないですニャー。聞き間違いはありません、私は2を数えません。」
クソ!
この世界の数字の概念が変なのか、それともシャーロットの数字の概念が変なのか!?
「ヘロスケベさんはただの新人冒険者で、スキルがなくても誰も軽蔑しません。軽蔑されるのは、ヘロスケベさんがスケベダメ人間だからですニャー。スキルがないのとは関係ない......えぇ?」
彼女は僕のスキルを見た瞬間、動きを止め、同時に僕の心臓の鼓動が速まるのを感じた。
「まさか……」
このスキルは何?
これは全然新人冒険者が持てるはずがないスキルニャー!
もしかしてこのスケベは……
なるほど、彼が私にこのスキルを見られることを望んでいないのは理解できるニャー
私だったら、こんなスキルが見られることは望まない!
どんなトラブルに巻き込まれる分からないから……
どうやら、今日は面白い新人が冒険者ギルドに来たようですニャー
一見するとダメな奴で、しかもスケベなのに......
シャーロットの反応は僕の心臓を停止させるかのような感覚をもたらし、冷や汗が止まらなくなった。もし彼女が今大声で騒ぎ出したら、状況は予測不可能な方向に向かう。
冒険者ギルドに入ってから、予想外の事が次々と起こった。
僕は事態をあまりにも単純に考えていたのか、それとも異世界が予測不能なものなのか、分からない。
シャーロットは顔を上げて僕を見つめ、そしてプロの笑顔を取り戻して僕の冒険者カードを表面に戻した。
「白金級の冒険者でさえ、S級スキルを持っていないことをご存知ですか?」
僕は緊張して、口の中の唾を飲み込みた。
この言葉は明らかに僕のスキルと冒険者のランクが合っていないことを意味する。
これをごまかす理由を見つけなければならない!
「こ、これは……」
「へロさんは伝説の転生者ですニャー……いえ、勇者ですニャー」
僕が答える前に、彼女は顔を寄せて囁きた。
その動作とそれに続くシャーロットから発せられる甘い香りは僕の頭を一瞬混乱させ、しばらくどう返答すべきか分からなくなった。
あ、甘い香り……
この瞬間僕は自分が本当にスケベのような行動をとってしまったことに気づき、わざと喉を鳴らしてから、顔を少しそむけた。
「……なんで知ってるの?」
「以前先輩から聞いたことがあるニャー。ごくわずかな新人冒険者はすごくハイレベルなスキルを持っていると。この冒険者は神によって召喚され、他の世界から私達の世界を破滅から救うためにやってきた冒険者なのニャー」
……神によって召喚され?世界を破滅から救うために?
これは僕が知ってる事実と全然違う!
「そして、彼らは神の祝福を受けているため、ハイレベルなスキルを持っているニャー。前は先輩達が暇つぶしに考えた話だと思っててけど、このような人が本当に存在するとは思いもしなっかたニャー......」
神の祝福?
いやいや!呪いだろう?
他の人の状況はわからないが、僕はそのクソ神達の賭け事の対象にされていることは確かだ。
でも、こんな誤解することはいい。
次に彼女の言葉に従って進めれば、危険は回避できるはずだ......
勇者?そんな偉い人じゃない、僕は!
「だからこそ、無属性くせにあなたが冒険者になりたがる理由も理解できるニャー。最初は普通の変態だと思ってたけど、異世界から来た変態だったなんて、ある意味私はラッキーかもしれないニャー、異世界からの変態にセクハラされたニャー」
「あなたにセクハラはしてない!ただあなたがどんな反応を示すか分からなかったから、緊張してしまったんだ!僕が望んだわけではないよ!それに、誰がこんなスキルを望むの?」
僕が指で固有スキルを叩くと、シャーロットはクスクスと笑い出した。
「安心してください。ギルドには冒険者のスキルを漏らすことは許されていないのですニャー。それは冒険者にとって命にかかわることだからニャー」
「命にかかわる?」
「例えば、A冒険者とB冒険者が憎しみあった時、AがBのスキルを知っていたなら、AがBを殺害することは簡単になるニャー。冒険者ギルドはこのような事態を防ぐため、冒険者が持つスキルを漏らすことを厳しく禁じているニャー」
彼女のさっきの行動から、シャーロットは信頼できることが分かった。
彼女は叫ばず、他の人を引き寄せるような音も出さなかった。
この点だけでも、彼女は口が軽い人じゃないことが分かる。
「でも、神の召喚を受けるほど若いなんて、あなたは元の世界では優れた者だったニャー」
「若い?僕?もう30歳だ!」
僕は反射的に顎を触って気づいた。
元々あった顎の髭がどこかに消えていたのだ。
「冗談じゃないニャー、あなたはとても若く見える。30歳には全然見えない。」
「あの……鏡とか借りれる?」
シャーロットは眉をしかめたが、それでも手鏡を取り出して僕の顔を見せてくれた。
鏡の中の自分を見て、僕は固まった──
どう見ても20歳前後の僕だ!!!!!
なにごと!?!?!?!?!?
次の更新日は10/28(土)です。
どうぞよろしくお願いいたします。