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悪役令嬢の私との婚約を、王子が破棄しないと私は断頭台に直行なのよ  作者: 田中 まもる
第九章 悪役令嬢マリア、異世界で困惑する
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041 悪役令嬢マリア、首都ローマに行く

「では、皆様を首都ローマにお連れいたしますので、車にお乗りください」


「イーグルさん、今、首都ローマって言いましたか?」


「はい、首都はローマ、この国はローマ共和国です」


「そうなんですか……」


「何か、ご不審でも?」


「いえ、私が以前暮らしていた世界にもローマがあったので」


「ローマになる前はスパルタでしたけど、アテネとスパルタの二国が覇権を争って、最終的には共倒れで小国のローマがこの地域を統合、統一しました」


「私が習った世界史もそんな感じだったような……」


 アメリーとグラントが私を不思議そうに見つめている。私の知識は日本優位だから、何となくだけど、ローマ共和国に親近感を覚えてしまう。



「では、AI搭載最新型、水素電池車で首都に向かいましょう。首都高速道路に乗れば、ここから一時間で着きます」



見た目も内装も日本の自動車だ。運転席に人がいないだけ。


「では、皆様はこの自動車にお乗りください。私は飛ぶ方が早いので、乗りませんが、勝手に目的地に着きますので、ご安心ください。では後ほどお会いしましょう」


 私は助手席に座った。イーグルさんが不思議そうに見ている。私は爵位は上なので後部座席で、男爵家の三男のグラントが助手席なんだけど、恋人同士を引き離して座るのって不粋だと思う。


 アメリーとグラントが自動車に乗って安全ベルトを締めると、車が発車した。ちなみに安全ベルトは三点固定式だった。

 

 私はスピードメーターを見た。時速二百キロまで出せる。燃料計は電池のアイコンが使われていた。表示は英語だ。


 この国の公用語が英語だと、某英語検定試験三級の私でどこまでやれるのか不安になった。でも、イーグルさんとの会話はこちらの言葉だった。まあイーグルさんが話せるだけかもだけど。まさか異世界でも英語をもっと勉強しておくべきだったと思うとはだ。


 景色は相変わらず赤土と岩ばかりの風景が続く。高速道路は完璧に日本の高速道路で料金所がないだけ。緑の表示もそのままでローマまであと五十キロって表示してあった。


「マリアは、こちらの言語が読めるのはなぜ?」


「アメリー、私ね、額を強打した日に私の前世を思い出したわけ。この世界で使われている言語と同じなのよ」


「マリアはこっちの世界の人なの?」


「こちらの世界に近い世界かな。同じで世界ではないわ」


「魔法が使えないのに、なぜこの車は走っているのだろう?」


「王国がこの国と戦うことになったら、王国はどうなるのだろう?」とグラントが国軍参謀らしく悩んでいる。


 まあ、本当にグラモキャンセルとかディスペルが使えるなら、今の王国では勝ち目はないだろうな。


 あっ東京だ! 車のフロントガラス越しに東京が見えた。スカイツリーが見える。なぜか皇居らしきところには天守閣がある。



 皇居らしきところに車が止まった。イーグルさんが待っていた。


「車を乗り換えてもらいます。あなた方は目立ちますので、スモークを貼ったワゴン車に乗ってください」


 私たちは言われた通り、ワゴン車に乗った。イーグルさんも乗り込んで来た」


「首都上空は飛行禁止なんですよね。この車で皆様を迎賓館にお連れします」


 外の景色はスモークでまったく見ることが出来なかった。私たちに見られたくないのがあるのが本当のところだろう。


 迎賓館に到着すると、各自一部屋ずつ割り当てられた。アメリーは部屋が広すぎてまったく落ち着かないと言って私の部屋から出てくれない。


 グラントは紳士なので、女性の部屋には来ない。ただし、イーグルさんはどう見ても雄なんだけど、私の部屋にやって来てはダンジョンを作るのには、何が必要なのかとしつこく聞いて来る。


 自分でググレよって言いたい。この国はインターネット設備完備なんだからさ。


 私の部屋に置かれていたノートパソコンを開いて、英語で検索をしてみた。イーグルさんがパソコンの設定を変えると、なんと王国の公用語で表示もされる。


「これで、アメリーさんも読めるでしょう」とドヤ顔がウザイ。


 ローマ共和国の仕組み、大統領と元老院と最高裁判所で構成されていて、大統領は六年に一度の選挙で選ばれる。元老院議員は四年に一度の選挙で選ばれて、最高裁判所の長官は大統領が指名して元老院が承認するのか。



「マリア、軍の編成と兵器の説明が書いてあるのだけど、これって国家機密ではなくて」


「そんなたいそうなことではありません。国民はお金が掛かる部門を監視する義務がありますから。ほら核兵器を早く処分すろって、コメントがいっぱい付いているでしょう!」


「核兵器の処分って? どう言うことですか?」


「レールガンとか陽電子砲が開発されたので、維持費ばかりがかさむ核兵器は必要ないのですが、買手が見つからないものですから、いつまでも維持コストが掛かって大変なんですよ」


 絶対、王国はこの国と戦ってはいけない。文明が違いすぎるよ。


 アメリーはイーグルさんが何を言っているのかわかっていない。ガンダルフは結婚しなくて良い見通しがたったので鼻歌を歌っている。

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