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ダメ人間の僕はクソ神達の賭けるものとなる。  作者: ハピ
第一章 賭ける物になる
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第二話 神達

  死とはこんな感じなのか?

  意識はあるが何の感覚もない。

  いや、正確に言えば何も感じないのだ。

  自分の呼吸も感じず、頭はお湯に浸かっているような感覚があり、温かさを感じながらも浮遊感が漂っている。

  おそらくこれが魂の意識なのかもしれない。

  これは僕の勝手な推測。

  誰も僕に正解を教えてくれない。

  僕はただ一つだけを確信できる。

  それは悲しみを感じていないこと。

  僕の心もう死んでいたかもしれない。

  未練がある人はこの状況で泣き叫ぶかもしれないが、僕はそのような衝動を感じない。

  未完結の小説や観ていないアニメに対しても残念に思えない。

  多分、これまで自分を支えて生きてきた理由は想像していたよりも小さななものだったのかもしれない。

  おそらく消えるまでこの空間に存在しているが、死後の世界は思った以上に孤独だ。

  暗闇の中では時間感覚が混乱しやすく、自分がこの空間でどれだけの時間を過ごしたのかは分からない。

  数秒とか数時間とか僕には全く予想できない。

  突然暗闇が消え、自分の手足を再び見ることができたが、何も着ていない。


  何これ!


  三人の巨人が椅子に座っているのが目の前に映る。

  男性二人と女性一人で、身長は非常に高く、顔を見るには首を傾ける必要がある。


  「おい、おい!貴様、天国で裸を走りたいってどんだけ変態なんだ?こんなクズを選ぶなんて、本当に言っているのか?もしもこのクズのせいで賭けに負けても、約束を守るんだな!負けてからゴネても無駄だぞ、わかってんのか!?」

  「あたしには計画がある。事をあまり単純に考えるなやん。みんながおまえみたいに単純な頭でオマケに四肢が発達した存在だと思わないでくれやん。」

  「ウラノスとガイア……今は客がいるから、もう喧嘩しないでくれよ!」


  ウラノスとガイア?ギリシャ神話の神?


  このバカ女は裸で走りたいから、わざわざこのクズを選んだのではないのか?

  いや、この女は知恵があるがいつも高慢だな!

  だから「裸で走れる」なんて耐えられるわけない!

  まさかこのクズに特別な力があるのか?

  いや、見た目普通人だ!

  このクソビッチ一体何を考えているのか全然わからない!


  プロメテウスは何を考えているの?

  なぜこんな……普通の人を推薦するやん?

  ま、まさかプロメテウスはあたしが裸で走るのを見たいの?

  プロメテウスとウラノスはいつ結盟したやん?

  やばい!この状況は本当にやばいやん!


  私の想像通りですね。

  ウラノスとガイアは分かっていないようですね。

  表情から読み取れますな!

  今回はこの可哀想な魂が最後まで幸せに生きられることを願います。

  彼が不幸になったのは元の世界にとって彼の才能は要らない才能だったから不幸な人生になりましたが、次の世界は……

  彼が何か大きな成果を上げ、多くの人々を幸せにすることを願います。


  ウラノスとガイア、この二つ名前は印象に残っている。

  ギリシャ神話は多くのゲームで使われる題材の一つだ。

  ここは天国?

  いや、僕は自分が天国に行けるとは思ってないが、悪いことをしたわけでもないので地獄に行くのもないと思う。

  ならばここで審判を受け、天国に行くべきか、地獄に行くべきかが決まるのか?


  ガイアは右側の男性が話し終えた後、咳払いをしてから手に持っていた本を開く。

  本の表紙をはっきりと見るができ、一瞬自分が見間違えたのではないかと思ったが、目をこすった後確認した ──


  それはラノベじゃないか!?

  最近アニメ化された人気のラノベだ!

  買ったから分かる!


  「異界から来た人間よ、君の死を惜しむ。若い命がこうして消えるのは残念だやん。」

  「プロセスは必要なの?こんな時間を無駄にするな!」

  「おまえは黙ってろ!これは儀式感やん!儀式感を理解してるやん?クソ!良いプロセスはお前が台無しにしたんやん、全部あたしに任せるって言ったはずやん?」

  「ウラノス、約束を守ることは大切ことです……だからガイアを邪魔しないでくださいよ。」

  「ちっ、プロメテウス!貴様はガイアを助けるつもりか?クソ、黙ってるよ。でも早くしろ!時間はたくさんないんだ!」


  最後の神はやっぱりプロメテウスだ!天の神、地の神、そして人の神という組み合わせは、ゲームの視点から見ればまさにSSRのスタートだ。


  流れを妨げられたことに不満を感じ、ガイアは言葉を失った。

  そして手に持っていたラノベを閉じた瞬間、僕は一つのことを確信した──


  彼女はラノベのセリフを読みたかっただけだな!


  「我々が創り出した世界のダメ人間やん!」


  ラノベでこんなセリフがあるの?

  ないね!

  絶対ないね!

  これは絶対ウラノスの発言に反応して、ガイアが即興で考えたセリフだな!

  ガイアは計画が台無しになったことに対する怒りを僕に向けて発散しているような気がするが、確かな根拠はない。


  「あなたは神達の憐れみを非常に幸運にも受けられた。だからあなたに再びチャンスを与えることにしたやん。あなたは転生して、新たな人生を始めるやん!」

  「あの……それを断ることは可能ですか?」


  他の人にとっては絶対受け入れる提案だけど僕は受け入れるつもりはない。


  僕の返答を聞いて、ガイアの顔には驚きが現れる。


  「いやいやいや!なぜ拒否しようとするやん?人間は!新たに始めることが好きではないやん?転生も!なぜ転生できるチャンスを受け入れないのやん?」

  「おい、クソビッチ!まず言っておくが、もしこのクズが転生を拒否したら、それもきさまの負けだぞ!」


  ウラノスの顔には意地悪い笑顔が浮かんでいる。


  こいつはさっき言った「裸で走る」約束。

  ガイアが負けるのを心底望んでいるようだな。

  具体的な内容は分からないが、僕の記憶ではウラノスはガイア最初の子供と夫だな……そして、この変態が近親相O以外、自分のお母さんの裸で走る姿を見たいみたいだ。

  こんな変態中の変態が神?

  冗談だろう?


  「あんたは黙ってて!聞いてないやん!」


  ウラノスの笑顔を見ていると、僕は彼に一発殴りたくなる衝動すら感じる。

  彼がからかったことに対してガイアも同じように感じているはずだ。

  ガイアはウラノスを生きたまま剥ぎ取ってしまいそうな表情に見える。


  「人間……理由を教えてくれやん。なぜ転生を望まないやん?」

  「答えは明らかでしょう?僕のような無価値な存在は、何度転生しても結局は役に立たないんです……ただ貴重な機会を無駄にしているだけ……です。」

  「もしあたしの言葉があなたを冒涜したなら、お詫び申し上げるやん。『ダメ人間』という言葉はわざとじゃなくて、事実を言ってしまっただけやん。あたしは人間たちが強い自尊心を持っていることを忘れていたやん!」


  こんな酷い謝り方があるの?

  この謝罪は本音とか本音じゃないとかは分からないけど、関係ない。

  とにかく謝り方は気が悪い!


  クソ!

  ウラノスのせいやん!

  即興でセリフを考えなければならなかったんやん!

  ウラノスの邪魔がなければこんなことにならなかったのに!


  クソビッチ!裸で走れ!


  「謝罪はもう十分だやん?転生を受け入れてもらえたやん?」

  「なぜ僕を選んだんですか?」

  「えと..... えと、プロメテウスに聞くやん!」

  「これは……これは…….」


  隣のプロメテウスの顔には混乱した表情が現れ、その後、なぜかすぐに視線を避ける。


  こいつ一体どういうことだやん?

  このダメ人間はこいつが推薦した人やん!


  なぜ突然ガイアは私を巻き込もうとするのか......私は表向きには彼らの賭けに関与していないのに!

  私が彼を推薦したが、いくつかのことは...自分で見つけなければ意味がないですね……


  おい!

  しっかりと僕を見ていてくれ!


  「プロメテウス!返事!返事するやん!」


  ガイアはプロメテウスの横腹をひじで押しているが、プロメテウスは顔の色は青になるまではっきりと口を開こうとしない。。


  「時間を無駄にする奴らだ!皆黙ってるなら、俺が話す!同じ時間でお前の世界で死んだ人の中で、お前は一番ダメな人間だ!尊厳も成果も何もなく、生きる意味もなかった!そしてきさまが死んだ後も誰もお前を気にしない!全ての条件がダメ!だから貴様が選ばれた!でも全然分からないな!なぜ『ダメ人間』が選ばれたんだ?」

  「ウラノス、酷過ぎるよ!」


  プロメテウスがすぐに声を出したが、効果がない。

  ウラノスはさらに足を組み、冷笑を浮かべながら僕を見つめる。

  あの表情はすごく分かる。

  家族や同僚たちに向けられた表情だ。

  ゴミを見るときの表情だ。

  死後もこんな侮辱を受けるになるなんて、思いもしなかった。


  もういいだ…….

  もう死んでしまったんだから、このクソ神達を尊敬しなくても構わない!

  最悪の結果は魂が消えるかもしれない!


  「酷いだって?俺はな!事実をはっきり言っただけだろう?特徴も才能も何もない魂、俺は見るのも初めてだな!」

  「特徴も才能も何もないのに、なぜ僕が転生のチャンスを得ているの?こんな特別なチャンスは才能があって特別な人間に与えられるべきだろ?」

  「おい!クズ、誰と話してるんだ?」

  「お前だよ、クソ神!」


  クソ……神?

  俺?

  ……このクズがこの俺を呼ぶとはな!

  これはちょっと面白いことになりそうだな!


  初めて人間にそんな風に呼ばれた。

  新鮮過ぎてウラノスは怒るが怒りはすぐ忘れた。


  そうだな、過去の転生シリーズ作品では、どの主人公も少なくとも一つの専門分野を持っているが、ダメ人間の僕はそれらの主人公とはまったく違う。

  たとえ本当に転生しても、僕は脇役だろう。

  ガイアの発言が腹立たしいが、転生は僕のようなダメ人間には無駄なことだ。

  もし僕が神なら、僕のようなダメ人間にはこんなチャンスは与えない。

  これは一番ロジックある考え方だ!

  転生したいとは思うし、もちろん新しい人生を望んでいる!

  そして、前世とは異なる人生を送りたいが、僕のようなダメ人間は間違いなく再びすべてを失うことになるだろう。

  失うことは苦痛だ。もし再び苦痛を経験することになるよりも、何も期待しないことの方が良い選択だ。


  「親愛なる子よ、決してそう思ってはいけません。」


  プロメテウスは突然僕に言った。

  僕を見る目は悲しみで満ちている。

  その言葉と視線から、僕はすぐに彼がなぜそう言ったのか理解しった。


  「僕の心の声が聞こえるの?」

  「人の神として、私は私が造ったもののすべての思いを聞くができます。」


  かわいそうな子よ、少しだけ苦難に立ち向かう勇気をあげましょう!


  「今あなたは凡人で才能もありませんが、それは単に『見た目だけ』です。正しい場所に置かれれば、隠れた才能も輝くができます。」


  この言葉に僕は泣きたい衝動が湧いてきた。

  だって、誰かが僕にこんな言葉をかけてくれたのは初めてだからだ。

  泣き虫なわけではないが、このシンプルな言葉は久しぶりに暖かみを感じた。


  「自分でダメな人間だと自覚している人が適切な機会を得れば後、他の人よりもっと頑張ることができる……私はそう信じています。」


  良くやったやん、プロメテウス!


  「プロメテウスの言う通り、才能ある人を適切な場所に配置すればその人の能力を最大限発揮して、その人の魂を輝かせるができるやん。元の世界で既に力を持っている人より元の世界で埋もれている人がチャンスを得れば、ちゃんとチャンスをモノにできるやん!あたしはあなたにはただチャンス一つが必要だと考えているやん!一つのチャンスだけであなたは本来持っている輝かしい光を放つことができるやん!」


  誰もが平凡な人生を送りたいとは思わない。

  僕は自身が思わぬ事故によって亡くなった。

  もしチャンスがあるのなら、人生を変えてみたいと思うのはもちろんのことだ。

  ガイアの言葉は自分を慰めるための言葉だ。

  僕もいつもそう自分を慰めたがるから、それゆえによくわかる。


  「こんなに優しい言葉を言って、貴様ただこのクズを転生させるために騙そうとしているだけだ。おい、クズ!クズはどこに行ってもクズだ、変われるわけないよな!」

  「ウラノス、邪魔しない!あたしは彼を説得しようとしているんだやん!もし邪魔にするならあんたの負けだやん!」

  「あなた達、違いますよ。この子は輝く可能性が十分にあって、今皆はまだ見ていないだけです。彼に必要なのはチャンスだけです。」

  「プロメテウス、貴様まさかガイアの側に立つつもりか?」

  「聞いてよ!プロメテウスはそう言っているんだやん!だからこの転生のチャンスを受け入れてくれるやん?」

  「そうか!分かったぞ!貴様はただチャンスを受け入れて、その後ひっそりと生活するだけの人だと思って選んだんだ!自分の能力を分かっているから、転生後は安定した場所に隠れて生活するつもりなんだろう?」


  ウラノスの表情はすごく嫌悪感を抱かせる。


  この神達は僕の苦しみを知らないから、こんなにも軽率に僕の苦しみを踏みにじるのだろう?

  僕が転生を受け入れるとか受け入れないとかによってどちらか一方が利益を得る、これは一番不愉快なことだ!

  僕の傷をえぐった後、それからも利益を得ようとする。

  このクソ神達は一体なんなんだ!


  クソ神達を睨みつける。

  次の瞬間には彼らを怒らせて灰になる可能性もあるが、僕はおそれない!


  やっぱりこのクズは面白い!


  「貴様の視線なかなか凶暴だな……神の怒りを恐れないのか、人間?」

  「ウラノス!もし彼の魂を消滅させたら、お前の負けやん!彼に手を出すなやん!」


  灰になる。

  この神達のおもちゃになることを選ぶより、それは悪くない選択だろう。少なくとも、もう誰かに操られるつもりはない!


  「そんな考えはないんだ。逆に俺はその視線は嫌いじゃない。それは戦士の目だな!なぜこの人間が俺をそんな目で見ているのかは分からないが……人間、俺はさっき言った言葉を取り消す。おそらく、おまえは無能ではないだろう。」

  「だから、転生してもいいんだよ?皆も良く思ってるし、転生したいとは思わないやん?」


  こんな下手くそな説得を誰が受け入れるの?


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