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悪役令嬢の私との婚約を、王子が破棄しないと私は断頭台に直行なのよ  作者: 田中 まもる
第十二章 悪役令嬢マリア、再び遊牧の民の地に行く
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061 悪役令嬢マリア、ユリアさんたちを遊牧の民のところに送り届けるその一

「その飛龍はどこにいるのか?」


「先々日、先日と王都を騒がせた帰還をいたしましたので、飛龍とオット男爵に預かってもらっております」


「そうか、グラントとアメリーと俺、いや私がオット辺境伯領が引き取りに行こう。あっ飛龍は何人乗りだ?」


「二人は大丈夫かと思います」


「マリア、もしかしたらユリアたちを遊牧民に送り届けた後、しばらくお前は滞在することになるかもしれない。そのつもりで頼む」


 国王陛下は、私がそのまま私は遊牧の民の勇者さんと結婚って思っているのだろうか? ないな。だって私はユリアさんたちに悪魔憑き認定されているから。勇者資格を失っているもの。


「国王陛下、承知いたしました。ただちに出発いたします」


「いや、一度実家に戻ってから一週間後の出発で良い」


「ありがとうございます。国王陛下」

 

 一週間、母上と父上になんと言われるのだろうか? まったく読めない。




「マリアお嬢様、お帰りなさいませ」


「ジョーダンさん、なんとか帰って来ました」


「母上様と父上様がお待ちでございます」


 さて、何と言われるのだろうか? よく無事って言ってくれると嬉しいのだけど。


「マリア! クレール家の娘が悪魔に取り憑かれるとは弛んでいます」


 母上はかなりお怒りモードだ。母上らしいのだけど。


「母上、お言葉を返すようで申し訳ないのですが、悪魔ではありません。この世界が誕生したと同時に生まれた方ですから、悪魔と言うより神に近いかと……」


「イライザ、マズイよ。もう一度マリアを修道院に入れないと、悪魔と神の区別がついていない!」


「エルダー、そうね。これは大変だわ。国王陛下にお願いしてマリアを修道院に入れて教育してもらわないと」


「母上も父上も私を信じてくださいませ」


「マリアは日ごろが日ごろだから、信じるのは難しいのだよ」


「私、国王陛下から重大なお役目をいただいております。それが終わってから修道院で再教育でも何でもしてくださいませ。王命に逆らえば反逆者でございます」


「イライザ、やはりマリアは過激になっている。両親を脅迫する子になってしまった。修道院から出たら、絶対に全寮制の女学校に行かせるから」


「エルダー、私も反省しているわ。修道院から出たら、全寮制の女学校に編入させましょうね!」


 ウチって諜報部門があったと思うのだけど、私がユリアさんたちを送って行ったまま戻れないと二人とも考えないのか? 私としては断頭台にはこの展開だと、遊牧の民のところから戻って来ても行かなくてすみそうなので、修道院にでも全寮制の女学校にでも行くつもり。


「ところで、マリア、ハインリヒ王子との結婚式は二人が十七歳になった後、女学校在学中にはなるけれども、執り行うことになったので、そのつもりで」


「えっ! 父上、私とハインリヒ王子との婚約はなくなったはずでは」


「ああ、お前が悪魔憑きになったお陰で遊牧民のところに嫁に行く話はなくなるはずだから、大丈夫だ。予定通り行う」


「悪魔憑きの娘を王子と結婚なんておかしいです!」


「教会から証明書が出ているので、問題なしだ。王国内ではお前に悪魔は憑いていないことになっている。前国王陛下と前のクレール家当主との盟約は果たされる」


 なんか振り出しに戻ったかもしれない。ハインリヒ王子がアメリーではなく別の誰かさんと恋に落ちれば、私はやっぱり断頭台コースかもしれないよ。


「父上、母上、私には王妃は無理です」


「王妃役はシャルロッテがするので、お前は大人しく、王宮にいるだけで良い。はっきり言うと何もしないでくれ」


 なんだ、この厄介者扱いは。私は世界の破滅から救った功労者なのに、解せぬ。


「マリア、もうね、王宮で本を読んでいるだけで良いの。書くのはダメよ。色々やるつもりなのは知っているから、コミケとかいうのを開催するつもりなのよね。ダメよ。見学のみにしておきなさい」


 さすが諜報の家柄だ。娘のことをきっちり知っている。王宮の籠の鳥って、蛇の生殺しじゃないか。それなら断頭台に登って一か八かミキの体に戻っても良いかもしれない。


 私から物語を書くことをとったら死んだも同じだから。


「出発までは、家でゆっくりするが良い。以上だマリア。くれぐれも変な気を起こすことのないようにな」


「承知いたしました父上、母上様」



「お嬢様、お疲れでしょう。今日はゆっくりお休みください」


「ジョーダンさん、ありがとう。父上と母上からもそう言ってもらえたら嬉しかった野ですけど……」


「ご両親もマリアお嬢様の身を案じておられます。ただ、マリアお嬢様は突飛なことを平然とされるので、何本も釘をさしておられるだけでございます」


 こっちの世界では私のやることはすべてお嬢様らしくないのはわかっているけれど、私は日本人だから。納得出来ないものはしたくないのよ。物書きのサガって言うやつかもしれないな。


 クレール家では、母上も父上も何も言ってこなかった。女学校への編入届けに必要ということで、誓約書に署名を書かされた。


 女学校の秩序を乱した場合には自主退学しますって内容だった。今さら転校しても仕方ないと思っている。たぶん両親も思っている。ただ、私をハインリヒ王子の目から私を隠したいだけなんだろうなあ。


 それこそ今さらだと思うのだけど。私はただ女学校やらに行って物語のネタ集めをしたいと思っている。なんか一生分のネタはすでに集まった気もするけど……。


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