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ダメ人間の僕はクソ神達の賭けるものとなる。  作者: ハピ
第一章 賭ける物になる
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第十八話 ハジメ遺跡に潜入

 あのクソ神め!

 一体彼は何がしたいんだ…

 自分の勝率を上げるためにチートするのか?

 卑怯すぎる!

 悪い予感がする。

 自分だけならまだしも、今はエルフもいるのに…

 クソ!


 まだ動けずにいると、近くの草叢からすぐに動きが聞こえた。

 ウラノスがどのような手を打つかわからないので、僕はすぐに傍らの剣を握り、戦闘の準備を整えた。


「エルフ!?」

「えぇ?」


 しかし心配していたことは起こらなかった。

 エルフが兎を抱えて草叢から歩いて出てきて、得意気な顔をしていた。

 僕はほっとした。

 敵襲かと心配していたが、幸いただのバカだった。


 しかし、僕はウラノスが絶対に干渉してくると思う…


「ただツッコミたかっただけさ。あなたは意味ない殺生に反対しているんじゃないの?どうして兎を狩り殺すんだ?」

「これは意味のない殺生じゃない。これは意味のあるものだ!兎は草を食べて、あたしたちは兎を食べる。あたしたちが死んだ後には草の養分になる。これが『生命の循環』と呼ばれるもので、あたしたちが兎を食べなければ、この循環は成り立たないんだ!」


 何度聞いても、彼女の基準はまったく統一されていないように感じる…


「それにあたしはへロ君のために兎を狩りに行ったんだ!だからこれはあたしのせいじゃない!」

「あなたに頼んだわけでもないし、兎を食べたいと言った覚えもないんだけど?」

「へロ君に焼き兎を食べさせたかったから、だからあたしは狩りに行ったんだ。だからこれはヘロ君のせいだ!」


 これはどういう理屈だ!?


「それに、誰が早朝から兎を食べさせるって?」

「え?『朝食は活力の源』って言うじゃない?だから朝食はしっかり取った方がいいでしょ!」


 エルフはキャンプファイアのそばに行って兎の調理を始めた。

 彼女の技術は意外にも熟練していて、僕よりも巧みに包丁を使っている。

 明らかに彼女は豊富な狩猟経験を持っているようだ。


 こいつ、ここ数日間奇妙な原則さえなければ、狼の皮を剥ぐ手伝いをさせて、あんなに時間を無駄にすることはなかったのに!


 エルフがウサギを焼く準備をしている間、僕は近くの水源に行って手や顔を洗う。

 念のため剣を持ってきている。


 ウラノスの言葉には少し引っかかった。

 ガイアは彼が賭けを乱すのを見過ごさないだろうとは思うが、彼は僕と個人的に話す時間があったら、僕に何かするのは難しくないだろう。

 だから、今はどんな小さなことでも僕を緊張させる。


 僕が心配しているのは自分だけでなく、エルフのことだ。


 あの頭のおかしい奴は、目的達成のためなら手段を選ばないようだ。

 最悪の状況を考えれば、エルフも被害を受ける可能性が高い。

 僕に手足を切断させたいほどのことであれば、エルフが受ける害も計り知れない──


 最悪の場合、エルフが死ぬ可能性すらある。


 僕には選択肢がないと気づいた。

 エルフと一緒に冒険することを嫌がっているわけではなく、むしろエルフと一緒に冒険したいと思っている。

 しかし、もしウラノスが手を出すつもりでエルフを守りたいのなら僕はエルフとの冒険を諦めるしかない。

 できれば諦めたくないが、今はエルフを守れる自信がない。

 僕はそんなに自己中心的でいられない。


 キャンプ地に戻ると、エルフが焼いた兎はすでに魅惑的な香りを放っていた。

 キャンプファイアからはジュージューと音が立ち、兎の脂と肉汁がゆっくりと滴り落ちている。

 エルフは横に小さな穴を掘って兎の頭と毛皮を埋めていた。


「もうすぐ食べられるよ!」


 僕が戻ったことに気づくと、エルフはすぐに笑顔を見せた。

 彼女は焼かれた兎を指さし、自分を見下ろすように誇らしげになった。


「あなた、手を洗った方がいいよ。手が全部泥だらけだから。」


 難しいな、どう伝えればいいのか。

 明らかに説明しやすいことなのに、なぜか口に出せない自分に気づく。

「クソ神が僕の手足を切断したくて、だからあなたと一緒に冒険できない」というのは事実だが、どう聞こえてもただの変な言い訳で人を振り切りたいと思っているようにしか聞こえない。


 いや、振り切るってわけでもないし。そんな考え方は彼女と別れるってことみたいだし…

 どうやってこの状況を説明したらいいのだろう?解雇?分かれる?

 どちらにしても違和感がある。


 雇用関係ではあるが、今はもうそれだけの簡単な関係ではない気がする。

 通常の雇主と傭兵なら昨夜のような会話はないだろう。

 でももしチーム関係だと言うなら、今はそれほど単純ではないだろう。


「なんで焼き兎をぼーっと見てるの?おいしいよ?これあたしが作ったんだから、あたし、すごいでしょ!」


 エルフは手洗いから戻ってくるや否や僕の思考を遮る。彼女は笑顔で向かい合って座り、焼き兎の状態をチェックした。


「あなた、さっき僕のために兎を狩りに行ったって言ったよね?」


 僕はエルフが差し出した焼き兎を受け取りながら言った。


「うん、へロ君のために早くに起きて兎を狩りに行ったんだ。」


 エルフはそう言いながら焼き兎を一口かじり、満足そうな笑顔を見せた。


「なんで急に僕のために兎を狩りに行ったの?」


 しかし、エルフは僕の質問には答えず、ジューシーな兎の肉を噛み続けている。


「おい、食べ物ばかり気にしてないで答えてくれよ?」

「あたしはただ自分が役に立つことを証明したかっただけ……へロ君に捨てられたくなかったから。」


 この答えに僕は驚いた。エルフは焼き兎の脚を噛む動作をゆっくりと緩めた。


「実はあたしは自分がバカだってことはよく分かってるんだ。冒険者カードにもそのまま『バカ』って書かれてるし……バカだからこそ頻繁に見捨てられたりするんだけど、へロ君は違う。バカなのに、道でよく罠にかかるのに、へロ君はそれでもあたしを捨てなかった……だからあたしはヘロ君に捨てられたくなくて、だから自分が役に立つことを証明しなきゃいけないんだ!」


 このバカ、本当に僕の悩みを理解していない……

 この状況で分かれを切り出すのはどうなんだろうか?


 彼女の無邪気な犬のような目を見て、この残酷な言葉を口にすることはできない。

 なぜなら、この状況でそんなことを言うことは彼女を見捨てることと同じだからだ。


 僕は本当にダメ人間だ。

 なんで簡単な一言が口に出せないんだろう?

 明らかに彼女のためになると思ってこの決定を下したのに、焼き兎のような小さなものに対して残酷な言葉を言えない。


「で、美味しいの?」

「うん、うまい……」

「へへへへへ……」


 エルフは変な笑い声を上げた。

 この笑い声と満足そうな表情を見て、まるで心臓が何かに引っ張られたような感覚がした。


「これからも冒険を続けるなら、これからもこんなに美味しいものを食べ続けられるんだよ!」

「あなた……僕を食べ物で釣ろうとしてるの?」

「シャーロッが言ってたよ!『男の心を掴むにはまず男の胃を掴むこと』って。あたしはただシャーロッのアドバイスを参考にしてるだけだよ。」


 いや、この言葉は絶対にこの状況で言うものじゃない!


「もし、もしもだが、僕と一緒に冒険を続けたら死ぬ可能性があるとして、それでも僕と一緒にチームを組みたいか?」

「死ぬ?どういう意味?」

「どうでもいい。とにかく死ぬ可能性があって、しかも非常に悲惨な死に方をするかもしれないんだ。」


 エルフは一瞬固まったが、すぐに首を横に振った。


「死にたくないとは思わないの?」

「だって冒険者なら、最終的には死ぬからだよ!」


 この非常にシンプルで、そしてちょっと熱血な答えに僕は驚いてはっとさせられた。


 冒険者なら、最終的には死ぬからか……


「もちろん死なずに済むのが一番いいけど、本当に死ぬことになったら、冒険の過程で死ぬのも悪くないと思うよ。」

「僕は安全に暮らして長生きしたいから、死ぬのはあなたの勝手にしてくれ。」

「へロ君、あたしと一緒に死にたくないの?」

「あなたとは無理心中しない!」

「でもあたしね、へロ君と一緒に死にたいんだ。だってへロ君以外誰もあたしと一緒にチームを組みたいと思わないから!」

「僕はちゃんと生きたい!」


 考えすぎた。

 うん、本当に考えすぎた。

 もう少しで大切な仲間を捨てるところだった。

 冒険者なら、最終的には死ぬ。

 この答えは完璧だ。

 だからこそ、怖れる必要はない。

 ウラノスに驚かされただけだ。


 目の前で笑っているエルフを見て、僕の心配はただの杞憂だったことを知った。

 冒険者なら、最終的には死ぬ。

 僕はもう、元の世界のダメ人間ではない。

 ここでは冒険者として生きている。

 ダメ人間の属性は違う世界にも引き継ぐが、職業は変わった。

 だから考え方も過去と同じではいけない。

 前世はただの生ける屍だったが、今回は魂を持って生きることができる。

 そのために臆せず、臆せずに前に進まなければいけない。

 弱さや自己中心的な考えで他人まで巻き込むわけにはいかない。


 今度死んだら、おそらく地獄に行くことになるだろう。

 でも僕は──


 くそったれのウラノス、お前らの賭け事をぶっ壊してやるからな!


「さて、出発しよう。」


 最後の一口を食べ、僕は立ち上がって遺跡へと歩き出した。


 遺跡とはいえ、僕の想像していたほど古びていたり湿気の匂いが漂っていたりはしない。

 おそらく「完全に探索された遺跡」だからだろう。

 入口の辺りは修復されていて、内部には他の冒険者たちが残した痕跡や設置された松明がそれなりに見受けられる。


「ここは冒険者が鍛えに来る場所で、いろんな素材も手に入るけど、あんまり好きじゃない。」

「なんで?」

「素材やレベル上げのために魔物を殺しまくるってのが嫌だ。魔物だって命だし、彼らの命を素材や経験値に変えるべきじゃないと思うの。」

「そうしないと、冒険者らしくないだろ?」

「冒険者には他にもできることがあるでしょ? 例えば、世界を救う……みたいな?」

「確かにそういうこともあるだろうけど、それにはある程度のレベルが必要で、そのためには魔物を倒さないといけない。だから魔物を倒さなきゃ世界を救えないってことさ。」

「それ、そうしなくても世界を救える!」

「じゃあどうするか言ってみて?」

「えっと、えーと……わからない!へロ君は本当に嫌だな!」


 へロ君はバカ!

 なんでいつもあたしが考えたこともないようなことを持ち出すの!

 いつも答えられないような質問をしてくる!

 本当にイライラする!


 エルフの思考は実は非常に単純だ。

 むしろ、自分の価値観だけに基づいて行動しており、それが任務で失敗し続ける原因でもある。


 へロはこの点に気づいていたが、本人のエルフはまったく気づいていなかった。


 遺跡の地上階は一本道で魔物もおらず、簡単に進むことができた。

 僕たちはすぐに地下1階の階段に到達した。

 ここからが本格的な迷宮の入り口で、冒険者ギルド提供の地図を取り出し、できるだけ早く目的地に到達することを目指す。


「足元に気をつけて。入口にダラネズミがいるから、尾を踏まないように。」

「あたしを何だと思っているの? そんなバカなことはしない!」


 ダラネズミは黒い毛色で、ダックスフントに非常に似た鼠型の魔物だ。

 能力値だけを見ると非常に弱いが、ダラネズミは群れで行動する魔物で、1匹にかかわることは1群を相手にするのと同義だ。

 どんなに弱いダラネズミでも恐ろしい存在に変わる。


 迷宮であるものの、地下一階と二階は全てダラネズミのような非主動的で弱い魔物ばかりだ。

 つまり、きちんと歩けば何も起こりえない。

 ただし、「きちんと歩く」ということは、エルフにとっては不可能なことで──


「あの、うっかり踏んでしまったみたいで……」


 エルフはすぐに僕の裾を力強く引っ張った。

 振り返ってみると、エルフの足は確かにダラネズミの尾の上にのっていた。

 そのダラネズミは怒りに満ちた目でこちらを見つめる。その後鋭い鳴き声を発し、地下道のそばから無数の血走った視線が現れた。

 この瞬間、僕は全身に鳥肌が立っているのを感じた。


「バカ!!!!!」


 声を抑えきれずに叫び、すぐにエルフの手を引いて前に疾走した。

 後方からはすぐにダラネズミの悲鳴と数え切れないほどの足音が聞こえ、振り返らなくても僕たちの後ろには無数のダラネズミが追いかけてきていることがわかった。

 正確に言うと、ダラネズミがエルフを追いかけた


 なんで彼女に忠告したのに踏みつけるんだ!


 幸いにも、僕はもう地下1階の地図をしっかりと頭に叩き込んでいた。

 今は逃げている最中だが、地下2階に向かう階段に確実に進んでいるはずだ。

 今の不確定要素はエルフだけ。

 彼女がもう何もミスを犯さないようにし、ダラネズミとの距離を上手く取って階段口で反撃することができれば──


「あ、あたしもう走れない!へロ君どうしよう!」

「どうすべきかなんて僕にも分かるはずないだろ!」


 迷宮の中の通路は非常に広いため、僕は狭い階段口で対抗することを選択せざるを得なかった。

 剣士と弓使いの組み合わせで攻撃の範囲が非常に限られており、敵を集中させなければ対処できない。


 魔法使いがいればいいのに。

 そうだ!生きて脱出できれば、お金をかけて魔法使いを探して仲間にする!

 そして僕が剣士兼リーダーだ!

 そして少し変だけど、エルフが弓使い兼タンクを担当する!

 チームの構成としては完璧ではないが、十分に戦える!

 やばい。僕はもう現実逃避を始めた!


 エルフの息遣いがますます大きくなり、明らかに彼女の体力が限界に近づいている。

 彼女を引っ張っている関係で、彼女が僕の速さを引きずっているのが感じられる。


「もうすぐだ!」


 あと100メートル…

 いや、50メートル!

 もし僕が間違っていなければ、次の角を曲がるだけで次の階段が見えるはずだ!


「着いた…」


 本来なら最後のスパートをかけるべきだが、僕は足を止めてしまった。

 後ろのエルフも僕にぶつかってきたが、彼女はすでに息切れして文句を言う暇もなく、僕に停止した理由を尋ねることもなかった。


 冗談だろ…

 なぜ、ここにこんなものがあるんだ!?


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