表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢の私との婚約を、王子が破棄しないと私は断頭台に直行なのよ  作者: 田中 まもる
第九章 悪役令嬢マリア、異世界で困惑する
42/73

042 悪役令嬢マリア、晩餐会に出席する

「本日のこれからの予定を発表しますので、応接室に移動しましょう」とイーグルさんが私たちを応接室に案内する。グラントも部屋から呼ばれて応接室に移動していた。ちなみにガンダルフは武器ということで、私の部屋から出してもらえないので、文句を連発していた。


 どう見ても、ガンダルフ、あなたは鉄剣でしょう! 武器については、迎賓館への持ち込みは要人のSPといえども持ち込みが禁止されていて、私は特別待遇らしい。が、隠し持っているSPは多いらしいとイーグルさんがドヤ顔で聞いてもいないのに話していた。



「本日の晩餐会は大統領夫人主催ですので、大統領は来ません。ちなみに大統領夫人も挨拶をすればすぐに席を離れて二度と戻って来ませんから、気軽に食事をしてください。ただ、研究者がたぶん何人かは混ざっているので、適当にあしらってくださ。注意事項は以上です」


「イーグルさん、私たち、晩餐会用の衣装、アクセサリーとか持って来ていません」


「ああっと、レンタルで行きましょう。費用はこちらで何とかします」


 ということで、急きょ迎賓館に衣装及びアクセサリーのレンタル屋さんが呼ばれて、選ぶことになった。アメリーは途方にくれていたけど、グラントが適当に選んでいた。グラントはなぜか軍服をチョイスしていた。軍服だとハズレがないらしい。勲章がないのが少しさみいけれど。



 晩餐会の料理はイタリアンに少しフレンチが混ざったカジュアルな食事だった。トマトベースのピザとかが出た時は、私は涙をこぼしてしまった。ピザ最高ってつぶやいた。


 大統領夫人は爬虫類から進化された方ではなく、人間の方だった。で、挨拶が終わったら引っ込むはずが、帰ることなく、私たちに王国のことをあれこれ質問しては自分でメモを取っていた。この人からも物語作家の臭いがする。で、私はこれまでウェブサイトに投稿した作品のあらすじとかを、大統領夫人に嬉しそうにしゃべっていた。


 大統領夫人から、少しテンプレ過ぎないかしらってコメントをもらって反省をした。あまり読者に媚びてもいけないと……。


 学者さん、研究者さんの相手はグラントとアメリーにお願いした。王国の地形、植生についての質問が多かった様に思う。魔法については興味がないようでまったく質問がなかった。魔法を無効化出来る技術があるのだから、当然か。


 晩餐会は無事お開きになって、私たちはそれぞれの部屋に戻った。アメリーは私の部屋に来たそうだったけど、ガンダルフが愚痴りまくっているはずの私の部屋には呼べなかった。


「マリア、俺はここの備品になろうかと思う。なので、このままにして帰ってくれないか?」


「おそらくだが、ネルーもここまでは追っては来られないと思う」


「ガンダルフ、私がネルーさんを連れて来るから、安心して夫になってちょうだいね」


「お前、相棒を売るのかよ」


「世界の安全と平和のためだから、仕方ないよね。それにあなたは剣だし、剣に人権はないから」




 翌日、午前中にローマ共和国大統領閣下と非公式会談を行った。テーマは王国とローマ共和国と国交を開くこと。国交を開くとどうなるのかと言えば、王国からもローマ共和国からも自由に人が行き来出来るようになる。軍隊もあの通路を通れるようになる。


 グラントは一言、「王国がローマ共和国の植民地になるのは避けられない」と言った。私もそう思う。そして、私たちが帰国する際、私たちと共に特使を派遣するそうだ。私たちと一緒だとあの通路が通れるからだそうだ。


 私は秘密裏にこの国を出国しようと心に決めた。大統領と話していると、王国内には伯爵家から手に入れていた薬に依存している貴族が多いようだ。私たちが、近衛兵団が伯爵家を捜索したのにも関わらず、再度調査させたのは、そうした薬物依存の貴族が動いているはずみたいなことを言っていた。


 国王陛下に、王国内がどの程度薬物汚染されているのか、調査するように進言したい。進言したら、それだけで伯爵が暗殺されそうだけど……。



 ローマ市内を案内してもらった。ローマという名前の東京だと思う。ローマの都市計画はおよそ百年前から始まって今のようになったそうだ。設計者はキンゴ・タツノという人らしい。名前からして日本人なので百年前にこの国に召喚されて、東京をベースにした都市を作ろうとしたのだろう。


 ガンダルフは迎賓館の備品になると言い張ったのだけど、それは却下して、何とか特使の随行なしで、製鉄所まで行こうと思うのだけど、あちこちに監視カメラが設置されているのと、案内人がいないので、逃げ出せないでいる。


 私は魔法で小鬼の小屋から出たところに設置して置いた転移陣に飛ぼうと試みたのだけど、魔法を使おうと思うと酷い耳鳴りがするので、使えない。グラントもアメリーも魔法を使おうとすると目眩を起こしていた。


 ガンダルフのみ、魔法が行使出来るのだがまったく協力的ではないので弱っている。このままだとローマ共和国の特使付きで帰国する羽目になってしまう。困った。


 救いの神というか、ドラゴンがやって来てくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ