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悪役令嬢の私との婚約を、王子が破棄しないと私は断頭台に直行なのよ  作者: 田中 まもる
第十章 悪役令嬢マリア、王子とデートしたけど大混乱
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055 悪役令嬢マリア、アウグストになって臣下を引き取る

 アウグストが部屋を出ると、今まで私たちを無視していた白衣の人たちが、跪いて「国王陛下万歳」って言い出した。


「お前たち、ちょっと留守にするので、私が戻るまでここから外に出ないように」


「陛下、我々が……」


「お前たちはその炎の消し方を研究せよ。以上だ」私はスタスタと転送装置のある部屋に向かい、装置の上に乗ると祠の中に私たちはいた。


「マリオ」とアウグストが呼ぶとマリオが不思議そうな顔で寄って来た。


「マリオはあなたの命令しか聞かないので、私を乗せるように言ってください」


「マリオ、この人を乗せてあげて」自分なんだけど、自分でないのは気持ちが悪い。


 マリオも怪訝な表情で、そんな顔に見えた。アウグストの私を背中に乗せた。で、マリオが空を駆けている。遊牧の民の皆さんが驚いた表情で空を眺めているのが見えた。


「国王陛下、なぜ空を飛んでいるのでしょうか?」


「その方がマリオも疲れないし、早いですから」


 確かに早い。もう王都が見えて来た。王国の人々も私を見つめている。王城に近づくと弓を兵士が構えている。一斉に矢を放った。で、矢が消えた。第二射、やはり矢が消えた。王城内はパニックに陥っている。


「国王陛下、もう少し穏便に出来ませんでしたでしょうか?」


「マリアさんの国王が私に跪いてくれるなら穏便なやり方も出来たのですが……」


 国王陛下が私に跪くってあり得ない。


 王城内ではクレール家の娘が悪魔に体を乗っ取られたと大騒ぎになっている。火矢が、油が撒かれたけど、一瞬で消えた。ユリアさんが驚愕の表情になっている。ハインリヒ王子が剣を握っている。


「王国の皆さん、申し訳ない。私の臣下が迷惑をかけた」


「出て来なさい。お前たち」


 鉄製の檻が消えた。兵団長たちが跪いている。


「お前たち、王城の皆さんに謝罪しなさい」


「陛下、こんな下等生物に謝罪……」国王陛下のマリアが兵団長たちを睨んだ。


「皆さま、お騒がせして申し訳ございませんでした!」


「私は、約束する。二度とこの世界には干渉しないと、ここに宣言をする」とアウグストが宣言した。


「お前は何者だ!」ハインリヒ王子、勇気があるね。


「私はこの者たちの主だ。家来が迷惑をかけた」


「マリアはどうした!」


「心配ない。以上」とアウグストが言うと、マリオが空を飛んでいる。兵団長たちも空を飛んでいる。兵団長たちは跪いたままの姿で飛んでいる。なんか笑える。



 私は王都に戻れるのだろうか? 「心配ありません。ただし、これからは、悪魔憑きとかと呼ばれて怖がられるとは思いますけど」


「おそらく、結婚は出来ないと思います。だって悪魔憑きの妻って怖いじゃないですか?」


 アウグストさん、あなたがそれを言うのかですよ。


「まあ、色々デメリットは何事にもあります。気にしていたら平穏な暮らしなんて出来ませんよ」


 私に修道院に入れみたいなことを言ってませんか? 修道院に入れば神の監視下に置かれると言うか、俗世間と縁が切れる。


「コミケには参加出来ないですね。代理出品をしないと」


 デメリットが大き過ぎる。


「良いではないですか。この時代にはまだコミケはないですし」


「私が主催で、将来的にはするつもりでした」


「アメリーにお願いすれば、彼女なら辺境の地でコミケを開催してくれますよ。きっと」


 アウグストの物言いがカチンとくる。


「それが、私が、ローマを追い出された原因です。どうも私の話は人の気にさわるようで……」


 わかるよ。やる気をなくす方向へと誘導される。気持ちが負の感情で満たされるから。


「治す努力はしているのですが……、上手くいきません」


「死なないから、死ぬ者の気持ちがわからないのでは?」


「そうですね。私って神に近いですからね。他者の気持ちとか気にしていない。空気を読まないみたいな感じでしょうか?」


「私に聞かれても、私は神様に近くもないですし、不死でもないので、神様に尋ねられた方が良いのではです」


「神様ですか? あなたは神を信じますか?」


「すみません。アウグストさん、ギャグに走らないでくれませんか? オヤジ臭いデスよ」


「ギャグではなく、私はこの宇宙が始まって以来生きているのですが、神とやらに会ったことがないのですよ」


「神は本当に存在するのでしょうか?」


「アウグストさん、ご両親は?」


「いません。私が生まれた時には生命はまだありませんでした」


 もしかしたら、私の中に神様がいる!


「私が神ですか? 悪い冗談はやめてほしいです。私は全知でも全能でもないのですよ!」


 アウグストさんの他に神様がいれば良いのですが……。


「わかりました。私、旅に出ます。でもって旅日記を書きます。タイトルは「スライム、神様を探す件」です。旅日記をマリアさんに送りますので同人誌に掲載してください」


「はあ、なんと言うか有名なラノベのパクリぽいタイトルなんだけど、承知しました」


「陛下、私たちもお供します」と兵団長たちが立ち上がった。


「それはダメです。公平に抽選にします。皆んな暇で死にそうだからね。皆んな、死なないけど……」


 国王陛下以下全員不死って、やはり神とそれに仕える天使ですか? まったくそうは見えないけどね。


「アウグスト国王陛下、、遊牧の民の方で憑依されている人でカザルさんという人がいるのですが?」


「それは、催眠術で操られただけで、誰も憑依していません。安心してください。ただ、合図が出されると暴れ出すので、そこは気を付けた方が良いです」


「どんな合図でしょうか?」


「笛だと思いますけど、たぶん暗示をかけた者もすでに忘れていると思います。今後は笛の音にはご用心ですね」


「ハアーー」またアバウトなお答えありがとうございます。


「いいえ、お役に立てずに申し訳ない」


 

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