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ダメ人間の僕はクソ神達の賭けるものとなる。  作者: ハピ
第一章 賭ける物になる
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第十四話 戦闘終了

 たとえこのアローン狼を殺したとしても、僕は一切油断できない。

 エルフは弓使いだから自分でアローン狼と戦うのは難しい──

 僕はすぐにエルフを見つめ、そしてほっと息をついた。


 指揮を執っていた単独の狼は僕の手が離せない隙をついてエルフに攻撃した。

 この点から見ても、アローン狼は一定の知恵を持っていると言えるだろう。

 ただし、アローン狼はおそらくエルフが普通の弓の使い手ではなく、変なスキルを持つ近接戦闘の弓使いであることを考えていなかった。

 エルフはアローン狼の上顎をつかみ、もう一方の手で顎をつかんで、声を上げながらアローン狼をしっかり捕まえている。

 アローン狼は混乱に陥っている。

 一度前進を試み、次に後退を試みたが、どうしてもエルフの桁外れの怪力から逃れることはできない。


「助けてよ!!!助けて!!!!あたしは美味しくない!見た目は肉っぽいかもしれないけど!エルフは全く美味しくない!!!食べるなら隣の人を食べて!!!」

「ちょっと、なんで僕に擦り付けるんだ!?」

「助けて!!!!早く助けて!」


 エルフは泣きそうな顔をしている。

 しかし、どう見てもこいつは自分でどうにかする手段があるようで、ただ気付いていないだけのようだ。

 僕はため息をつきながら、助けを求めるエルフのそばまで歩いた。

 アローン狼はエルフによって固定されているので、今回は特に技を使わずに頭を切り落とした。


 おそらくアローン狼は自分が弓使いの手によって近距離で拘束されるなんて思ってすらいなかった……


 アローン狼を処理した後、エルフは地面に大きく座り込んで息を荒くしながら僕を見つめた。


「どうした?今度は僕がアローン狼を殺すべきではなかったって抗議したいの?」

「そんなことない!あたしはただなんでへロ君がそんな強さを持ってるのか考えてるだけ。」


 僕?

 こいつは冗談を言っているのか?

 エルフの矢が2匹を射抜いた。

 さらに最後の1匹を含めると、彼女は3匹のアローン狼を倒していることになる。

 戦術的に見れば、彼女のサポートがなければ僕はアローン狼に打ち勝つ術が全くなかった……

 彼女はどれだけ自信がなくて、このアローン狼討伐が全部僕の功績だと思えるの?


「どうしてそんな強さをか……僕もそれをどう言えばいいのかわからない。」


 しかし、エルフがいなかったら危なかったなんて言葉を直接言ってしまうと恥ずかしい気がする。

 そして率直に言っても、彼女は僕の見解を受け入れることはないような気がする。

 やはり、彼女は自己評価が低いタイプだ。


「けち!」


 エルフはほお袋を膨らませた。


 面倒くさい。


「あなたの知能では理解が難しいと思うから教えないんじゃなくて、あなたに言っても理解できないから時間の無駄だと思ってるんだよ。」

「なるほど……いや、また遠回しにバカって罵ったでしょ?」

「考えすぎだ。どうして僕がこのアローン狼達を倒せたか……それは僕が一人ではないからだ。もし僕が一人でやらなければならなかったら、僕はおそらく倒せなかっただろう。誰もサポートしてくれなかったら、おそらく僕はここで死んでいた。」


 エルフは僕を呆然と見つめ、はっきりと僕の言葉の意味を理解できないようで、その表情を見てそう感じた。


「へロ君の言葉は全部わかるけど、なんであたしがへロ君の言っていることが理解できないのか分からない……」

「簡単に言えば、あなたがいなければ倒せなかったってことだ。」

「あたしがいないければ?」

「あなたが仲間じゃなかったら、あなたのサポートがなかったら、このアローン狼達を倒すことはできなかったんだ!」


 最後は少し自暴自棄になってしまった。

 こんなに直接的に言うと、自分の顔が熱くなる感じがした。

 僕は顔を背けて自分のものを整理したり、アローン狼の死体を調べたりしているふりをした。


「へ、へへ……」


 数秒後、背後から変な笑い声が聞こえた。


 一体どんな奴がこんなに不気味に笑えるのだろうか?


「……これが必要とされる感触なんだ。」


 なんて嬉しいのだろう……

 褒められたわけでもないのに、なんだか嬉しい気持ちになった……

 何もしていないような気もするけど、こういうふうに言ってもらえるのは本当に嬉しい!

 嬉しい!


 ああ、そういうことか……

 どうやら伝えたいことはちゃんと彼女に届いたようだ。


 人間は社交的な生き物であり、どんなに孤独な人でも誰かに必要とされたり、人を必要としたりする欲求がある。

 しかし、ほとんどの人はダメ人間やバカは必要ないと思いがちだ。

 自分たちの足を引っ張るだけだと思っていても、それはダメ人間やバカが「必要とされる」欲望を持っていないわけではない。


「誰があなたを必要とするかなんて……早く協力してアローン狼の死体を集めてくれ!後でなんとか皮を剥がないといけないから。」

「わかった。」


 エルフは変な言葉の調子で応え、その後不気味な足取りで立ち上がった。

 その表情はバカっぽい感じで、不気味な笑い声を発している。


 彼女の気持ちは理解できるけれども、正直彼女がずっとその様子なのはちょっと気持ち悪い。


 アローン狼の死体を集めた後、僕は剥皮用のナイフを取り出した。

 ただし、安物で購入したもので刃が少し鈍い。


「え、待って、へロ君、何をしようとして……」

「狼の皮を剥ぐ。」

「なんでそんなことするの!埋葬しちゃダメなの?」

「埋める方が手間だよ!しかも、狼の皮はクエスト指定アイテムだから、どうしても剥がないといけないんだ。狼の肉は、ちょっとだけ食べる……あなた、その表情はなんだ?」


 狼の皮の買い取り価格は1枚50銅貨だ。

 今、7体のアローン狼の死体があり、エルフが射抜いて剥がせなくなった2匹を差し引いても、最低でも2銀50銅の価値がある。

 これが殺すときになるべく首を狙った理由でもある。

 簡単に言えば、思いがけず大儲けだ。


「なんでいつもこんなに残忍なことをするのさ……スライムを殺したり、狼の皮を剥いだり、好きになれない!」

「冒険ってのはそういうことだよ。じゃあ何を冒険って言うんだ?」

「冒、冒険って何……冒険は冒険だよ、例えば迷宮を探索するとか……とにかく、こんな感じじゃない!」


 だんだんと彼女の論理が理解できるようになってきた。

 人に攻撃的でない魔物は殺すべきではなく、人に攻撃的な魔物は撃退してもその死体にまでは手を出してはいけない、この考え方はまるで道徳者のようだ。

 自分は論理的に間違っていないと主張する人は実際には多くの矛盾があったりする。


 そうならば、魔法で魔法に打ち勝つしかない!


「僕にとって、殺した命を無駄にしないで利用することこそが彼らの命を尊重することだ。彼らの命を無駄にしないためにも、彼らを良い形で利用してあげよう。もし彼らが僕たちを殺しても僕たちの死体を食べるように、これは自然の法則に従っているだけなんだ。」

「でも、でも……」

「もし本当に埋めたいなら、穴を掘ってみろ。穴を掘らなければ埋めることはできないよ。」

「言ったね!あたしが穴を掘ったら、へロ君は彼らの皮を剥げないんだから!」

「穴を掘ってもいいけど、僕も時間を無駄にするのは嫌だから、僕は剥ぎ続けるよ。もちろん、あなたが先に穴を掘り終えたら、僕は手を止めるよ。」

「わかった!約束は破らないでね!」


 穴を掘るスピードと皮を剥ぐスピード、どっちが早いか勝負だ!バカエルフ!


 エルフは本当に穴を掘り始めた。

 しかし、彼女がちゃんと考えているかどうかはわからない。

 道具もないのに手で掘り始める。綺麗な手をすぐに土で汚し、そのうえ本当に遅い。

 僕は死体を剥ぎ分ける。剥ぎ取れないものと、頭と体を分けた後彼女の方に目をやると、彼女はまだ小さな穴しか掘れておらず、狼の頭さえも埋めることができない。

 ため息をつきながら周りにある固い木を数本見つけて彼女に投げ渡した。

 すると彼女は道具を見つけた原始人のように喜び、ぎこちない姿勢で穴を掘り始めた。

 道具を得たおかげで、穴を掘るスピードは少しだけ速くなったようだ。


 彼女を無視してすべての準備を整え、僕は欲しい狼の皮を剥ぎ始めた。


 以前、アメリカでハンターが動物の皮を剥いでいる様子を見たことがある。

 それは中学2年生のときだったがはっきりと覚えている。

 両親は弟と妹をアメリカの短期留学プログラムに行かせた。

 彼らと一緒に過ごすために僕たちはワシントンで学校から近くの別荘を借り、そこで2ヶ月ほど過ごした。

 その別荘は言語学校の近くで、そばには合法の狩猟場もあった。

 弟と妹が学校に行っているとき、僕は暇で近くの狩猟場周辺をよく歩き回った。

 その時にハンターが動物の皮を剥いでいるのを見かけたのだ。


 今考えると、その時の僕はかなり大胆だった。

 狩猟場の周りをふらふらと歩き回っていれば、運が悪ければ銃弾で撃たれる可能性もあったが、両親は僕を止めなかった。

 僕の行動に気づいていなかったのか、僕がそのまま撃たれても仕方ないと思っていたのかはわからない。

 何しろその時期になると、すでに彼らは僕が弟や妹よりも役立たずだと思っていた。

 彼らが弟や妹を産んだのは、僕があまりにもダメ人間だったからだそうだ。


 その後、僕は狩猟に非常に興味を持った。

 ハンターが皮を剥ぐプロセスを見た後、自分で関連するビデオをネットで調べて研究したが、実際に自分でやったことはなかった。

 目の前の死体を見ながら、脳内は過去に見た映像や動物百科から得た情報で満ち溢れている。


 先ずは犬の体の構造をイメージした。

 狼と犬は似ているので、体の構造は大差ないだろうと考えて皮を剥ぐプロセスに進み、最後にナイフを入れる。


 自分で実際に手を動かしてみると、見るのとは大きな違いがある。

 しかも道具もあまりよくないので、切るのが非常に難しく、切り口もあまり綺麗ではない。

 苦労の末、ようやく1枚の狼の皮を剥いだ。

 慎重に作業したおかげで狼の皮は台無しにはならず、初めての皮剥ぎでこんなひどい道具を使用したにもかかわらず、結果はそこそこ満足できるものだった。


「なんで!あたしが掘り終わるのを待たないの!」


 2枚目の皮を剥ぐ準備をしていたとき、エルフは叫んだ。

 彼女はすでに一定の深さと幅のある穴を掘っていたが、穴の大きさは一頭の狼を埋められる程度だ。

 正直言って、このバカの穴掘りの速さは僕の予想以上。


 怪力のおかげか?

 それともバカは穴を掘るのが得意なのか…?


「僕は掘り終わるのを待つって言ってなかったでしょ?さあ、早く掘って。そうしないと全部の狼の皮を剥いでしまう。」

「くそ……くそ!くそ!卑怯だ!」


 エルフは叫びながら再び別の穴を掘り始め、その速さは明らかに速くなっている。

 僕も自分の作業を急がなければならなくなった。

 幸いなことに、最初の皮を剥ぎ終えた後、僕は剥皮の技術と感覚を掴んでいた。

 エルフの穴掘りの速さは増していたが、僕もだんだんと手慣れてきた。

 彼女がさらに2つの穴を掘り終えたとき、僕は狼の皮をすべて剥ぎ終えていた。


「くそ!」


 エルフは怒りっぽい顔をして、穴を掘った木の枝を地面に投げつけ、僕を睨みつけた。

 僕は彼女の視線を無視し、川岸に行って狼の皮の血を洗い流した。


「もういいよ。もう僕は剥がない。残りはあなたに埋めてもらうしかない。」

「本当に卑怯!嫌いだ!!!」


 エルフは僕の後ろで叫び続け、同時に僕は後ろから物を引きずる音が聞こえた。

 明らかに彼女はこれらの穴に狼の死体を埋めようとしている。

 全てを埋めるのは不可能だとは思うが、それを妨げるつもりはない。


 血をきれいに洗った後、僕は狼の皮を巻いて縛り上げた。

 完全に乾燥しないかもしれないが、数日では狼の皮が腐敗することはない。

 唯一心配すべきことは、エルフが僕の気付かない間に狼の皮をいじったり埋めたりすることだ。

 異次元空間を使えば問題ないが、やっとの思いで彼女の前で抜刀斬を見せたことを考えると、他のスキルまでは見せるつもりはない。


「あなたのせいでこんなに疲れて、結局何もかも無駄だよ!」

「もともと僕は彼らを埋めるつもりはなかったし、僕にとっては何の意味もない。あなたが埋めたところで、浅く埋めたら野生動物に掘り返されて食べられるだけだろう……あの、あなたは何をしようとしているの!?」


 僕が剥皮ナイフをきれいににしている最中、エルフは僕の近くに歩いてきて、そして服を脱ぎ始めた。

 上着を半分までめくったところで僕はすぐに彼女に声をかけた。


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