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悪役令嬢の私との婚約を、王子が破棄しないと私は断頭台に直行なのよ  作者: 田中 まもる
第八章 悪役令嬢マリア、伯爵家の秘密を探る
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040 悪役令嬢マリア、イーグルと話す

「私たちの世界とこちらとの間に魔界のような世界を介在して、こちらと繋がっていました。それはなぜですか?」


「ムード作りかな。異世界から変わった生物を持ってきて、それぽく演出すると楽しいでしょう。君たちが追い払った、小鬼風のコスプレをした人たちが怒っていましたよ。コスプレを楽しんでいただけなのに、剣で斬られそうになったって」


「それとですね、僕のテーマパークを作るため。僕ね、ダンジョンを作りたいの」


「しかし、彼らの足元には人間の骨が散乱していました」


「あれは演出です。合成樹脂製で本物ではありません。戻る際一部だけなら無料。もし全部って言うのなら製造費全額負担で、拾って鑑定してみてください」


「ところで、あなた方の肩書きについてお尋ねしたいのですが?」


「私たちの肩書きはですか? 国王陛下より伯爵家の調査を依頼された調査員でしょうか?」


「そうですか。使節とかではなく単なる調査員ですか……」


「一応、大統領との会見を設定しましたが、あなた方は調査員という肩書きなので非公式ということになります」


「大統領の見た目ですが、大統領は爬虫類から進化した方なので、見た目がトカゲに見えますけど、肉食系ではありません。まったく怖くはないです。とても知性的な方ですから、安心してくださいね」


「そして、大事なこと。私たちには、あなた方の魔法は効きません。試してもらっても良いですよ。マジックキャンセル、グラモキャンセルを科学的に行えますから」


「イーグルさん、私にはイーグルさんが言っていることがまったく理解出来ませんの」


「そうですか。ではフランマの魔法で、このタバコに火をつけてください」イーグルさんがタバコをシガレットケースから一本取り出した。


 私は「フランマ」と詠唱をしたけど何も起こらない。少し耳障りなノイズが聞こえただけだ。グラントもアメリーもイーグルさんが取り出したタバコに着火することが出来なかった。


「我々は魔法を科学したのです。で、発見したのですよ。魔法は、空間に存在する量子の不規則な運動をある一定の運動に変えることで、起こり得ないことを、起こせることがわかったのです。その力の源は生命力でした。あなたたちの平均寿命が短いのは魔法に頼りすぎているからです」


 イーグルさんのドヤ顔がウザイ。


 ファンタジー世界を科学的に分析するなんてロマンのないことをするよね。


「ここに来られた目的を私たちは言ってください。ここからは公式な事前調査になりますので、虚偽の発言をされますとですね、罪に問われることがあります。ご注意くださいね」


「では、始めてください。録音、録画開始」


「私たちは、伯爵家の隠し部屋を調べていたところ、こちらに通じる通路を見つけました。伯爵とイーグルさんたちとの関係を調べています」


「測定器に反応なしですか。真実のようですね」


「私からイーグルさんに質問しても良いですか?」


「良いですけど、記録しているので、発言にはご注意くださいね」


「伯爵がイーグルさんたちに渡していたものは何ですか?」


「工業用のルビーとダイヤモンドが主でした」


「逆に伯爵がイーグルさんたちから渡されていたものは何ですか?」


「記録を18禁指定なので一時止めます」


「我々から伯爵に渡していたものは薬です。興奮剤です」


「再度記録開始」


「イーグル殿、この血で描かれた図に見覚えはありますか?」とグラントがイーグルさんに妃の屋敷で筆写した魔法陣を見せた。


「少々、お待ちくださいね」と言いつつイーグルさんがタブレットを取り出して、グラントに見せた。


「これってウェブページのタイトルバックですか?」と私が言ってしまった。グラントはびっくりしていた。あっさり出てくるとは思ってはいなかったみたい。


「オカルトが大好きな人たちが好んで使うタイトルバックの図ですね」


「この図にですね。魔力を注ぐとどうなるのですか?」


「何も起こりませんけど……、雰囲気ですから」


「ええとですね。これに魔力を通してみたら亜空間に亀裂が入ったようなんですけど」


「ほうう、興味深い。そう言えばところどころ、違うカ所もありますね。一度実験してみます」


「その亀裂から大魔術師とドラゴンが私たちの世界に侵入しました」


「あり得ないですね。これは子どもの落書きに限りなく近いですから、その大魔術師さんとドラゴンさんが書き換えたのではないのでしょうか?」


「出来れば、その大魔術師に来ていただけたらと思います。魔法を完全に使えなく出来るらしいディスペルの実験に付き合ってほしいです」


「わかった。俺からルーメンに挑戦状が届けられたと伝えておこう」


「ガンダルフ、ルーメンさんは、今、無限牢獄ですよ」


「奴は俺の友人代表として必ず、婚礼の儀に出席するので、即座に俺ともどもここに来ることにする」


 ガンダルフは逃げることしか考えていない。ネルーさんに通報しておこう。

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